ほくろ
心にずっと蟠りがあって
ずっと、もうずっとあって
今となってはもう、ほくろのようになってしまった。
あたしはあたしの持っている基準となる点をあなたに合わせることができないで、あなたの変わってゆく気もちをどうすることもできなくて、ただ ただ、幼い唯の女になって
泣いた。
壊れてゆくその瞬間が目に見えてしまうのは何よりも怖ろしいことのように感じられた。
誰かが あたしに 何も感じられなくなるような麻酔の注射を打ってくれたらどんなにか楽だろう。
幸せな眠りの後目覚めるとほくろはきれいに取り除かれていて
痛くもなく、只鏡を見ると、そこにほくろが確かに存在したのだと
少し 胸が痛くなる、それだけだ。
ほくろ