ありがとう
ありがとう
ありがとう
引っ越しの話をした実家の猫だが、引っ越し先からやはり程なくして実家に戻り、驚くほどの早さで虹の橋へと旅立って行ってしまった。
何も知らされていなかった私は、その日に限ってメールをチェックしていなかった。パソコンのメールに次姉からの訃報が届いていた。
衝撃は凄まじかった。無論、その場に居合わせた人間の衝撃に比べれば遠い空の遥か彼方の人間の衝撃など比べ物にならないというかもしれないが、事実、その日口にできたものはおにぎり1つ程度だった。延々と泣き続け、自宅とも相当な時間電話していた。
家族も衝撃を受け、憔悴していた。もちろん、知らせをくれた姉は泣き続けていた。もっと他にできたことがあったのではないかと自分を責めていた。
自分でも自分を責めた。事情を知ってさえいれば、飛行機で実家に帰り、寝ずの番なりともしてあげられたのではないか…自分のできることはそれぐらいしか思いつかなかったが、人手があるだけでも良かったのではないかと今でも思うのである。
私を抜いた家族全員と一匹で葬儀を済ませたあとの知らせだった。三毛猫は知ってか知らずか、ずっとそばに付き添っていたそうだ。
亡くなって約1週間が経つ。悲しみが癒えるのは当分先のようだが、家には元気な三毛猫がいる。猫を喪った悲しみを癒すには猫を飼うしかない、と聞くが、確かにそれしかないかもしれない。三毛猫の元気そうな話を聞くだけで少し心が和らいだ。
たくさんの世話、心配をしたが、それ以上に彼女からはたくさんのものをもらった。ありがとう。
先日、お線香と好物だったおやつ、マタタビを実家に送った。供えてもらえると嬉しいと思うのは私の勝手だろうか。
様々なことに尽力してくれた父、一番彼女と接する時間が長く、いろいろなことに気がつき、次姉と手を組んで様々な世話をしてきた母、最期の夜は出張から直帰で深夜まで様子を見てくれていた長姉、そして、何よりも無償の愛を注ぎ続けた次姉、一人ひとりにありがとうを伝えたい。
そして推定13歳で虹の橋へ旅立って行った私の妹。私が末っ子だったがだけに、私よりはるかに大人のあなたを私は妹として見ていました。大切な、大切な妹。あなたからもらったもの、大事にします。ほんとうに、ありがとう。
空の上から、私たちを見守っていてくださいね。
ありがとう