もういちど

「どうして私なの」「私が何かしたの」

変わることのないいじめという現実。

あなたはクラスで起きているいじめという悲しい行為に気づけているのだろうか。

悲しみからは悲しみしか生まない。

憎しみからは憎しみしか生まない。

今ある高校でいじめが起きている。

あなたも少し覗いて見ない？

登場人物

紫鎌　星羅（しかま　せいら）・・・姉妹の四女。
　　　　　　　　　　　　　　　　　いじめが原因で自殺を図るが死ぬことが出来ずに記憶を無くしてしまう。

紫鎌　星華（しかま　せいか）・・・姉妹の長女。
　　　　　　　　　　　　　　　　　姉妹思いの優しいお姉さん。

紫鎌　星那（しかま　せいな）・・・姉妹の次女。
　　　　　　　　　　　　　　　　　クールで無口。

紫鎌　星音（しかま　せいね）・・・姉妹の三女。
　　　　　　　　　　　　　　　　　短気で怒りっぽい。四女が自殺未遂をしたことを自分の所為だと攻め続けている。

丹延　舞斗（にのべ　まいと）・・・高校の同級生。
　　　　　　　　　　　　　　　　　バスケ部キャプテン。

百済　絮琉（くだら　わたる）・・・高校の同級生。
　　　　　　　　　　　　　　　　　英語があ大の苦手。

百瀬　優花奈（ももせ　ゆかな）・・・高校の同級生。
　　　　　　　　　　　　　　　　　僕っ子。気が強く負けず嫌い。

白鳥　心愛（しらとり　ここあ）・・・高校の同級生。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　丹延とお付き合い中。

８人の高校生が繰り広げる壮絶な物語。
いじめと記憶を無くした少女の悲しい悲劇のドアを一枚一枚剥いで行こう。

私は鳥のよう

少女は今、屋上のフェンスを越えた所にいる。

新たな地を住む世界を求めて飛び立つ。

小さな小さな小鳥のように・・・

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「----------！！」
少女の悲痛や悲しみに満ちた叫びに耳を傾けてくれなかった者たちがフェンス越しにいた。
信じていたのに。友達だと思っていたのに。
少女には、回りの声も音すらももう聞こえていなかった。

「やっと・・・自由になれるんだね」

少女は力無しに地へと飛び立った。

ゆっくりと地面へと向かって落ちてゆく。
一瞬間唖然としているあなたと目があった気がした。
怒りも憎悪も何も感じないあなたの顔。

地面に落ちたのは、一瞬だった。
静かに目を瞑るとまるで天国へと誘う天使のよう。
長く、苦しいかった地獄の日々が今日で終わる。

そう思うと、鼓動が高鳴り、目頭が熱くなり、枯れ果てたと思っていた涙が溢れてきた。

私は気づいた。
これは、悲しみの涙ではなく嬉し涙なのだと。

私が初めて流した嬉し涙。
あの人は、あの人達は私の姿を見て、どんな表情をしている？
嬉しい、楽しい、清々しい？
悲しい、寂しい、切ない？

今、地面に到達した。
ドンっという鈍い音に刺激はあるのに痛みは感じない。

嗚呼
これですべて終わったんだね。

私は、微笑み安心して、意識を失った。

残酷な現実

神様は、残酷だ。

「...ここ...どこ？」

死ぬよりも残酷でもっとひどい事。

「なんで...傷だらけなの？」

やっと地獄から抜け出せる・・・そう思ったのに。

「思い...出せない」

少女の願いは叶わなかった。

中途半端に記憶だけを奪っていった。

「事故だよ」
「事故？」
「そっ。しばらく入院してたら退院できるって。よかったね」
お見舞いに来てくれた星華と話す。
星華と話すの久しぶりのような気がするのはなぜだろう？

「ねえ、星華」
「なに？」
「星華や星那、星音の事以外なにも覚えていないんだ。高校の記憶とかなにもないの」

高校...私は何をしていたのだろうか？
...勉強...？
...部活...？
...友達...？

「ーー...っ！？」

頭に激痛が走った。

「星羅、無理に思い出す事ないよ」
「...うん...」

無くした記憶ってなんだろ？
...思い出せない。
...思い出したくない？

「...やだ...怖い...っ...いや...」

不安になった。
私は生きてるの？
私は...生きていていいの？
何も...思い出せない...だから...怖い...。

「う...、あ...っ」

震えが止まらない。

「「姉さん」」

聞き覚えのある...声...。

「せい...な...？...せい...ね...？」
「大丈夫」
「姉さん、大丈夫だよ。ここにいるよ」

暖かい...手...。
昔から知ってる...暖かい...姉妹...。

「星羅は一人じゃないよ」
「私たちがいる」
「怖がらないで」

みんな、優しく手を握って抱きしめてくれた。
...嬉しい。
暖かい。
何だろ...？
ずっと、こうされたかった気がする。

...別の...誰かに。