あのひと (ち)

ごっこ遊び

今までは
なんでも想像できた

どんなデートをして
どんな会話をして
どんな触れ方をして
どんな抱かれ方をするのか

好きなように
いろんなパターンで
想像というより
妄想かな
いくらでもできた

でも
あのひとはできない

デートもセックスも
想像できない
したくないのかもしれない

あのひととは
隣で声が聞ければ
それだけでいいのかもしれない

隣にいるカップルも
その隣にいるカップルも
全部がお遊びに見える

どうしてだろうか
馬鹿っぽく見えてしまう

あたしが欲しいのは
あんな安物じゃないと

ただの自己肯定なんだろう
そんなことはわかってる

それでも
不思議とちっとも
悔しくも悲しくもなく

すごく客観的に見ている自分がいる

恋愛てなんだろうか

私がしてきた恋愛は
ただのごっこ遊びのように思える

ただの恋人ごっこ

時間とお金の無駄遣い

あのひと (ち)

あのひと (ち)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted