記憶の中の

捨ててしまったものは二度と戻ってはこないけど、

無くしてしまったものは ふいに戻ってくることもあるって聞いた。

忘れ去ってしまったものは悲しい。

あなたもきっと忘れてしまうのでしょう。

あなたの顔がだんだん思い出せなくなってゆくのに
あたしは逆らうことも もうしようとは思わない。


そしてかつてあたしがそうしたように
誰かがあたしを塗り替えてゆくのね。
幸せを願うふりをしながら、同時にあたしなしでの幸せなんてありえないって思い込んでいる。
そう思うことだけは許して欲しい。


幸せな女だって言ってよ。


あなたを失ったのは夢が覚めてもかわりはしないのだから。

記憶の中の

記憶の中の

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-06-04

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