内緒の話

深い夜が足を捕らえてしまって
なかなか抜け出せないでいます。
この時間が何より好きです。
そしてこの季節が一番刹那。
もうすぐ雪が全てを呑み込んでしまうでしょう。
その前に、焼き付けておかなければならないのです。

秋の匂い。
空の高いこと。
風は日に日に冷たくなります。
同時に感覚もいっそう研ぎ澄まされるのがわかります。
いつもより世界が澄んで見えます。
そして心はとても静か。


山は最後に燃え上がり実をつけ、
やがて嘘みたいに静かになるんでしょう。


もう何億年も前から繰り返してきた、その命の営みを最後まで見守るのです。

それがあたし毎年課せられた任務だったりします。
実はね。秘密だけど。

内緒の話

内緒の話

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-06-04

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