あのひと (い)

私にとってのあのひとは
誰かにとってのあのひとかもしれません。

ぱっと思い浮かぶ大切なひとを想って読んでみてください。

しーんと静まった部屋にいる
自分の部屋なのに
なぜか居心地が悪いの

それはきっといつもより
自分の音が聞こえてしまうから

いつもは聞こえないような
心の音が聞こえてくるから

蓋をした感情たちは
いつか我慢した涙たちは
突然こういう時にあふれ出す

なくなるはずもない
行き場のない想いが
私を襲うの

伝えたい
話したい
もっと知って欲しい

すべては信頼がほしいから

でもね
私は本当に本当に
誰かを信頼したことはきっとないの

心の音に耳を澄ましても
素直になれるはずもなく
ただただ混乱して
泣きたくなってしまうの

もし私が死んだら
みんなどうするかな
なんて思うかな

ふいにそんなことを確かめたくなる

私の存在価値を
その意味を

あのひと (い)

あのひと (い)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted