レジスタンス
恋の戦いに踏み出す、少女の物語。
さぁ、始めよう。一世一代の大革命を。
今こそ、反逆の旗を掲げよう。
朝、普段より30分だけ早く起きて、洗面所の鏡に向かう。しっかり顔を洗って、髪をコテでふんわり巻いて、校則に引っかからない程度のグロスを塗っていく。そうすれば、いつもよりほんの少しだけ綺麗になった私が出来あがった。
朝食を済ませて手早く着替え、部屋の時計を確認する。時刻は午前7時45分。そろそろ家を出なければ、遅刻が確定してしまう時間帯だ。私は数週間前から自室の机の上に置きっぱなしだった、シンプルな柄の封筒を掴み取る。裏面には私の名前、そして宛名にはあの人の名前。3年間も踏み出せずにいた思いの限りを綴った薄い紙切れを、まるで壊れ物を扱うかのように、大事に鞄の奥にしまった。
ローファーを履いて鞄を持ち、家を出る。外に出てみれば、心地いい風が頬を撫で、私の精一杯の勇気を応援してくれている気がした。
一歩、また一歩と踏み出すごとに高鳴る心臓も、それに比例するかのように少しずつ赤く染まっていく頬も。全部、全部、あの人へ贈るありったけの私の恋心なんだ。
「3年間、ずっと好きでした。
・・・・そして、ご卒業おめでとうございます。」
右手には拡声器、左手には真っ白な旗。口からは、精一杯の祝福を。
レジスタンス
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