恋のはじまり ーネット編ー

みなさん、初めまして。初投稿となります。
今回書き始めたこの小説、ネットをきっかけにした恋愛ものですが、作者の妄想が溢れた感じになってしまいました(汗)
書いておいてなんですが、こんなことあったら・・・ウハウハやん!!みたいな。
とまあ、ハーレムみたいなのはないです。本文は一応、純愛(?)路線です。

そもそも、書きはじめた理由はストレス発散。体の内側にある、なんかこうモヤモヤしているものを吐き出したい!
と思ったことがきっかけです。実際、解消されているかは定かじゃないですが、文章を書いてるときはそれだけに集中できているから気は楽になります。恐らく今は内容も構成も未熟ですが、自分のペースで書き続けて行きたいと思います。

接触

きっかけは、ちょっとした腹いせからだった。

その時はただ、「なんで俺が?」「悪いことしてないだろ?」っていう気持ちで溢れ、
イライラを何処かにぶつけてやろうと思っていただけだった。それで思いついたのが出会い系のサクラだ。
とにかく人の恋路を邪魔してやろうと、この時は思っていた。自分がフられたからそんなことするなんて、
今考えると「子供か!」と思う。

選んだのは、無料のなかでも比較的真面目に相手を探すためのサイトだった。
サクラといっても、この時はお金が欲しい訳ではなかったので、自ら登録して荒らしてやろうぐらいにしか考えてなかった。
まぁ、この時から既に、あわよくば・・・というのはあったのかもしれないが。

「・・・よし。登録完了。」
初めて登録したが、意外と入力することがあり面倒だった。
自己紹介などは当たり障りの無い事を書いておき、名前は『マコト』にした。無論、全くの偽名だ。

「さて、どの子にするか。」
狙いは、最近ログインしていて真剣にプロフィールを記入している人にしようと決めていた。
単純にそういう人の方が真面目に受け取りやすいと思ったからだ。

数分、プロフィールを一通り眺めていると、ある紹介に目が止まった。
ログインは一日前、自己紹介はほぼ全てが埋まっており、ご丁寧に学校名まで書いている。
今のご時世、そこまで情報公開する真面目な奴はいない。大抵は、『学生』『在学中』だとかで済ませる。
ましてやココは無料サイトどんな奴らが見てるかわからないのに・・・。まあ、そう言う自分も、
これから嫌がらせしようとしているのだが・・・。

「この子にするかな。・・・問題はアクセス数だけど。」
真面目なプロフィールだけあって、アクセスしている数が半端なく多い。
おそらくメールも膨大な数が届いているだろう。
「この数は厳しいか?」
嫌がらせするにも、気づいてくれなければ意味が無い。ひとまず、律儀に毎日書いている日記を読む。
内容は自己紹介から始まり、たわいのない日常の事が書かれていた。どうやらまだ始めて一週間程の様で、
時間がかからずにすんだ。

そして驚く事に、この日記の主はコメントにいちいち返答していた。

「なんだ?この子。ここまでしなくてもいいのに。」
こっちとしては好都合だが、どうなんだ?チョットおかしいのかな?などと勘ぐってしまう。

とりあえず、全ての日記にコメントを残してみる。内容は、どれも批判的なものにした。
他のユーザーに紛れてしまう可能性があるが、先ずは印象に残すことが優先だ。
それに、自分のコメントにどんな反応で返してくるか見ておきたかった。

ここまでやった所で時計を見ると、夜9時を回っていた。
「あっ!明日、課題の提出だった・・・。」
今更焦ってやっても仕方が無いとは思いつつも、やるしか無いに決まっている。
ため息を尽きつつサイトを閉じ、課題に集中する事にした。

好奇心

翌朝、外が騒がしくて目が覚めてしまった。
窓の外を眺めてみると、どうやら近くで道路工事をしているようだった。

「は~、損したな。なんでこんな朝早くから工事すんの?」
今日は大学が午後からの為、あきらかに早い。
二度寝するにも、ここ最近の春らしからぬ寒さで目が冴えてしまった。

