雪。
雪。
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
その日も雪がたくさん降りました。夜になると、車のライトや街明かりに照らされて、それらは赤黄青の光となって空からおりてくるのでした。
光の粒は地面にそっと降りて、溶けずに自ら輝きを放って、まるで飴玉のようです。人のしゃべる声や、喧騒、さまざまな音に、街は反応して、チカチカ楽しそうに踊っています。
例年よりも少し気温の低いこの街では、3月になると今年の豊作を願ってお祭りが行われます。
米などの取り終わった殻を、この時期に一気に燃やして、「去年も良い米をありがとうございます。一つ残らず食べさせてもらいました。今年もたくさんの実がなりますように、その実の殻をお返しします。」という気持ちを込めて祈るのです。
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
その祈りのせいでしょうか、いつにもまして街は元気にカチカチやっています。
ふと、気がついて枝につかまっているとそこには、おもちゃ屋さんがありました。そのガラスの奥には、子どもたちが飛び上がるほどに嬉しくなるようなおもちゃ達が並んでいます。
それはもう本当に、楽しそうなおもちゃ達なのでした。
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
覗き込んでいましたら、すっかり雪もやんで、飴玉達は残念そうに地面に溶けてゆきました。余りにも悲しいので、飴玉達は、きゅーっと、一つ泣き声をあげるので、家族をなくしていくようにさみしくなりました。
街はドンドンやっています。気づけばもうそんな時間でした。一つあくびをしました。もう、そろそろ寝る時間です。僕は、ふっと飛び上がりました。
すると、身体が赤黄青の光に包まれました。ゆっくりチカチカやりながら、仲間の元に降りていきました。
そして、その身体は今までのどの飴玉よりも光って、いつまでも光るのでした。
雪。