三秒前

キシリトールの包み紙を両手の人差し指と親指で開くその瞬間
キッチンでは誰に見られるでもなく美しい花が咲いていて

ナイフでまだ熟しきっていない柿の皮を指がなぞる時
あの長年で身体が覚えた微妙な力加減に一瞬何かがよぎる

足の痺れが治るまでのあの感じによく似ている

他愛もないおしゃべりが

毎年巡ってくるこの季節が

いつの間にか降っていて耳になじんでいる雨音が

毎日の歯磨きが

君の口癖が



ふとした時いきなりどーんとやってくるリアリティともいえようか

玄関の鍵置き場を冷蔵庫の上に決めてみました。

三秒前

三秒前

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-06-02

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