大きな木
都会の生活に疲れて
ふらっと旅に出た
いつか見た、あの大きな木に
会いたくて、飛行機に乗って
電車を乗り継いで、バスに揺られて、ここにたどり着いた
そこは、静けさに包まれていて
時間という概念から見放された
処で、何故か落ち着いた気分になれた
その大きな木は、私にそっと囁いた
立ち止まっていいんだって
焦らないでいいんだって
ゆっくりでいいんだって
都会の生活は、皆んなが
何かに追われてるようで
私も一緒になって、どこに
ゴールがあるかも分からないで
走ってた
でも、この大きな木に
耳を当ててみたら
もう、そんな事、どうでもいい
って思えた
今考えてることが小さなことだと
思えて、何故だか急に涙が溢れた
負けることは、全てを失うことだと信じて、涙を流すことも
忘れていたなんて
この木に会いにきて良かった
大きな木