Summoner of Legend.
今から数千前のことだろうか。
魔王と呼ばれる者の出現により、大地に悪影響が広がる人間界には暴走した魔物が無数に錯乱していた。
そんな世を統制しようと、自らの命を差し出した人物が現れた。
――――レジェンド【召喚士】。
彼らはそう呼ばれていた。
禁断とされている魔導魔術を使用し、やがて彼らは戦乱の世を安寧と平和を与えることに成功したのだった。
後の世に彼らの存在は伝説へと受け継がれていく。
だが、皆は知らなかったのだ。
その悪の世界を救ってくれたものの、"強大な力"という本当の姿というものを。
第0章 赤い世界
気が付いた時には、目の前は赤い世界に染まっていた。
それは母さんと一緒に見た夕焼けよりも真っ赤な、とても恐ろしくて、残酷な風景。
膝下にはぐったりと倒れた人達。
一体、何が起こったというのだろう?
なんでこんなにも身近に起こっていることなのに、俺は"何一つとして"覚えていないのだろう?
疑問が渦巻いて、仕方がない。
「アリア様、大丈夫ですか?」
感じたことのあるぬくもりを感じた。
どうやら、従者のペルソナが俺のことを必死に呼んでいるようだった。でも、今の俺には何一つとして聞こえない。
ただ、目の前の出来事を受け入れることのできない俺は蹲(うずくま)ることしかできないのだった。
ふと、視界が消えた。
自分の意識というものがすべて遮断されたようだった。
――――なんでこんなことになってしまったのだろうか。
今更後悔したところで、もう遅い。
すべてが手遅れだった。
俺はただ、泣き叫ぶことしかできなかった。
すべては俺が無力なあまり、皆を守ることができなかったからだ。
ただただ、そう後悔することしかできなかったのだった。
Summoner of Legend.