晴れ渡る浅間山
「長野県に住んでます。」と県外の人に言うと「ああ、雪で大変ですね。」と言われる。面倒臭いので、ついつい「ええ、まあ。」と私は答えを濁してしまうのだ。
確かに、西高東低の気圧配置になると、連日新潟県から長野県北部の大雪の模様がテレビで報道されている。長野県と言えば、雪深い山国と言うイメージが県外の人にはあるのだろう。
しかし実は、長野県の気候は地域によって大分ちがうのだ。特に大きな違いは北西部の日本海に近い地域と、東南部の太平洋に近い地域の差である。
写真に写したのは、一月六日の浅間山の写真だ。浅間山は、東信有数の名峰である。その浅間山を私の住む佐久市より撮影した。
ご覧の通り、二千五百メートルを超える浅間山だが、頂上付近に僅かに冠雪が見られるだけで、里には雪の形もない。
太平洋に近い東信では、日本海からの雪雲が高い山に阻まれ、ここまで来たときは乾燥した空気となって、晴天の日になってしまうのである。
つまり、北西部で大雪を降らせる西高東低の冬型の気圧配置の時は、東信や南信は晴天のことが多いのである。ただし、気温はかなり低い。
たが、東信や南信は雪がない訳ではない。西高東低の気圧配置が緩み、太平洋からの湿った空気が入り込み出す二月から三月には、今度は東信南信に雪を降らせる。これを長野県では、上雪(かみゆき)と呼んでいる。
太平洋の空気が入り込むと、関東などの沿岸部には雨を降らせ、冬の終わりを告げるのたが、標高の高い長野県は大雪となる。
面白いのは、この東信南信に上雪が降る時は、今まで大雪だった北西部は晴天になるのである。
最初に言ったように、ついつい答えを濁す原因はここにある。全国で話題になって聞かれる時は雪がなくとも、私らも雪を体験するので、なんとなく県内の気候を共有しているのである。
長野県は広い。気候も真逆なこともある。しかし、同じ山国として共有して生活している。
そんな、バラエティーに富んだ郷土が私は大好きである。
彼の地では
大雪降ると
言うめれど
浅間は晴れて
雪も少なし
晴れ渡る浅間山