「これも、課題をやれっていうお告げか何かか?」
実を言うと、昨日は課題をやり始めてから少し経って、猛烈な睡魔に襲われて断念していた。
しぶしぶ朝食の用意をし始める。課題をやるにも、まずは体をしっかり起こさなくては話にならない。
作っている間もやる気は起きず、「せめて明日までだったら間に合っていた」などと自らの怠惰を棚に上げふてくされていた。

「・・・そういや、昨日のどうなったかな?」
課題をしなきゃならないのだが、そう上手くいかないのが人間ってもんだ。・・・なんて言い聞かせパソコンへ向かう。
サイトは昨日の内にブックマークへ登録しておいた。 ログインして自分のページを見るまでは、
女の子からメールが来ているのでは?という淡い期待があったが、儚く砕け散った。

「・・・まあ、そう簡単にいくわけないよな。」
気を取り直して、昨日コメントした相手のページにアクセスする。ページを開き右上当たりにあるログイン時間を見る。

「昨日も真面目にチェックしてるんだな。日記は・・・おっ!更新されてる!」
少しワクワクしながら日記を開く。最新の日記を見ると、「すみません」という文字が最初に目に入った。
なんだ?と思いつつも、改めて最初から読んでみる。どうやら自分の日記で不快になっている人がいるけれど、
書く事に不慣れなためもう少し待って欲しいという趣旨の内容だった。

「・・・明らかに、俺の事だな。」
こういうサイトで、これだけ真面目に書いているユーザーは珍しい。他のユーザーはサクラのようなノリだったり、
読む人がいるのかわからないがポエムみたいなものを書いている。それに、日記のコメントをみる限り、
否定的な意見をしている人もいなかった。きっと、周りのユーザー(特に男性)にはありがたい存在だろう。
案の定、コメントには他のユーザーからの励ましの言葉や俺に対する非難が大半だった。

「普通、ここまで真面目に捉えるもんか??」
しかも、こちらが過去の日記に残したコメントに対してもいちいち返答していた。
こうなってくると、どこまでやれるのかが気になってくる。簡単に引き下がってはつまらないと思い、
最新の日記にもコメントを書く事にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遥さん
貴女の言い分はわかりました。
しかし、このように日記で書かれると多くの目に晒され、
受けたくも無い言葉を浴びせられることがわかりませんか?

実際に貴女に同情してくれる、たくさんのユーザーが私の批判をしているようですし。
まあ、それが狙いなのかもしれませんが・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「完全に当てつけだな。」
こんなことを書いておいてあれだが、嫌になって今日の内に辞めてしまうのではないかと思った。
「げっ!?もうこんな時間かよ!」
時計を見ると、あと少しで家を出ないとマズイ時間になっていた。

「あ、課題やってないし・・・。くそっ!行くか!」
考えていても仕方ない、腹をくくって行く決心をする。
筆記用具など、最低限の荷物を準備して玄関を出る。天気は快晴、風が冷たいがコートは必要なさそうだ。

「っ~~!いい天気だ。」
これで課題さえなければ気分も晴れるんだが・・・。
ため息をひとつ吐き、天気と裏腹に冴えない気分で大学へと歩き始める。

リプライ

腹をくくって学校へ行ったが、散々な一日となった。危うく単位が貰えなくなるという自体に陥る所だったが、そこはなんとか食い下がりもう一つ課題をこなす事で落ち着いた。

「はぁ~。めんどくせ~。」
「何言ってんだよ。自業自得だろ。」
「そうなんだけどさ。」

講義がすべて終わり、友人とそのまま教室で話をしている。周りにも幾つかのグループが残っており、同じようにダラダラとしているようだった。

「つーか、なんでやってこないんだよ。時間あるだろ?」
「う~ん、・・・あるにはあるけど。」
「あ?じゃあなんで。」
彼女にフラれたことも含め、昨日からの顛末を友人に話す。

