ジェーン・エア
シャーロット・ブロンテ著、大久保康雄訳
この作品は私にとってツボとしかいいようのないお話です。
ハーレクインなど女性向け恋愛小説の原型になっています。
いま読むと、ハーレクインでよくある手法が使われていて笑えます。
しかし、主人公は美人でなく、愛する男性も醜男という設定。
ただし、二人とも金持ちではありますけど。
最後はハッピーエンドになるので、読んでて気持ちいいのですが、セント・ジョンの行く末などは悲しいものです。
皆がみんなハッピーに終わらないのは残念至極。
何度も読んでてすっかり忘れてたのですが、セント・ジョンてこんな人なんだ?(笑)
いままでで一番セント・ジョンのことがわかったかも。
牧師さんという設定だけど、ジェーンのこと、これっぽっちも愛してないのに結婚を申し込む男。
超美形の設定で、普通に考えたらラッキーなのかもしれないけど、なんて自分勝手な奴なんだ!!と憤怒した私。
それにしても行くとこ行くとこ、すべてで求婚されるジェーン(笑)。
どんだけ~。
ロチェスターの最初のあたりの行動は意味不明だけど、最後は許せる。
ジェーンを愛してのことだったみたいね。
こんなに激しい人が貴族でいたのかは微妙だけどね~。
フィクション的な人物ではあるな。
物語の前半部分で重要な位置を占める館の三階の部屋の謎は、実は…という件なんかは覚えていた。
しかし、後半のセント・ジョンたちのことは、さっぱり忘れていた。
私はでもつくづく、ジェーンがロチェスターを見捨てていなければ!と思ってしまう。
そこで見捨てるから物語として発展するとはわかってても、やはりそうしなければもっと幸せになれたのでは?と思うのだ。
ジェーンには大方賛成の私だが、あそこだけは違う!と思ってしまう。
いまの女性としてはあの判断はないなと。
物語は子どもの頃からの記憶で始まり、すべて語り終わったときのジェーンで終わる。
そのため常に、あの頃は…という語りがついて回る。
子どもの頃の話が私はけっこう好きだ。
特に寄宿学校で知り合う女友達の話す言葉は涙なしには読めない。
結果的に別かれてしまうけれど、あの出会いは大事なものだと思う。
あの別れのシーンは何度も読む価値があると思う。
学生時代から何度も読んでは泣いた今作。
なぜかまた読みたくなるのだよね。
それが文学作品なのかもしれない。
この作品はイギリスを代表する文学作品です。
ジェーン・エア