星空をながめて

初投稿だったり、じゃなかったり、初投稿ですけど。
初めてなんでお手柔らかに。切ない恋愛系を目指したけど、無理だった。そして、謎の物体になった。

星空をながめて

 「キラキラと夜空に光る星は、昼間輝いていた太陽の欠片のようで、月の涙のようだ。」
本田俊和(としかず)はそんなことを思った。思った後で、少し、恥ずかしくなった。誰に言ったわけでもなく、呟いたわけでもなく、聞いていた人がいるわけでもないのに、恥ずかしくなった。それはきっと、彼自身の理性がそう思わせたのだろう。
 彼はセンチメンタルな人間でもなければ、ポエマ─でもない。俊和は至極、真面目で現実的な性格の人間だ。だから、そんなことを思ったことは一度もない。そのせいで、彼の国語の創作の成績は悲惨だった。詩を作るときも、文を書くときも比喩が思い浮かばない。思い浮かんだとしても、彼の現実的主義者な性格がそれを否定するのだ。「そんなわけない」「ありえない」「ばかばかしい」、そんな風に。だから、彼に将来の夢が「小説家」の友人ができたときは、その友人を尊敬したし、羨ましくも感じた。自分にはないものを持っている。そう、感じた。友人の持つ鉛筆の先からあふれるように言葉が紡ぎ出されていくのを見るのは、俊和の楽しみでもあった。
 夜遅く、彼は自分の歩みが止まっていることに気づく。回想をしていて、頭がそっちにばかりいっていたらしい。彼はため息を吐き出すと、重い足を上げる。
──ああ、あの時の戻れてしまえばいいのに。
彼は重い足を上げると同時にそう、思った。大学の時に、高校の時に、中学の時に、小学校の時に、戻りたい。気楽な生活だったあの頃に戻ってしまえれば……。
 社会人として働き出して、七年は経った。二十代も通りすぎ、今や三十代の入り口に立っている。知らないうちに、子供の頃に見ていた両親と同じくらいだ。今ではもう、気楽とは縁遠い生活で、常に人の顔色ばかり窺っている。何をするときも、上司の一挙一動に気をつけて、気を配る。そのせいで、神経は磨り減らされていく一方だ。父親がどうして、毎日くたびれた顔をしているのか、不思議だった子供時代も終わり、その理由もわかった。会社で求められる人間はできる人間ではなく、言うことを聞く人間なのだとも理解した。できる同期ほど減っていく。代わりに使える同期は出世していく。
「疲れた……。」
俊和は誰にともなく、呟いた。重いため息が口から出る。
 幼い頃は夢ばかり抱えていて、明日に希望があったのに、どうして、こうなってしまったのだろう。一日が楽しく長く感じた日々はもう、帰ってこないのだろうか。そんなことをとりとめもなく考える。昔、流れ星は神様が降らせているものだと思っていた。けれど、それは違った。神様は降らせてなかった。そもそも、神様なんて存在自体がお伽話だった。流れ星は宇宙に浮かぶちりで、ちりはゴミだと小六の時に知った。きっと、そのときだ。

子供自体はすべて、お伽話の世界だったと分かったのは。

星空をながめて

読んでくれて有難うございました。暗くてすみません。意味わかんなくて失礼しました。

星空をながめて

何か。恋愛小説でもない何か。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-24

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