天黒地白

音で遊んでみたのですが、一行かけば前一行、音を忘れてしまいます。

駄洒落のようなものなのです。

天黒、地白
あいだはまだら
バスを待てずに歩きました
時をも止める静けさは
僕の耳から打刻します
両の掌で押し返し
喉を震わせ突き進み
跳ねるように踏みにじります
電灯が灯す暖色坂は
怠惰をすべて吹き飛ばした
シュク、シュク、シュク、
一歩一歩よろよろと
永い小山の山脈が
靴底にスッとくいつきます
静けさはついに耳から奥へ顎を貫き
虚しく努める掌と
喉に熱いれ鳴くのです
絶望を知りました
一人はとても淋しいです
人はとても身勝手です
そんな僕は煩わしいです
いつも君は怖いのです
両側に広がる森の影が
共に裁きを待っています
シュグ、シュグ、シュグ、
登りながら想います
低音が満たす僕の家
飛び込み消え入る文字の中
僕を見ず、僕を触れない
僕は見る、僕も触れない
とてもとてもやさしいですね
シュグ、ジュグ、ジュグ、
唯一黒い地面の河を
辿っていけばもうすぐです
月は僕を見ていません
僕は悲しむべきでしょう
ズ、ズ、ズ、
そんなに遠くなくなりました
静けさはでも淡々と
僕を貫き続けます
そして僕も僕を襲います
ここで僕を苛めるものは
僕一人だけなのです
淋しさの影は僕でした
居る限り止めはできません
そしてやっと見えた先の灯に
はぁ、と吐息に気づいたら
動力である心臓が
機関らしく鼓動を刻み
熱を漏らし続けます
やっと扉の前に立ち
振り向くと見える
天黒、地白
僕の帰路

ただいま僕はかえりました

天黒地白

天黒地白

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-09

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