大きな木

都会の生活に疲れて
ふらっと旅に出た

いつか見た、あの大きな木に
会いたくて、飛行機に乗って
電車を乗り継いで、バスに揺られて、ここにたどり着いた

そこは、静けさに包まれていて
時間という概念から見放された
処で、何故か落ち着いた気分になれた

その大きな木は、私にそっと囁いた

立ち止まっていいんだって
焦らないでいいんだって
ゆっくりでいいんだって

都会の生活は、皆んなが
何かに追われてるようで

私も一緒になって、どこに
ゴールがあるかも分からないで
走ってた

でも、この大きな木に
耳を当ててみたら
もう、そんな事、どうでもいい
って思えた
今考えてることが小さなことだと
思えて、何故だか急に涙が溢れた

負けることは、全てを失うことだと信じて、涙を流すことも
忘れていたなんて

この木に会いにきて良かった

大きな木

大きな木

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-27

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