学問とは ぼくはグラビアアイドル 映画会
西暦2030年、日本は国民の民意にもとずいて軍国主義国家になった。ファシズム政権が樹立した。
僕たちは政府に洗脳されるために、土曜日に映画を見ることを義務つけられている。
民意にもとずくために、多くの2ちゃんねらーやブロガーが、何日も寝ないで書き込みをした。指から血が出るのは日常茶飯事。
20日も全く睡眠しないという強者もいる。ネットの世界で使われている言語の60パーセントが日本語。
毎日、行われるアジア人排斥デモ。戦争を先導する世論。
日本人は自らの意思で、軍国主義国家を求めた。軍国主義社会になることを選ばざる得ない。
ファシズム政権樹立には超ハイテク技術が必要。アメリカの植民地になった日本。日本国防軍は全世界で人々を殺し続ける。
日本人の宿命。それはファシズム政権と軍国主義社会である!
第二、第四 土曜日は映画鑑賞会の日
僕は女子高生。15歳。月に二度、授業をお休みして、映画鑑賞会に行く。
政治色が強い作品。政府公認のプロパガンダ作品のみしか見せさない。
西暦2030年、特亜アジア戦争に備え日本は、多くのブロガーや、2ちゃんねらーの意見をエリート官僚が読み、それを民意として政策を決定させる。
ある人は、直接民主政治と言えば「ファシズム」と貶す人がいる。
午前9時、渋谷の映画館に女子校生たちが集まる。
長いスカートにセーラー服。色は黒に近い紺色。
「土曜日が毎週、休めればいいのに」
「やめなさい。変な発言は」
「だって」
「で、映画を観を終わったあと、感想文を書くのよ」
90分か120分までの映画を観させる。せっかくの休日が台無し。これは政府が決めた教育であり、そのような政策を求めたのが、多くの匿名で発言した人々である。
「ねえ、まり子ちゃん。茶色く染めた髪がいいね。表現の自由が認められているし、当然、言論の自由がある」
「当たり前でしょう。新憲法が制定されて10年。どんな与論にも屈しないの党なの。その裏にあるのがヤクザと官僚。政策を提案するのが、2ちゃんねらーなの。無数の匿名で書き込みする人たちが、過労死するまで書き込み続けるのよ」
「だって、テキストファイルで超高速通信でしょう。今は8kの超高画質動画(スーパーワイドハイビジョン)が、10Gbpsでダイレクトにモニターに映されるし」
「そうよね。オンラインゲームをすれば、8Kの超高画質なら、ほんとうにそこにいる気分になれるし、3Dなんて・・・。ねえ3Dって知っている」
「何?それ、すりーでぃ(3D)って」
「昔の映画はメガネをかけて立体的な画像を見たのよ」
「しらなかった。小学校や中学校では、近代史の勉強は禁じられているのよ。それらのことを調べると、鞭打ち100発に罰金50万円なのよ」
「で、私たちが知っている歴史は江戸時代まで」
2010年代から教育界は、右翼の政治結社と結束を強くしている。
右傾向化が年々、激しくなり2020年代のはじめ日本で最も古い政党、日本共産党が解散した。そして社会民主党も民主党左派に合流するかたちで解散した。
日本では自由民主党と民主党(右派)の二大政党制である。
映画館は厳重な警備が引いてある。
近年、映画館や幼稚園などを狙った悪質な爆弾テロが頻発している。図書館でも爆弾テロが多い。
「はい。今、映画館の中を厳重に検査しました。爆発物はありません」
少しなまった日本語を話すアメリカ人の警備員が、映画館に爆発物がないか確認した。
日本はTPPに強制加入させられ、アメリカの植民地になったが、特亜戦争に備え、アメリカから空母50隻、原子力潜水艦100隻を輸入した。すでにSONYとかパナソニックなどのメーカーは存在しない。アップルとかアメリカGM社などに強制的に合併された。いまどき大富豪は官僚だけである。年収1000兆円でポケットマネーで宇宙船が買える。
善良な官僚たちが、年1000兆円もの収入で老人ホームを作り、短時間労働で1日4交代で勤務させることで、職員不足をなんとか解消させた。その利益はアメリカの福祉企業に奪われる。日本は世界で第二の軍事超大国になったが、特許などは全てアメリカに没取される。日本はアメリカの植民地である。いや、環太平洋諸国の全てが、アメリカの植民地で、TPPは一度加入すれば脱会は赦されない。アメリカ軍による情け容赦ない攻撃を喰らう。また、TPP加盟国内で軍事同盟をすることを認めない。
それでも巨額の富をもった日本は、アメリカにとって一目を置かれている。
政治モデルは日本であり、それにならって開発独裁を強化しているのが、ベトナムとシンガポールである。
朝鮮半島が統一して5年。韓国領だったところは荒み、全ての政治活動が禁じられた。韓国と中国だけはTPPへの強制加入は免れた。
