流れ星

流れ星

流れ星

「流れ星を見つけたら、それが見えている間に三回願い事を唱えると叶う」
いつからか言われ続けている話である。

「流れ星なんてあっという間だから三回願い事を唱える暇なんてない」
もっともな話であるが、それ以前に私は今までかつて明確に流れ星というものを見たことがない。どのくらいの速度なのかすら分からない。

「なんとか座流星群がピークです」というニュースもよく聞くのだが、寒い時期に外に出て観測するのは私としては遠慮したい。夏場であっても、夜中の観測はどこか後ろめたい。夜遊びしている気分になるからだろうか。

決定的に天体観測に不適格なのは、私の極端に低い視力だ。通りすがりに万が一流れ星が流れていても、絶対に気づくことができない。
 コンタクトをしてようやく外部の状況が正確に把握できるぐらいだ。メガネ屋からは「もう左右のバランスがとれなくてこれ以上度を上げたメガネは作れません」と匙を投げられた。


これまでかつて唯一、流れ星?と思ったのが大学のサークルでの合宿だった。しこたま飲み、真夏だったため、「みんなで外で寝よう」という話になって、「星見酒だー」と合宿所の布団と持参した酒を持ち出し、屋上に上がった。

布団に寝転がり、輝く星を眺めているとあちこちから「流れた!」「また流れた!」「むっちゃ流れる!」という声が聞こえる。
じっと見ていると、確かにあの星が動いたかも、といった感じにしか感じられなかったが、私の唯一の流れ星らしき体験である。

ちなみに、「星見酒で屋上おやすみ」作戦は大量の蚊の襲来と蒸し暑さにより敗退したようだ。私はすでに酒にやられてしまっていたため室内退避していた。
予定は一切ないが、万が一レーシック手術をすることになったら、まず肉眼で流れ星を見てみたいものである。

流れ星

流れ星

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-20

Copyrighted
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