Negro

ハジマリノハナシ  (Ⅰ)

キィ・・・・

屋上の入り口のドアが鳴る。ドアの隙間から高校生とは思えない、まるで悪魔みたいに低くて太い笑い声と階段を下りる靴の音が聞こえた。痛みをこらえながら俺はボロボロの体を起こした。
これが俺の日常。
学校へ行けば、俺は不良共のサンドバック。
俺は学校では目立たないようにしてるし、ましてや不良共に喧嘩を売るなんて馬鹿な真似はしていない。
では、何故俺がボコボコにされなければいけないのか。
俺の体は、生まれつき不思議なことに常人よりも怪我が治るのが何倍も速い。
かすり傷は少し昼寝をすればかさぶたになっている。
さすがに、骨折とかは三日くらいかかるかな?
とまあ、これをいいことに不良共が俺をボコボコにするっつーわけだ。
だが、怪我が治るのが速いだけで、痛いものは痛い。
俺は体が痛くてその場から離れられなかった。
体のどこかの骨がくだけたらしい。体中が痛いせいでどこの骨が折れたのかどうかもハッキリしなかった。だれか

昼休み終わりのチャイムが聞こえた。
が、チャイムの音さえボロボロの体に響いて動けなかった。
しかたないので、このまま誰か来るまで(といっても助けてくれる保証は無いが)動かないでおこう。
そう思いはじめたときだった。

ぼんやりしていて気付かなかったが、あたりが真っ白な煙に包まれていた。
びっくりして飛び退きそうになったが、満身創痍の俺がそんなことできるはずもない。
煙からは嗅いだことのある臭いがした。
葉巻だ。この煙は葉巻からでる独特の臭いがした。
火事ではないことを知り、少し肩の力が抜けた。
だが、もう一度よく考えてみておかしいだろう。
ここは不良を絵に描いたようなやつがたくさんいる。
が、不良といえども高校生が葉巻などもっているはずがない。

「ゲホッゲホッ!!」
煙を吸いすぎたせいか咳き込んでしまう。
咳をすると体に響き、尋常じゃないくらい痛い。
しかし、咳き込まないようにするというと苦しい。
だが咳き込むと体がめちゃくちゃ痛い。

死ぬっっっっ!!!!!

そう思ったとき、
「あ、ごめんね。けむたかった?今、消すから。」


何だ!?
煙の中から声が聞こえた。
聞いたことのない声だ。

すると、いきなり強い風が吹いて、あたりに立ち込めていた煙が薄れていった。

煙がすべて消え視界がはっきりしてくると、

「いんや~めんごめんご。まさか煙草にも弱いとは思わなくってさ。」

黒い帽子からは左目だけがのぞいき、無精ひげで黒いスーツで頭から足まで黒づくめの男の人が
屋上のフェンスの上に立っていた。

「ちょっっ!!!そんなとこに立ってたら危ないですよ!!落ちたら死にますよ!!!」
自分で言っといてなんだが、満身創痍の高校生に言われても説得力無いよな。
すると、その男の人は嬉しそうに
「俺のこと心配してくれてんの!?いやー、年下に気遣われたのって何日ぶりだろ。」
と、いきなしフェンスの上で踊りだした。
ありえないバランス力を持つ無神経なオッサンに
俺はもう既に死んでいるのだろうか、とまで思いかけた。

ちょっとまてよ?
さっきこの人は
「煙草にも弱いとは思わなくってさ。」
と言っていた。
ということは、俺が他にも弱い部分があることを知っているということか?


この人いつからここにいたんだよ!!!!!!!

「あの、どこから見てたんですか?」
「?ああ。君が5人組の男達に見事に担がれてきた時くらいかな?」
「最初からいたんじゃないですか!!!!!」

大声を張り上げたせいで体に激痛が走る。
この人今までずっとこの屋上にいたのかよ!!全然気づかなかった。
ていうか、ずっと見てたのに助けてくれなかったのかよ。

「・・あの、すみませんが俺を教室まで運んでくれませんか?見ての通り体が痛くて動けないんです。」
「ん~~~~~。ヤーダ❤」
ちょっとカチンときたな。いや、ちょっとどころじゃないな。

「でも、教室じゃないとこだったら連れてってあげるよ。」
「は?」

「俺、君のこと知ってるよ。
 鳴神大爾君・・・だよね?」
「は?え・・・・そう・・ですけど。 なんで・・。」
「ちょっと一緒に来てくれない?話がある。」
「・・・・知らない人にはついていっちゃだめって・・・・大人の人が・・。」
「でも、俺は君のこと知ってるよ?」

な・・・
なんて常識が通じない人なんだ・・。
どうしよう。なんかこの人ヤバイ臭いがする。
でも、それとは裏腹に、この人は俺にとってなにか大きく関係するような気もする。
でもでも、知らない人についていったら・・・・

「大丈夫だってば。俺は君に危害を与えようってわけじゃないんだ。」
「・・・じゃあ一体なにを・・。」
「言っただろ?話があるんだって。」
「・・・・・。」

「信用できない?・・よな。大丈夫だって。君は俺たちにとって大切なんだ。傷一つつけないよ。」
「俺・・たち?」
「とりあえず、一緒に来て。君のそのケガも手当てしてあげるからさ。」



「大丈夫。俺は君の味方だから。」


本能的っていったら変かもしれない。
でも、
無意識に俺はこの人に手をのばしていた。
俺はこの人になにか期待したのかもしれない。


「今は・・・・・な?」

Negro

駄作でごめんなさい。
中二病というかオタクというか・・・・・・・うん。

Negro

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-27

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