中国、朝鮮半島連合軍を設立した。そして第3番目の軍事大国になった。
近代史の勉強は、18歳未満は厳禁であり、歴史改ざん活動が盛んに行われている。2030年、ヒロシマ・ナガサキの原爆の被害は子供に話してはいけない。
子供警備隊も存在している。自分の親に変なことを言えば警察に通報する。
でも、貧困罪という犯罪概念がうまれ、見た目は日本から貧困者がいなくなり、再開発で東京は近未来都市のように見える。
貧困になるのは犯罪。それが、この時代の常識。
白人や黒人のアメリカ人に見守れながら、僕たち女子校生は映画館に入る。
ビックマザーとは
ビックマザーとは、保守女性政治家であり、かつてはニュースキャスターをした女性。推定年齢は87歳。とても元気に政界で活躍している。
憲法改正された日本では保守主義政党が政権を握っている。ビックマザーとはカリスマ的な政治家。
これから映画館に入り、そのあとに警察官が数人はいる。
「では、これから映画会が始まります。1年生のみんな。初めに政界の敵、ミズホ・アンダーソンへの憎悪を」
画面に彼女の顔が映し出された。みんなは彼女に対して激しい憤りの感情をぶつける。
「死ね。糞ババア」
「この変質者」
「裏切り者」
ぼやけた画面からミズホ・アンダーソンの顔が映る。外国人ではない。れっきとした日本人。その老婆に対して、女子校生たちは敵意を向ける。声が流れた。
「みなさん、今の日本は危ないです。戦争への道を歩んでいます。保守党は腐りきっており、貧困が拡大しています。いま、現実を見つめてください」
『この嘘つき。反日。騙されるな』
女子校生たちは憎悪の表情で罵倒し続けた。
婦警さんが見守る。僕も婦警さんに変な目で見られないために、激しく罵倒する。
「死ね。死ね」
僕は大きな声で叫んだ。
スクリーンにはものは投げてはいけない。だが、憎悪の対象である彼女が映った映像に単行本が投げつけられた。
警備員が映画館の中で暴走しないか見守る。本を投げた女子生徒は、あとで警察から厳しく咎められるだろう。
その老婆は優しい笑顔で訴える。
「みなさん日本に必要なのは公平な選挙により、現実的な政策を実行する政治家です。平和のために努力しましょう」
女子校生たちが96人もいると、警備員もビビる。みんな茶髪で髪を染めている。
みんなの目は憎悪に満ちている。
「嘘つき」
「偽善者」
「反日運動家」
「朝鮮人」
ミズホ・アンダーソンとは、社会主義政党の代表者。革新政治のリーダー。現代の日本には、もう社会主義政党とか左翼政党はいない。
ネットが発達し、おおくのユーザーが右傾向化している。特定の民族、東アジアの民族への憎悪がある。
毎年、ネットのやりすぎで体調を壊す人たちが多い。いや、多すぎる。年間3万人以上の人たちが、匿名掲示板で特定の民族の悪口を書き込み続ける。
ネットの技術が発達しても、保守主義、右翼、極右的なものは警察や政府から容認される。
当然、右寄り思考の人たちがテロをしても、許される傾向がある。でも左翼にたいしては容赦しない。
そして画面の内容が変わる。僕たち女子校生のカリスマ的存在、ビックマザーがスクリーンに映し出された。
彼女の名前は、桜田よしみ。年齢87歳。女性政治家である。10年前、初の女性総理大臣になった。
「マザーァ!マザーァ!マザーァ!」
僕の表情を見つめている婦警さんがいる。僕は柔和な表情、笑顔で彼女の顔を見る。
両手をあげ頭の上に腕をくむ。
黒に近い紺色のセーラー服の女子校生たちが、柔和な笑顔で彼女の顔を見つめる。
これではジョージ・オーウェルの「1984年」と、全く同じである。
君が代のメロディが流れ、僕たちは君が代を歌う。全員歌わなければならない。歌わない、起立しなければ、その場で逮捕される。
スクリーンには日の丸が30秒映し出され、そして、日本から貧困が撲滅したこと。労働者の待遇が改善されたことなどのニュース映画が流され、僕たちはイスに座ることが許される。
労働時間は週35時間厳守。非正規雇用制度の廃止。すなわち『貧困罪』という刑法が交付された。
貧困になることは犯罪である。消費税を払わないこと。国に税金を払わない。それは脱税と同じ。それに、個人消費活動をしなければ企業がなりたたない。
消費は美徳とされている。今は空前のITブーム。
秋葉原はITのメッカ。高齢者のためにメイド喫茶が残存している。高齢者たちは安いブルーレイソフトを買い求める。
ホログラムが普及し、ホログラム・アニメ・フィギアーが普及している。
月給が188000円以下になると、自動的に警察に逮捕される。
