夕焼け。こやけ。 第二話

おはようございます。第二話のお届けです。アパート大家の千代鳥さちかの居酒屋さちかに行く岸井。お楽しみに。

第二話


 「夕焼け。こやけ。」
       (第二話)

         堀川士朗



あー。
来年ついに三十路突入かー。
この年になって気づいた事も何か何となくあるし、足の冷え性は年々ひどくなるなー。
長時間冷水に浸かっているみたいだよ。
もう足先は、別の生き物。
足先が、変温動物。


ベランダに置いてある多肉植物が朝の光を求めて首を伸ばしているようだった。
私も光を求めてベランダに出た。
日光浴をしてビタミンDをおのが体内にて生成しなければならない。
日向ぼっこ。
昼の強烈な明かりはともすればメラニン色素を誘発してしまう。
ただ、ただひたすらに、朝、朝の光を求めた。
その行為は、趣味と実益を兼ねたプリミティブな遊戯だった。


私の会社は新宿御苑の程近い場所にある。
家からも埼京線で三駅だ。
新宿駅からはけっこう歩くけど心地好い道なりだ。
秋になると新宿御苑の銀杏並木が色づいてとても綺麗だ。


仕事を終えて帰宅し、アパートに併設された居酒屋『さちか』で夜ご飯を食べる。
大家さんの千代鳥さちかさんが店主だ。
『さちか』開店十五周年記念の祝い酒として日本酒がマス酒で振る舞われた。
お客さんもいっぱい!
豚バラ炒めがとても美味しい。
アマニ油のマヨネーズで炒めてある。
カウンターの前に置いてあるマヨネーズもアマニ油だ。
美味しいしからだに良いなんて最高だなぁ。
あと、〆のけんちんうどんだ。
美味しいイワシつみれが入っていて出汁が効いていて美味しい。
お腹も大満足!
さちかさんが嬉しそうに働いている。

♪
分かってます
保身でしょ
華は綺麗だって
ほだされて
馬鹿よ馬鹿よね
おんなって奴は
飲めるわよお酒ぐらい
たかが般若湯じゃない
尽きぬ尽きぬ尽きぬ
あたしの恨み言
馬鹿よ馬鹿よね
おんなって奴は
濡れた太陽なびかせて
独りゆくゆく
孤独の果てを
尽きぬ尽きぬ尽きぬ
あたしの恨み言

この店常連の南条栄子さんの弾き語りも耳に心地好くて、そのままカウンター席で寝そうになるが、私の部屋は『さちか』から近い。
二千円(安い!)の勘定を済ませて帰宅徒歩零分。
布団にバタン。
盤石だ。
全て盤石だ。


          続く

夕焼け。こやけ。 第二話

ご覧頂きありがとうございました。また来週お会いしましょう。

夕焼け。こやけ。 第二話

アパート大家の千代鳥さちかの居酒屋さちかに行く岸井。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-31

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted