あの時の記憶

処女作です(笑)
そもそもこんなジャンルの小説読まないくせにこんなジャンルの作品が処女作になるとは…
楽しんでいただけたら幸いです。

プロローグ

何であの日、俺はお前に手を出せなかったのだろう?
「英介」
少し悲しそうな笑みを浮かべてこっちを見るお前が、あんなことをするとは思わなかった。


これは、俺の後悔の話


読まない方がいい。
なんせ、この話は俺の事実を語っただけのものだし、今こうして俺がいるのも不自然なくらいだ。

後で、これを読んでいるお前は絶対後悔するだろう。


それでもいいのか?


―なら、始めようか。


俺が語る、最初で最後の後悔という名の事実を。

第1章

ああ、マジでだりぃ。

だいたい、何で今日という日があるんだ?


そもそも、バレンタインデーだなんて女子や一部の男子にとっては天国かもしれないが、俺にとっては地獄なんだよ、糞。

「英介くーん」


だなんていちいち声かけやがって。

「ああ、糞。今日はホントイライラしてんだよ、声かけんなっつーの。そう思わないか?司?」
「まあ、俺は別にいいけど、たくさんもらってるじゃないか?もらえる分だけありがたいと思えよ」
親友の小野司がそうやって俺をたしなめる。
俺達が今いるこの屋上も、普段は5分もあれば着くはずなのに、今日に限っては30分もかかってしまった。
「バレンタインデーだなんて俺はゴメンだ。他でやってろ」

俺が愚痴をこぼすと、誰かからの視線に気がついた。

「おい」
と、いって俺を見下す奴(一応少女だ)とその横で微笑んでる幼馴染がいた。
「なんだよ、莉乃」
「いいか、世の中にはチョコが欲しくても貰えない、哀れな人間もいる。だから、糞糞いってないでとっとと食べろよ。僕はそう思う。怜奈はどうだ?」
「私も、他の女の子たちが英介のために頑張って作ってくれたんだから、貰っておけばいいんじゃない?」
「もしくは、いらないなら、チョコが欲しがっている奴らにでもあげればいいんじゃないか?怜奈も僕も2人のために作ったんだけどな。まあ、僕のは義理だからな?」
そういって、莉乃と怜奈は俺とその横にいた司にチョコを渡した。
「今、昼食でしょ?どうせなら、一緒に食べようよ?みんなで食べた方が美味しいと思うし」
「そうだな」
そういって、俺は弁当箱に入っていた卵焼きを食べた。



―でも、こんな平和な日はこのときの俺はずっと続くものだと思っていた。

第2章

地獄だったバレンタインデーも過ぎ、そろそろ中二だな、と思っていた。

またあいつらと同じクラスになるのだろうか?

1.中原怜奈  俺の幼馴染。
2.小野司   俺の親友。
3.横山莉乃  怜奈の親友で、一番謎の多い奴。一人称が「僕」だし、あまり女子らしくい女子だ。まあ、怜奈と仲良くやってるんなら、それでいいんだが。


そのとき、その莉乃から電話があった。

「お前かよ、ったくてっきり司かと思ったぜ」
「まずいことになった」
「は?」
「怜奈に今日、会ったか?」
「いや、今日は会ってない」
「実はな、さっき怜奈の母親から連絡があったんだが…」
「なんだよ、もったいぶらずに言えよ」
「昨日、学校から僕たちは一緒に帰ったよな?そのあと、帰ってきてないらしいんだ」
「なんだって!?」
「さっき、司にも連絡した。だが、怜奈の居場所が特定できてない」
「っ、俺も今からそっちに行く。今、どこにいるんだ?」
「僕も司も今、僕の家にいる。学校にも警察にも連絡してあるそうだ。くるなら、早く来い」
そういって、彼女は電話を切った。

怜奈が、いなくなったって?

俺はほぼパニックになりながら財布と携帯を持って家を飛び出した。

第3章

「英介!こっちだ!」
莉乃が叫ぶ。
「簡単に言うと、怜奈は行方不明なんだよな?」
「ああ。認めたくないが。とりあえず、あがれ。」
莉乃の部屋はまあ、莉乃らしく物が少ない部屋だった。
「僕が思うに、怜奈がいなくなった理由はこうだと思う」
「なんだよ、早く言えよ!」
「落ち着け、僕自身も焦っている。お前たち2人…いや、男子は知らないことだと思うが、実は怜奈は夏休み明けからいじめられていたんだ」
「なんだって!?」
「ああ。いじめている側の理由はすごく小さいものだが、怜奈はストレスだったんだと思う。僕はそっとしておいたが放課後、先に帰っててって言っていたときがたまにあっただろ?あのとき、こっそり残っていたんだが1人で泣いていたぞ。それに、最近はエスカレートしていたしな」
「何されていたんだ?」
俺が聞こうとしていたことを司が聞く。
「最初の方は無視したりしていたんだが、今は物を隠されたり、まあ、とにかく、あきらかに酷いことされていたんだよ」
「そうか…怜奈の携帯、出るか?」
「いや、出ないんだ」
「わかった。すまない、今日はもう帰るな…」
「ああ。あと、明日は必ず学校来いよ?わかったか?」


俺はうなずいて莉乃の家を後にした。

第4章

次の日、怜奈はちゃんと学校に来た。
何もなさそうだったが、放課後、莉乃、司とこっそり残っていた。

その情景は口にしたくない。

それはひどい有様だったからだ。

それでも、彼女は笑っていた。
「怜奈!」

気づけば俺は教室の中に飛び込んでいた。

「えい、すけ…?」
「なんで、言わなかったんだよ?」
「…」
「心配したんだぞ?」
「…」
会話が続かない中、莉乃がフォローをしてくれた。
「これはいったい、なんなんだよ」
「それは…」
とまどっている怜奈の代わりにいじめていた女子グループが口を開いた。
「うざかったんだよ」
「だからって、そんなことしたら…」
「あんたにまとわりついているこの女が目障りだったんだよ!!!」

しばらくの沈黙。

「それを破ったのは、怜奈の言葉だった。

「ごめんなさい。英介のことが好きな子はたくさんいた。その中に私がいたから、こんなことになったんだ。私が悪いの。でも、最後に言わせて?
楽しかった。すごく。でもこれから、もっといやなことがあるんだろうな。それがもう、いやなの。だから、」

待て、それ以上言うな。

「英介、莉乃、司。みんなとお別れしなくちゃいけないの。だから…、さよなら」

そういうと、彼女は窓枠を蹴って自ら飛び降り、





死んだ。

エピローグ


さよなら、その言葉は嫌いだ。

3年もたってるのに、いまだに後悔している。

彼女の気持ちに気づいてあげられたら。


葬式のとき、莉乃は珍しく泣いていた。

「ぅう…くっそ、どうしてもっと早く気づいてあげられなかったんだ…」


後悔している。



今、彼女は笑っているだろうか?

あの時の記憶

終わった…

大変でした。

自分でも、結局何がかきたいんだよってなりましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

あの時の記憶

時雨です。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. プロローグ
  2. 第1章
  3. 第2章
  4. 第3章
  5. 第4章
  6. エピローグ