日赤従軍看護婦のみたもの

現代のマスコミ報道に騙されている。

日赤従軍看護婦のみたもの

近頃ネットのお陰もあってあちこちで右傾化したコメントが見られる。その原因をみるとこの世の中の不景気がそちらへ向けられているのではないかと感じるのだが、実際右傾化の報道はどうしてでるのだろうと考えると実に簡単なことに気がつく。
 マスコミは当然企業なのだから金を儲けなければならず、そのためには金を出してくれるところを探す。その金を出してくれる相手のメリットになる報道しかしないのは企業として当然のことで、そこに報道の倫理を求めることがそもそも無理なのだと感じる。そうなると、今でも戦時中の大本営発表があってなんら不思議は無く、CMと同じで毎日垂れ流される事実がどうか分からないニュースを、これほど言うのだから本当だろうと信じてしまう。
 さてその報道の中にこれまた相変わらず流れるのが戦時中の従軍慰安婦問題である。方や20万人が拉致され無理やり性的はけ口に使われたといい、方やそれは捏造で実は志願したものだと反論する。当然お互いの意見をぶつけそれをマスコミが報道するというものであるが、なぜ同じようにその報道を行うのか考えたことがあるのだろうか?その報道で得するのは誰で、その報道をさせている裏、すなわちスポンサーは誰なのかを考えたことはあるだろうか。
 私の母親は今年96歳、今でも頭は私よりしっかりしていてニュースや新聞を見てはその評論を書いたりしているスーパーばあちゃんだ。その母は戦時中日本赤十字病院の従軍看看護婦として昭和14年から終戦まで従軍していた。陸軍病院勤務、病院船勤務、ベトナムやビルマで戦いの中看護していた実績を持つ。
先日この母が入院してしまい、荷物を探しに行ったとき部屋の中にあった箱の中に「従軍記録、捨てるな」とかいた箱を見つけた。昔の話は母から見てはいけないものも見、言ってはいけないものも体験したと良く聞かされていたので、これがそうか、どんな内容なのかと見てみると、当時の日記を再編したもので子と細かくきれいな文字で書かれていた。
 当時日赤看護婦は20年間家庭にどんな事情があろうと従軍する義務があったのをご存知だろうか?子供がいても両親が病気でも関係なく男性と同じく赤紙、召集令状が送られて来、無条件でそこへ行かねばならなかった。前線で戦ったのは男性ばかりでなく若き女性も同じく弾をかいくぐったのである。その数は延べ33000人にもなり殉職者は1000名を超え、負傷者は4700名近くになっている。その多くは劣悪な環境で働き結核や南方の伝染病に感染したもの、また弾にあたったもの、船が沈んで溺死したものである。
 この看護婦達は当時年金制度が無かったため、年金受け取りの対象にならず、うちの母など恩給も無く貰ったのは感謝状ただ一枚であり、そこへお金を支給しようなど今までの政治家、マスコミは全く発言しないのに、従軍慰安婦は国が補償し70年近くたっても同じように問題視し同じように揉める原因になっている。さて、それで誰が得をするのだろう。

 母の日記より紹介する。美しく擬装された病院船うらる丸は昭和17年4月30日サイゴン(現ホーチミン)を発ち5月3日シンガポールに到着、翌4日此処を発ち11日ビルマ(現ミャンマー)ラングーンに着いた。

5月11日
いよいよ待ちに待ったラングーンに来た。昨夜埠頭に着いたが宿舎の準備が出来てないというので上陸できなかった。朝鮮から慰安婦の一行も同時に上陸したがどこへ行ったかは知る由もない。埠頭の焼け野原の現状を見ると皇軍の奮戦の跡が覗われる。小雨の中を焼く30分トラックは走ると第106兵站病院遠藤部隊という文字が目の中に飛び込んできた。云々

