オナラと共に去りぬ

オナラと共に去りぬ

綺麗な女性が目の前で想像を絶するオナラをしたら⁈
私は思わず、目を丸くして驚いてしまいました。

本当にあった、ちょっと笑えて、恥ずかしい話です。

「風と共に去りぬ⁉」

それは、夏の暑い日の出来事だった。偶然が重なり起きたハプニングで今でも私は忘れられない。

私は、御茶ノ水駅を降りて神保町に向かって坂を下っていた。
街路樹にとまった蝉達も元気いっぱい夏を謳歌していた。

照りつける日差しに私は少し目が眩んだ。
そして、朝から飲まず食わずだったので、喉もからからだった。
時計をみるとまだ、14:00で次の打ち合わせの15:00まで時間があった。
私は、目の前にあったコーヒーショップに入る事にした。
レジでアイスコーヒーとホットドックを注文して、カウンターから灰皿を取り、喫煙席になっている2階に上がった。
すでにお昼を過ぎたオフィス街の店の中はガランとしていた。
私の他には、老齢の夫婦がいるだけだった。
私は、一人だったので誰もいないカウンター席に座り、アイスコーヒーにミルクとガムを入れ、ストローでかき回し、一口飲んだ。
まだ、ガムが下に沈殿していたらしく、甘いコーヒーが口の中に広がり、胃の方へ落ちて行くのを感じた。
そして、ポケットからタバコを取り出して、ゆっくりと深くタバコを吸って一息ついた。

すると、カツカツと小気味良いヒールの音が聞こえてきた。
そして、その音が近づいてきた時、私の視界に黒い人影が映った。私は、それに目を向けた瞬間、心を奪われた。
その理由は、彼女があまりにも綺麗な人だったから。
サラサラの肩まで伸びた黒髪を一本にまとめていたので、横顔が見えた。顎のラインがすっと伸び、うなじから首筋にかけて見える肌は本当に白くて眩しかった。
そして、キリッとした瞳が印象的なOL風の女性がトレーにアイスコーヒーを持って、私の二つ横の席に座ろうとしているところだった。
とその時、彼女がとても可愛らしいクシャミをした。
「クシュン、クシュン」本当に女性らしい抑えるようなクシャミが連続した。
「クシュン、クシュン」その四回目のクシャミが出たと同時に、くしゃみ以外の弾けるような擬音が私の耳に飛び込んで来た!

「ヴィリッッ!!」
その音は、まさしく汗でくっついた左右のお尻のお肉とお肉を肛門から噴出し、行き場を無くしたオナラによって無理矢理引き裂かれた時に起こった振動音だった。

その音に驚いた私は、「へっ⁉」と彼女の方に振り向いてしまった。

そして、そこには自分でも何でこんな音が出てしまったかわからずに驚き、恥ずかしがる彼女がいた。

絶対にテレビ番組なら、スローモーションでもう一度再生されることだろう。

こんな感じに。

それでは、スローモーションでどうぞ!
「ヴィィ~~~ッ、リィィ~~~ッ」そして、画像には、オナラによってブルブルと揺れるお尻のお肉がアップに映る。
次の瞬間、画面は彼女の顔にスイッチされ、「キィィィィャャャ~~ッッ、やぁだぁ~~ッ!」という顔をした画像が流れる。

その後、私は現場にいた承認者として、顔にモザイクをかけてもらい、音声も変えて、インタビューに答える。

「あの音は凄かったですね。『あんな綺麗な女性から?』と耳を疑いました。
えっ?  匂いですか?
そう言われてみたら、匂いは気になりませんでしたね。」


そのあとの彼女は、椅子に座る事も無く、アイスコーヒーに一口も口を付けないままに、去って行ってしまった。

そう、「風と共に去りぬ」、
いや、「放屁と共に去りぬ」だ。

私は、何で知らんぷりしてあげられなかったのか。どうして、「あー、オナラしちゃった。失礼」と自分がした事に出来なかったのかと後悔した。
と言っても、もう時間を巻き戻す事は出来ない。

事実、彼女が残していったアイスコーヒーがすでに結露をし始めていた。私は、それを勿体無いから、いただきながら、かの有名な「相田みつを」の名言をもじれば、

「おならが出たっていいじゃないか 人間だもの」
*本当は、「つまづいたっていいじゃないか」
とつぶやいていた…

オナラと共に去りぬ

人間とっさの判断で自分を犠牲に出来ないとなと
思った出来事でした。

オナラと共に去りぬ

真夏のコーヒーショップに響く爆発音は、まさしく目の前の綺麗なお姉さんから発せられたものだった。暑い夏、大量にかいた汗が引き起こした悲劇?喜劇?

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-09

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