一目惚れ

一目惚れって皆さん経験ありますか?
大人になるにしたがって、そんな感情も
忘れていませんか?

きっと一度は経験したことがあると
思います。
この作品を読んでもう一度一目惚れをしてみたく
なってください。

出来るだけ更新しますので長い目で見てください。

一章 おっちゃんと女の子

僕が初めてあの子に会ったのは、
何の気なしに立ち寄った近くのコンビニでした…

僕の名前は西沢涼。
21歳の普通の会社員。
高校卒業して、気が付いたらあっという間に
三年間が過ぎてしまっている。

実家は田舎で、社会人になるタイミングで
上京したのだ。
ルックス的には決してカッコいいとは言えない…
女の子とまともに話をした記憶も無い。

周りからは「お前は理想が高すぎるんだよ!!」
とよく言われる。
自分でも分かってる…
ドラマチックな恋愛には正直言って憧れてしまうのだ…

だって一度きりの人生じゃん!!…

周りから言わせりゃ「カッコつけてんじゃねーよ」
当然の反応だろ(笑)

というわけで良い言い方をすれば僕自身恋愛には今まで悩まされた事は無い。
裏を返せばそんな出会いすら無いのが現実…

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僕を社会人として受け入れてくれた仕事は
毎日現場に出て汗だくになりながら、
道路工事をする事。

そんなに評価のいい仕事でもない。
それでも給料がしっかり払われている事を
考えれば少しはいいのだろう。

毎日毎日通行する車を見てはため息…
「みんな本当に仕事してるのかなぁ」
そんな事ばっかり思いながら仕事と向き合う。

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その日は作業が遅くなり、
帰宅するのもいつもより大分遅くなってしまった。

いつもなら同僚と晩めしは食べているが、
明日も朝早くから仕事ということでその日は
コンビニ弁当で軽く飯を買って帰る事にした。

すでに深夜1時をまわっている…
お客さんもさすがに全然いない。
なんだか貸切状態だ(笑)

店内に入り、そのまま弁当売り場まで直行。
そのあとは飲み物なんかを取って、
あとは会計だけ。

レジには店長のような風格あるおっちゃんが一人。
そしてキッチンのようなところで後ろ向きに手を洗っている女の子の一人見えた。
レジに行き、買い物かごを手渡す。
会計の合計を確認しながら、財布の中を見ていた。

その時、
「お弁当温めますか?」
この声は男のものではない。
ふっと目をやると、そこには
さっきまで後ろ向きに手を洗っていた女の子が立っていた。

突然女性から声をかけられたもんだから思わず
「あっ、温めてくだしゃい!!」
僕はこの時穴があったら埋もれて死んでいただろう…

女の子は少し笑いながら「はい」とだけ答えた。
よく見てみるとその女の子は同い年位の女の子だった。
体も細く、少し胸も大きい…
なんだか分からないが、どんどん僕の顔が熱くなっているのが分かった。

理由はどうあれ久しぶりに女の子に声を
出したのは事実である。
そして、こんなにドキドキしたのも…

レジで会計を終わらせる頃には既に女の子も
元位置に戻っていた。

店を出て、家に帰りつく頃には少し落ち着きを取り戻していた。
でも、あの笑った顔が頭から離れない。
「あの笑顔は卑怯だろ」
と独り言が勝手に出てしまった。
自分が恥ずかしくなりベッドに潜りこんだ。

その日は寝付くのに時間がかかった…

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次の日の朝

またあのコンビニに向かっている。
朝ごはんを買うという名目で立ち寄った。
さすがに出勤ラッシュということもあって、
お客さんが沢山いる。

店内に入ると、今回はどこにも直行せずに
とりあえずレジの方を直視してしまった。
もう店員は全員変わっていた。

そりゃ24時間働いてる訳ないか…
コーヒー一つとサンドイッチを買って、
店を出て仕事に向かった。

またあの子に会えるかなぁ……

ニ章 二回目と確信

結局あのコンビニの女の子に会ってから2日も経っていた。

21歳にもなって見ず知らずの女の子にドキドキ
するなんて変ですよね。
学生だけの特権だと思っていたが、
まさか自分にまだこんな感情があったとわ…

今日は早めに仕事が終わり自宅にも早く帰りついた。
あとは寝るだけだ。
ふと気が付いたら携帯を取り、ネットサーフィンをやりだしていた。
ある所で一瞬目がとまってしまった。

それはあるテーマでサイト内で論争を繰り広げるという類いのものだった。
一人が言った。

「コンビニの店員に一目惚れしてしまいました。
どうすれば距離を縮める事が出来ますか?」

今の自分と同じような境遇の人がいるんだと思い、
少しうれしくなってしまった。
まぁ、自分の場合は一目惚れなのかどうかも
分からないのだが…

そんな事を考えていると、
返信コメントがあがってきた。

「まずは顔を覚えてもらわないと何も始まらないですよ。
とりあえずそのコンビニに根気よく通ってみてはどうですか?」

確かにその通りだな…
いきなりすぐに仲良くなれる訳ないよな(笑)

すると、

「でも、どうしても恥ずかしくてその人の顔が見れないんです(/ー ̄;)」

何故か自分と重なってしまう…
覚えてもらうのは大事だとは思うが、
そんな度胸も持ち合わせてなければ、
どうすればいいんだ!!