この金額は現代ではギリギリである。高齢者の多くが逮捕される。全従業員が逮捕されて倒産する企業が多い。
高齢者の立場は辛い。年金が安すぎる。だから、欲しいモノが買えない。当然のことながら、出費が少ない。そして警察官に逮捕され、刑務所に行かされる。
2025年から住宅建設ブームがはじまった。6畳間に6人が詰め込む部屋。70歳以上の高齢者が、1日6時間半働き、夕食後に学習会が行われ、午後10時に消灯する。
介護されないため毎朝5時に起こされ、2時間も運動をさせられる。
就職先がみつからない限り、刑務所に入れられる。
(くわしいことは、別のタイトルの小説に書きます)
それから5年、もう非正規雇用の社員はいない。アルバイトだけで生計を立てる人もいない。
従業員を全部、正社員にして20万円以上の賃金をあげなければ、企業が倒産する。それに該当しない外国人労働者が急激に増えた。中国人の労働者も必要である。
彼らは安い賃金で、長時間働く。残業しないと生活できないからである。ロボットの発達により、むかしよりは労働は楽になった方である。
僕はビックマザーという女性が好きではない。認知症防止のため常に政界で働いている。政治家と完了との対立が激しい。
裏では暴力団をつかって、お互いに殺し合う。
これから、政治色が強いプロパガンバ作品が上映される。
革命には銃もペンもいらない。必要なのはIT機器のみ
21世紀、情報化革命の時代。選挙で日本は変わらない。自動的に自民党の議員に投票する。田舎の高齢者は、どんなに不遇な境遇でも、自動的に自民党候補者に投票する。
日本人ほど政治に無関心な国民はいない。
その政治の「無知」「無関心」のために、路上生活をしている高齢者が多く見受けられる。病気になったら、ひとたまりもない。そのまま、路上で死ぬ。
「では、これから映画を上映いたします。非常口は前方の扉です。上映中は非常灯が消されますので、今のうちにご確認してください。トイレなどは遠慮なく行ってください。それでは、あと3分後に上映します」
昭和時代の映画館のように、ニュース映画を観る。それも、後ほどレポートに感想を書くように言い渡される。ちゃんと観ないと、感想がかけない。そして政府を信頼していることを強調しなければならない。アメリカを賞賛しなければならない。既にアメリカでは、頻繁に起きるワーキングプア層の暴動に悩まされ、一党独裁国家になった。治安維持法が厳格に実地された全体主義国家になった。もうアメリカには「建国理念」という自由主義思想がない。あるのは99パーセントの貧困層と、1パーセント以下の大富豪のみ。もうアメリカンドリームなどはない。
それに比べてロシアとブラジルが民主主義国家として生き残っている。アメリカよりも生活水準が高いのがブラジルである。ロシアでは、宇宙旅行会社が多くある。ロシアから多くの資源を輸出している。超大国という概念が、この時代にはなくなっている。
かつての2ちゃんねらーは、ブラック企業でボロボロになるまで働かされ、休日は退職するまでなし。ひどいうつ病で仕事をしたくてもできない。それで、貧困罪で犯罪者扱いされ刑務所に入れられる。刑務所へ入れられる方が、幸福である。
日本は、右傾向化思想に偏ったため、年間の自殺者数が軽く30万人を超え、世界で最も自殺者が多い国になった。
室内が暗くなり、スクリーンにはアメリカを称えるニュース映画が30分ほど上映され、みんなは「アメリカ万歳」と叫んだ。
そうなったのは、2010年代からのブロードバンドによる常時接続で、2ちゃんねるという匿名掲示板では、無数の書き込みがあり、韓国や中国への憎悪の書き込みがたくさんある。でも、ほとんどが、暴言だけで論理性がない。それでも強行採決で新・日本国憲法が発行されたのが、2020年。強行採決でアメリカに有利な企業買収法案とか独占禁止法の廃止などがあり、日本国内の企業は全てアメリカ企業のみ。アメリカ人の上司にこきつかわれる労働者。会社内での殺傷事件も急増。ストライキがあるが武装したアメリカ兵によって、多くの労働者が殺害された。
みんなはアメリカ人を憎んでいる。多くの市民は口先では「中国人や韓国人を憎んでいる」ように振舞っているが、本音は”アメリカの傀儡の日本国政府”とアメリカ合衆国を憎んでいる。
近い将来、キューバやイランのように武力による革命が起きるのは必至!
オーストラリアやニュージーランドでも、頻繁に反米デモや大規模な暴動が起きている。
だが、かつて2ちゃんねらーたちの多くは路上生活している。警察に捕まる。貧困罪という犯罪で。日本は世界で最も囚人が多い国。約4000万人もの囚人を収容できる刑務所の街がある。
学問とは ぼくはグラビアアイドル 映画会