「わすれても いいよ」
ゆるーく ゆるーく 訊いた 「これはどういう意味?」
深い意味なんてないよ。私は物事の始まりも終わりもいつも突然やってくるの。と、笑って答えた。
彼はここのオーナーなので、何でもかんでも知っていたいのだ。
でも、全て知るには複雑すぎる。
それに言葉にしてしまうとあまりにチープだ。
心にずっとあるあの日の空の色を、ただ「ブルー」だとは
言いたくなかった。
だからまたひとつ嘘をつく。
美しい種類の嘘を。
昨日を忘れてしまいたくないので、あなたに嘘を刻む。
あぁ、この日が風化して そのうち跡形もなくなる、
そんな日が ・ 来るのよ。
「わすれても いいよ」