伝える

「思いを伝える。」これはとても難しい、思いの形はそもそも言葉で表現できるものなのかどうかもわからない。

ただ、芸術家などはこれを言葉や絵などで伝えようとする。

何を思い作品を作り、何を伝えようとしたのか、思いがいかに難しく複雑であり、かつ単純であるか。

この、矛盾を思いながら 上司 幾太 が書き綴った作品である。

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一人の小説家がいた。

彼は自分の思っていること、考えていることを人に確実伝えたかった。

彼はそのため言葉の勉強を必死にした。

わかりやすく。誤解のないように伝えるために・・・。

彼は何時しかパンクした。どんなにやっても誤解は生まれて確実に伝えることは出来なかった。

言葉が足りないのである。どんなに言葉の勉強をしても足りない。

何時しか彼は絵を書き始めた。

言葉が駄目なら、色で伝えようとした。

彼は筆が動かせなかった。何を描いていいか分からないのである。

だから、彼は色の勉強をした。人は何色に対してどんな感情を抱くのかを学ぶために・・・。

もう一度、彼は筆を取り、絵を描いた今度は描けた。

それを人に見せたが、彼は彼の伝えたことがその人に伝わったのかが分からなかった。

伝えた人が彼に伝わったことを伝えられなかったのである。

彼は笑った。「伝える」とはなんと難しい事かと思い笑った。

彼はその後、絵を描き続けた。人々に伝わっていると信じて描き続けた・・・。

その後、彼の絵を見て多くの人達の人生が変わった。

果たして彼の「伝えたかったこと」は伝わったのだろうか・・・・・。

確かめる術は無いけれど「伝わった」と信じるとしよう。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-28

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