騙しのレプリカ

この物語は誰にでも起こり得る事である。

この物語は誰にでも起こり得る事である。

 この物語の主人公は川崎透と言う。表面上は自由業を仕事にしているとなっているが、実際は詐欺である。稼ぎも結構大きい。そして性に合っているのか、いつの間にか5年ぐらい経っている。
 そんな時だった。彼女に出会ったのは。話に聞いていた彼女はトロいくせに、お金をたんまり持っているので、周囲にあんまりよく思われていないという事で、それは絶好のカモだと思った。しかしそれがそもそもの悲劇の始まりだった。
 彼女の名前は佐藤真紀と言う。彼女の事を知ったのは知り合いとの雑談の時だった。その時佐藤の名前が出てきて、人となりを聞くと、興味が湧いて、詳しい事を聞き出した。
 佐藤は両親が死亡して、莫大な遺産をもらっていて、田舎に優雅に暮らしているらしい。川崎はその知り合いに彼女とは実は知り合いで、連絡先を教えてほしいと持ち掛けてみると、あまり考えなかったのか、教えてくれた。
 数日後彼女の家を訪問した。最初は門前払いだったが、実はあなたとは古い知り合いだと嘘をついて、あれやこれやと佐藤との関係に辻褄を合わせていると、佐藤は渋々家の中に入れてくれた。
 川崎は古い知り合いという事を強調して、彼女との距離を縮めた。そこで実は知り合いが窮地に陥っていて、その人は社長なのだが、借金があって、でもちゃんと返済する予定だったのが、他の事で急に入用になり、返済が出来なくなっている事を切り出した。もちろん佐藤はなんで自分がと渋ったが、そこで川崎はまた実は社長は佐藤の両親とは仕事を通して苦楽を共にした仲という事を強調すると、佐藤はいくらですかと言うので、川崎は1000万円ですと言った。
 佐藤はやはりそんなにと言ったが、川崎は不安なのは充分わかりますと言って、社長の自宅を担保にしますと食い下がる。それでも佐藤は渋るので、後日社長の自宅の担保を証書で持ってきますと川崎は言う。佐藤は貸すのは保証しかねますが、一応証書を見て、決めたいと思いますと言った。
 そこで川崎は佐藤宅を後にした。それから喫茶店に寄って、作戦を頭で捏ねくり回していると、とりあえず知り合いに連絡を取った。川崎の人柄なのか、渋られたが、とりあえず来てくれた。その知り合いは色々偽造書類を作っている人で、早速佐藤との話をすると、また渋られたが、報酬を高く見積もってやると、請け合ってくれた。川崎はなんでこうも渋られるのか、理解に苦しむ思いだった。後日知り合いは偽造書類を作ってくれて、打ち合わせ通り結構代金を支払った。早速佐藤宅に証書を持っていくと、そういう事ならと、お金を工面してくれた。
 ここまでは何とかなったが、もちろん川崎は佐藤の前から姿を消した所、最初川崎は違和感を感じた。何かはわからなかったが、しばらくして何故か近所で事故があった。火事やら、飲酒運転やら、交通事故やらと、新聞でそれを知った。川崎と関連があるとは思われなかったが、嫌な予感がした。
 そんなある日仲間内でパーティーがあり、川崎も参加した。結構楽しんでいると、人数は多かったが、その内の1人が血相を変えて、川崎に近づいて、あたしのお金返してください。あの偽造書類偽物じゃないですか。返さないなら、警察に通報しますよと佐藤だった。彼女の顔を見た時愕然とした。彼女の言い分を聞いていると、とりあえず話の辻褄を合わせて、後日返済の約束をして、連絡先も教えて、その場を取り繕った。
 後日直接佐藤と会うと、やはり佐藤は両親にそんな知り合いいないし、証書も調べてみると、そんなもの存在していなかった。お金今すぐ返してくださいと言われた。川崎は何とか辻褄を合わせた。そうしないと警察に捕まってしまう。
 そして数日後佐藤とまた会うと、仕方ないので、有り金掻き集めて、お金を返した。何とか借金はしなくて済んだ。しかし別れ際佐藤はもうあたしの前に姿を現さないでくださいと言った。
 川崎はその時こんな失敗は生まれて初めてだと本当に悔しくなって、地団駄を踏んだ。

騙しのレプリカ

騙しのレプリカ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-21

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