シュレーディンガーの猫

東京から帰りの電車に乗っている
適当に乗ったので各駅停車
電車は駅を一つづつ進み幾つかの駅をすぎて
外を眺めるのもちょっと飽きてきた頃
前の席にびっくりする位綺麗な人が座った
綺麗すぎて直視できないので目を閉じる
各駅停車の電車は進み幾つかの駅がすぎ
人たちが乗り降りしている気配を感じながら
目を閉じている
まだ前に綺麗な人がいるのか
居ないのか分からないまま
電車は進む
しばらくして目を開けると
ふとったおばさんが座っていた
おや、降りちゃったのかと思い
また目を閉じる
がたんごとん
がたんごとん
音と振動
時折、駅にとまり、又動き出す
ひさしぶりに目を開けると
おばさんも降りたようで中学生が座っていた
すこし前まですっごい綺麗な人がその席に座っていたのを
君は知らないだろうと思いながら
ちんまりと座っている中学生を前にまた目を閉じる

シュレーディンガーの猫

シュレーディンガーの猫

399文字

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-06-02

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