ワンダーチャイルド

街の片隅に 腰を下ろしてみる

そこは 流れが集まってくるところなので

時間がなくなっちゃう場所。



本を取り出し 広げ、読んでいるフリをする

すると 私は 今 点である そんな不思議な気分になって

人々が 「線」に 見えてくる。

目を閉じ 耳を澄ますと  全ては沈黙の中に響いていることに
気がつく。


地下鉄のアナウンス


話し声



冬靴の足早に過ぎる音



子どものなく声



誰かの ものすごく悲しい悲鳴



ため息 。


お金を

時間を

自分自身を

もてあまして

処理しきれなくなってる




初めは何もなかったってことを 思い出したらいいのに。





何はともあれ

この冷たくて 暖かい地球に帰ってきたことに感謝する。

たった独りぼっちだったけれど、私自身に戻ってこれたことに。

かつてのことは どうでもいいが

ただ毎日健康で ちゃんと生きてる、と実感する。

ただ、あまりにも遠く遠くに来ていて

戸惑ったけれど、永い時間をかけて ちゃんと 追いついたんだって そんな気がする。

 

ワンダーチャイルド

ワンダーチャイルド

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-06-05

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