のんけーね♪ ExPert
この作品は、クーリエ東方創想話ジェネリックにて投稿した「のんけーね♪」のExPertとなります。
あくまでおまけの域なので、これだけ見ても楽しめますが、ぜひ「のんけーね♪」本編をご覧になってからご覧ください。
「ぶっ、あはははは!!」
「な、なんだよ急に笑い出して!」
あたしの話を聞くなり、蓬莱山輝夜はお腹を抱えて大笑いし出した。
「だっておかしいじゃない!珍しくあんたが正門から入ってきたもんだから迎えてやったら、なによあんた、慧音と夏祭りに行きたいだなんて」
「なっ!? 悪いかよ!!」
とある日の事。
あたしは永遠亭に遊びに……
(と言うよりは悩んでいたら来てしまっていたと言うのが正しいのだが)
来ていた。
「だいたい、この話をしたのは玄関で会ったお前の従者に是非その話を姫に聞かせてやってくれと頼まれたからだ」
あたしは恥ずかしさと納得の行かなさから少し腹を立てていた。
「ああ、永琳ね」
「少しでも姫が友達を作りたいと思って外に出るようになれば……って言ってたぞ?」
「まったく永琳ったら余計な事を……」
やれやれと言った様子で、輝夜は溜息をついた。
「それで? あんたその格好でお祭りに行くの?」
「ん? なんだよ、問題でもあるのか?」
「あんたそれ本気で言ってる?」
呆れたような声で言うと、輝夜はテーブルにうつ伏せ、顔を立てたままこちらを見て言った
「慧音が浴衣を着てきました、あなたを見つけて声をかけます、あなたはなんと普段着でした。残念すぎるわね」
「むっ……」
確かに言われて見ればそうかもしれない。
「だがあたしは浴衣なんて持ってないよ」
主に目の前に居る奴が原因であるのだが、まぁ今回はその事は置いておこう。
「仕方ないわねぇ……ちょっと待ってなさい」
かったるそうに立ち上がると、襖を開けて部屋を出て行った。
一人残されたあたしは、する事も無いのでテーブルに肘をたててそこに顎を載せてぼげーっとしていた。
「もう少し可愛げのある待ち方はできないの?」
と、ほどなくして輝夜が襖の奥から紙袋を持って戻って来た。
「余計なお世話だよ」
「まったく、慧音の話をしている時は可愛い顔してるのにねぇ。はい、これあげるわ」
皮肉たっぷりのにやけ顔で輝夜が紙袋を手渡して来た。
こちらの反応が楽しいのか、楽しみなのか、心底楽しそうな顔をしている。
「なんだこれ?」
「浴衣よ。私には白地は似合わないから上げるわ、それ着て慧音とお祭りに行ったら慧音も少しはあんたを見てくれるかもよ?」
「いや、でも……」
「良いから持って行きなさい」
……………
結局紙袋を渡された後、返しきれずにそれを持ったまま永遠亭を出て来てしまった。
(どうしようこれ……本当に着るのか?)
袋を開けて中を見て見ると、綺麗に畳まれた浴衣が中にしまわれていた。
(う?ん……とにかく帰るか)
その場で突っ立っていても仕方がないので、あたしは竹林の中を進みだした。
……………
「姫様、あの浴衣良かったのですか?」
「いいのよ、あたしに白地は似合わないし、あの子の方が有効活用してくれるでしょ」
「姫様も里に下りられてはどうですか?」
「良いのよ、あたしには永琳が居るんだから」
それだけで満足よ。そう言うと、輝夜は屋敷の奥へと去って行った。
その後ろ姿を、永琳はただただ静かに見守っているのだった。
のんけーね♪ ExPert