「・・・っとまあ、こんな感じ?」
「こんな感じ・・・じゃないだろ!」
「な、なんだよ。」
「彼女にフラれて、意気消沈だったのは・・・まあ分かる。俺もならないとは言えないし。」
「だ、だろ!?」
「でも、その後の出会い系なんたらは余計だ!」
呆れ顔の友人は、そこまで言うとため息をつく。
「お前さ、真面目にやればそこそこできるじゃん。」
「そこそこ・・・って。」
まあ実際そこそこなのだが、バカにされているのか褒められているのかわからない。しかもそういう友人はなんでも出来てしまう奴で成績も圧倒的に上だ。

「留年はヤバイだろ?家的にもさ。」
「まぁな、だから食い下がったんじゃんか。」
「そんなとこに労力使わずに、コツコツやれよ。・・・ってもそんな直ぐにはかわらないか。まぁ所詮他人の事だ、頑張れとしか言いようがない。」
「ひでぇ。」
「ひどいも何も、お前の所為だしな。それと課題は手伝わないからな。じゃ!」
それだけ言うと、直ぐに立ち上がり教室から出て行こうとする。
「ちょっ!当てにしてたのに!」
そんな嘆きを無視して教室から出ていってしまう。・・・なんてこった、頼みの綱が。

友人に課題の件をスルーされた後、少しでも進めようと思い、仕方なく図書館へ向かい勉強することにした。館内に足を踏み入れると、静かでピンと張り詰めたような空気に少しだけ緊張した。

「この雰囲気慣れないんだよな。」
独り言とはいえ、言葉に出すと大きく感じる。というか周りから白い目で見られている。焦ってこの空気から逃れようと空いてる机を見つけ、身を隠すように座った。

(さて、やるか。)
筆記用具や資料など課題に必要なものを机に出していく。一通り出した所で、急に大きな音が鳴り出した。

「ヴーヴーヴー」
「えっ!ケ、ケータイか?」
慌てて探すが見つからない。机と資料に挟まれてしまっているようだ。バタバタと資料をどけ、ようやくバイブレーションを止めることが出来た。

「す、すみません・・・。」
あきらかに周りから強い視線を感じる。より縮こまって席に座り、ケータイを開く。

着信はサイトからだった。どうやら自分宛にメールが来たらしい。まさかと思いつつも、サイトにアクセスしメールボックスを確認する。

・・・確かに、1件来ていた。しかも相手は『遥』と出ている。そう、こちらが嫌がらせをしている張本人からだ。

「さすがに、怒ってメールしてきたのか?・・・まあ、当たり前だよな。あれだけ言いがかりつけてるし。」
と思いながら、受信したメールの内容を確認するため、開封ボタンをクリックした。

恋のはじまり ーネット編ー

恋のはじまり ーネット編ー

自分の失恋の腹いせに、他人の恋を邪魔してやろうという安易な衝動で、出会い系に登録する大学生の藤沢比呂。 そのサイトで目を付けたのは、ちょっとズレてる?女の子『結城遥』だった。 最初は嫌がらせの為だけに接触するが、遥は真摯に対応をしてくれる。 そんな態度の遥に、比呂は親心のような複雑な感情が芽生えはじめる。 それ以降、遥への接触をやめてしばらく静観しようとしていたが、遥が書いた日記の内容に驚き、直接会う決心をする。 日記の内容を元に遥と会うことに成功するが、サイトでの真摯な印象のままの遥に対し、なんとなくばつが悪くなった比呂は自分の連絡先を一方的に伝え別れる。別れた後、律儀にも連絡を取ろうとする遥。 そんな出会いから二人の恋ははじまっていく。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 接触
  2. 好奇心
  3. リプライ