君と見た空

第八章

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部活に行くとすでに練習が始まっていた。


「はるか来るの遅いよー」


「ごめんっ」


部長に少し怒られながら準備体操をする。


「じゃぁ今日はタイムとサーキットやって」


「はいっ!」


私は部活にとりかかった。



「疲れたー!」


時刻は午後7時。
2時間の練習が終わった。
隣では部長が顧問の文句を言いながら帰りの支度をしている。


「部長!お疲れ様です!」


「ちょっと!やめてよー」


2人でふざけていると


「はーるーかー!!」


体育館の入り口の方から私を呼ぶ声が聞こえた。


「はーい!今、行くー!」


声の主はおそらく真由。
部活は違うけれどいつも一緒に帰っている。


「お疲れ様でーす」


部員にあいさつをして真由のもとへ向かう。


「やっぱ真由だ!」


「それ以外に誰がいんのよ!」


「えへへっ」


「きもっ」


「ひどーい!」


2人とも電車通学なので駅まで歩いていく。


「あのさ…真由」


「なーに?」


「藤崎くんからアドもらったんだ…」


「ふーん…ってえぇ!?」


暗闇の中顔を真っ赤にさせる私によかったじゃん!と背中をばしばし叩く真由。


「痛いってば!」


「あっごめんごめん」


絶対に悪いと思ってない謝り方。


「今日メールするんだよ!絶対!」


「でも藤崎くんは時間あったらでいいって…」


「どうせはるか今日ヒマでしょ!?早くメールした方がいいー!」


「そうかな?」


「うんっ!」


断言する真由。
その自信の根拠は一体どこからやってくるのだろう。


「だいたいどうやってアドもらったの?」


「紙を手渡しで…」


「手渡し!?」


「うっうん」


「あちゃーそれはもう確定だね」


「なにが??」


「ほんと何にもわかってないな~」


その一言にカチンときた私は


「私だってわかってるし!」


と、真由に言い返した。


「ほんとぉ?んじゃ何をわかってるの?」


「それはっ…」


何もわかっていない私のことはお見通しのようで、真由はニヤニヤしている。


「それは?それは?」


「うぐっ…」


言葉を詰まらせた私に真由が言った。


「いい?率直に言うけど藤崎がはるかのことを好きな可能性は大だね」


「へ…?」


「だーかーらー…」


真由が立ち止った。
気が付くとそこはいつもの別れ道。


「じゃぁはるかまた明日!」


「ちょっちょっと!どーゆーこと!?教えてよ!」


「この機会に家で自分で考えてみるのもいいよ!ばいばい!」


そう言って真由は改札口の向こうに去った。


「もうっ!勝手なんだから」


真由が言ってたことの意味を電車の中で考えた。
なのにさっぱりわからない。

なんで藤崎くんが私のこと好きだって可能性があるの?

恋愛経験が少ない私にとっては、大きな難問だった。

家に帰ってひとまずメールしてみよう…。
一人で決心したいつもとちょっと違う帰り道のことだった。



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君と見た空

更新遅くなりました 汗

君と見た空

ぱーと8

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-17

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著作権法内での利用のみを許可します。

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