当時軍隊は病院船といいながら慰安婦のみならず兵員、武器も運んでいたがそんなことは言うはずもなく、それをしったアメリカは病院船であっても攻撃するようになった。その被害だけは国民に知らされ、プロパガンダで鬼畜と思わされたことは言うまでもないであろう。
このご一行様以外にも何度と無く若い女性を運び、大連では降りた場所に人力車が迎えに着ておりそれに乗ると悠々と去って行ったそうだ。それを覚えている母は「何が補償だ、あれは売春婦だ」という。しかしこのビルマでの別の場面では全く番う光景に出くわす。ビルマ、ラングーン勤務になった母はここで伝染病に感染してしまい生死の境をさまよい、入院治療になった。その時同郷で同僚の看護婦が面倒見てくれていたが、彼女の記録にあったのは全くの反対の姿だった。

4月29日 サイゴン 

その時タラップを駆け上がった母たちが見たものは、元気な兵士や若い女性だった。
そのとき初めて病院船といいながら輸送船になっていたことに気付く。
あとで分ったことだがその若い女性は「慰安婦」だった
その慰安婦も「船内で兵士に尿をかけられ蔑まれ、侮辱に耐えている姿は哀れであった」 (大久保 手記)
とあり、どのようないきさつでその船に来たかは定かではないが、それは可愛そうな状況だったと思われる。

 現代右傾化した人々は昔のことも調べずただマスコミが報道することを自分勝手に解釈し相手が悪いとけなしあう。イラクもアフガンも、リビアも中国も韓国も。それがなぜ起きているかなどお構い無しに自分たちの立場が絶対で相手の言うことは嘘で卑怯と信じ込む。しかし本当か!?
 当然かわいそうな女性もいただろう、被害者は必ずいる、それが戦争である。お金を貰った女性もいただろう、そんな日本人は当時の日本でもいたし今も間違いなくいる。日本は戦いに負けアメリカが進駐し女性は旦那を戦争でなくし食っていかなければいけなかった。当然身体を売った人もいるであろう。しかしそれをお前たちが悪い、こちらは被害者だ、いや捏造だ、いや保障は済んだといがみ合って何が生まれるのか。
お互いいろいろなことがあった、戦争で内面もぼろぼろになった、もうやめよう。こんなことしても何も生まれないし、ただ利用されるだけと考えれば全く違うものが生まれるはずであろう。それをまるで中国と戦争することが日本の自立と自治を誇るかのように騒ぎ立て、紛争することが国益にでもなるかのように無責任な報道と書き込みを行う。レーダー照射現場にさも自分が乗っていたかのような書き込みまであり、相手はやる気だとまで書いてある。とんでもない話だ。
 国が国民を考えるなど夢のまた夢、考えてみるがいい。原発は未だにどうなるか分からない綱渡り状況でも国はそこへ帰れというし、現状など報道しない。昨年の3月11日のことでももう報道しないし隠すのである。そんな国、政治家が国民を救うはずが無い。まして国が潰れるほどの巨額の債務を負って立ちいかないアメリカが日本を救うはずが無い。
その報道もアメリカが助けるかのように思わせているだけのことで、条約というのは平和な時有効なのは日露友好条約みても明らかである。
そのマスコミに金をだしている巨大な力はなにか?マスコミの報道の裏は何か良く考えて、相手をたたくのではなく、それを使っている元をたたかないと結局自分たちは反対するどころか加担してしまうことになるのだ。正義ずらして訴えているあなたが実は加害者になるのですよ。

先の大戦の時にいわれた大東亜共栄圏が良かったかどうかは歴史学者に任せるとして、今こそアジアがまとまらないと、いつまでたってもメジャーの餌食になると思わないだろうか?TPPなどその最たるもので、自治権を奪われるとなぜ思えず、一方で農家を食い物にし衰退へ導いたのはいったい誰だったかとなぜ考えないだろうか?

毎日さもあらんと流される報道、これには必ず裏がある。真実を真実のまま報道することはまずありえない。さまざまな情報をさまざまな考えの下自分で得て、本当はなんだろうかと考えないと必ず崩壊へいってしまう。もう崖はそこまで来ているのである。

日赤従軍看護婦のみたもの

日赤従軍看護婦のみたもの

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-12

Copyrighted
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