サヨナラをきみに。


大切な幼馴染、同時に幼い頃からずっと好きな人。
俺、啓太(ケイタ)は、小学校の頃からずっと高橋美緒(ミオ)が好きだった。
美緒には、彼氏が居たけど最近別れたみたいで・・・
これで、俺を意識してくれないかな?なんて思ってるわけで・・・。

「美緒!!一緒帰ろうぜ!!」
「え??あ、うん。帰ろうか。」
にこにこと笑う美緒。ちょっと強引だけどこれで一緒に帰れる。

電車にゆられながら美緒が俺をまっすぐ見てくる。
「啓ちゃん・・・別に一緒に帰らなくても大丈夫よ??あたしはもう平気だから。」
美緒は俺が一緒に帰っている理由を、慰めだと思っているらしい。
「俺は美緒と帰りたいから帰ってるんだよ。」
「そっか、啓ちゃん優しいね。」
2人で駅をでて、家まで歩く。


「あれ??高橋!?」

美緒がびくっとして振り向くと、元彼の長門裕也(ユウヤ)がいた。
他校生だけど、こいつは割りと有名人だから俺でも分かった。
なんでこいつが・・・こんなところに??
「ゆ・・・長門、久しぶりだね。」
「なに?もう彼氏できたの??お前のこと一途だと思ってたのに~。」
ケラケラと笑う長門裕也、今ならこいつを殺せる気がした。
そもそも別れたのは、長門の浮気からなのに・・・。
美緒はずっとずっと最低なお前を想っていたのに!!

気がつくと俺は、長門の上に馬乗りになっていた。
一発殴ると、今にも泣き出しそうな美緒の手をひいて走り出した。
長門ってボクシングだよな!?俺・・・なんて行動に出たんだよ!?
走って走って・・・俺の家まで着いて、美緒を俺の部屋に連れ込んだ。

「・・・啓ちゃん??急に・・・どうしたの??」
「わ、わっかんねえ!!自分でもビックリしてんだけど!?」
「え!?」
「仕方ねぇじゃん!?イラついたんだもん!!」
「でも、ほらっあたしもう大丈夫だって・・・」
気がつくと、美緒を抱きしめてて。今日の俺どうした??なんて思いつつ
美緒の小ささに、温かさに、驚いていた。
ずっと一緒に居たのに、知らなかった。

「だって!!美緒はちゃんとあいつのこと想ってたじゃん!!俺知ってるよ!?
 美緒は・・・ずっと前から浮気してたの知ってたんだろ!?でも言わなかったんだよな。
 全部全部・・・あいつのために!!俺は美緒が想ってたのすげぇ分かってた!!
 ・・・でも美緒は、そんな美緒をずっと想ってた俺のこと・・・分かってる・・・??」
「啓ちゃん・・・??」
「美緒・・・すげぇ好きだよ。俺が守ってやるから!!」

美緒の答えなんて分からない。
ただ、これで美緒を少しでもあいつから離せるなら・・・。



俺のありったけの想いで君の傷ついた心が癒せるなら

サヨナラをきみに。

サヨナラをきみに。

  • 小説
  • 掌編
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-01

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