また、コメントが返ってくる。

「じゃあきっかけを作ってみては?
例えば、タバコだったり何か店員さんの
補助がなければ買うことが出来ないものをチョイスするとか!!」

まぁ相手は仕事だから嫌な顔せずに笑顔で
接してくれるとは思うが、もしその笑顔の裏に
別の感情があったとしたら… 考えたくもない…

色々考えてみても悪い想像しか出て来ない。
というよりも、そもそも一回しかまだ見たこと
ない人にこんな感情を抱く事自体が
周りから見たら気持ちわるいな…

それからもネット内では色々論争を繰り広げていたが、
僕は途中棄権させてもらった…

気付けばもう時計の針は明日に向かう直前だった。
早く寝ないと!!
何かが頭をよぎる。
今の時間帯ならコンビニにあの子がいるかもしれない。
そう思うと寝ることがもう出来なくなっていた。

たかがコンビニに行くだけなのに
着替えまでする始末…
俺は何がしたいんだ。

家を出て少し歩くと徐々にコンビニが見えてきた。

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深夜のコンビニはやはりお客さんは少ない。
またもや貸切状態ってやつだ(笑)
この前のように店内に入ると弁当コーナーには
行かずチラッとレジに目を向けた。

この前のおっちゃんはいなかった。
しかし目当ての女の子はレジに立っていた。
何ともいえない感情がこみ上げてくる。

問題はここからだった…
特に用もなかった僕はふらっと雑誌コーナーに向かった。
そして雑誌を見てみるが、気になってまともに内容が
頭に入ってこなかった。

そんな状態の中で、チラッとまた女の子に
目を向けるとこちらを見ていた。

「まさか、気になっているのか!?」

どんどんテンションが上がってくる。
しかし、よく見ると女の子は無表情。

えっ!?

よく状況を確認しようと周りを見ると、
そこは成人誌コーナーの真ん前だった。
つまりイヤらしい雑誌に囲まれているということ。

女の子の目線は気になっているのではなく
変な目で見ているとすぐに察した。

僕はその時心は折れていたが、何事も無かったかのように
ホットコーヒーを一つ手に取り、レジへ向かった。

心無しか女の子に全く笑顔はない。
お金を払うときに自分でも分からないが、

「すみません、僕そんな人間じゃないですよ!!」

と言ってしまった。
泥を重ねているだけだろ…

女の子も思わず
「あっ、はい、分かりました。」
と言って少し笑っていた。

ある意味僕は笑顔を取り戻せたのかもしれない。
それと同時に女の子にとって少しは自分を印象付ける事が
出来たのかもしれない。

当然その日も寝付くのに時間がかかるのだった。
しかし今回も大変だったが一つだけ確信した。
僕はあの子が好きになってしまっていた……

三章 コーヒーと西野さん

深夜のコンビニ…

つい最近までは全く意識していなかったけど、
今は入るのが楽しみで仕方ない。
もっと知りたいという欲求も日を増すごとに
強くなってくる。

男は単純だと言っている心理学者がいたが、
その通りかもしれない。

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店に入り女の子を確認すると、
今日もしっかりレジに立っていた。
軽く会釈し、コーヒーを手に取った。
今思うとこんな時間帯にコーヒーなんぞ
飲むと眠れなくなることは当然。

今日は女の子の名札を見て、名前を
確認しようと考えていた。
コンビニの店員さんは皆名札を付けて仕事
してるから容易に確認することが出来る。

今までは緊張してそんな余裕が無かっただけだ。
コーヒーを握りしめレジへと向かう。

自分「今日もこんな時間まで大変ですね」

女の子「最初は大変でしたけど、今はもう慣れちゃいました」

自分「僕には絶対出来ませんよ。すぐ寝ちゃいます(笑)」

女の子「そうなんですか?(笑)
でもこの時間帯にコーヒー飲んじゃったら
眠れなくなっちゃいますよ~。」

すでに眠れなくなってるよ。

自分「確かにそうですね(/ー ̄;)」

自分「今日も頑張って下さい!」

女の子「はい。がんばります!!ありがとうございます♪」

しっかりは名前は確認したぞ。
名前は「西野さん」
苗字しか記載されてなかったが、
まぁ分かっただけで良かった。

店を後にし、自宅へ帰る…
次は自分の連絡先を渡そう!!

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三日後…

今日は深夜まで仕事が長引き、
コンビニにそのまま向かった。

昨日の夜、紙に自分の連絡先を書いておいた。
あとは渡すだけだった。
しっかり財布に入れて大事にしまっておいた。
準備万端!!

店に入り、いつもと同じ感じで、
コーヒー片手にレジへ向かう。

自分「今日もコーヒーだけです。」

西野「いつものコーヒーじゃなくて、
今日はブラックなんですね(笑)」

そう。
今日はいつもと気合いが違うってことだ。

自分「すみません。もしよかったら受け取って下さい。」

すっと連絡先の書いた紙を渡す。

西野さんは戸惑っていたが、
突き返す事はしなかった。

そして、会計を終わらせ外に出た。

もしこれで連絡が来なかったら、
もう二度と来ることはないだろう…
そう思いながら、ブラックコーヒーを
一気に飲み干す。

しかし、その日はびっくりするくらい、
すぐに眠りに落ちてしまい、気が付いたら
朝を迎えていた。
風呂にも入らずに寝てしまい、
気持ちが悪かった。

ふと携帯に目をやると着信ランプが
キラっキラっと光っていた。
そして、見知らぬアドレスからメールが
来ていた。

「昨日は突然の事でびっくりしちゃいました。
でも嬉しかったですよ。
これからもどんどんコーヒー買いに来て下さいね!!

コーヒー好きな名無しさんへ」

キターーーーーーーー!

目が一気にさめていた。

今日は仕事へ向かう足取りが、
いつもより軽い気がした。
これからもっと頑張ってやる!!

一目惚れ

一目惚れ

決して全てがドラマのように上手くいく 恋愛ばかりではない。 それはきっと、もっとリアルな感情で失敗続きの 体験ばかりです…

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-16

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  1. 一章 おっちゃんと女の子
  2. ニ章 二回目と確信
  3. 三章 コーヒーと西野さん