MUDDY LIFE

出会う

「はぁはぁはぁはぁ」
パーカーと長いジーパン姿の16-7辺りの子供が何かを大事そうに抱えながら誰も住んでいないようなビルとビルの細く暗い通路を走っている。

そして反対側からも、同い年くらいのT-シャツとジーパンの子供が走ってくる。

当然ながらお互いは気づいていない。

だから、当たり前のようにお互い激突した。

「痛っ!どこ見てんだょ!
...え?それ子供?」T-シャツの子供が怒鳴った。

「医者、医者は居るか?」と叫び返した。

仲間

「ふーん。そうなんだ...。
俺は南。同い年だな。」

「...」アレックスは黙って聞いていた。

「所でその大事そうに腰にぶら下げてるモノって何?」
「...人を殺す道具。お前おしゃべりだな。」

「はっ?冗談だろ(笑)まだ17なのに?」
またもや反応しない。

「所で今日は病院に泊まるの?」

「特に決めてない。無理なら外で寝る。」


「だったら、俺んとこ来いよ。シェアしてるんだ。仲間同士で、だから今日からお前も仲間な。もし、来るんなら。部屋だってまだ3つくらいあるし、必要最低限のものは揃ってる。大丈夫さ。金だってとんないょ。」

住民

「おーい。起きろー。アレックス!」
一階から、南の声がする。
「起きろってば。朝飯逃してぇのかぁ?」
ドタバタ....南が階段を上ってくる。

そのころアレックスはというと
ベッドで寝ながらモゾモゾ動いていた。

ガチャ。南がドアを開けた。
「アレックス!いい加減起きろ!」
かなり怒鳴ったつもりだったのだか、アレックスの寝顔は全く変わらない。
そこで、喉も疲れたらしく、アレックスを揺すると直ぐに起きて、彼を警戒していた。

「オイオイ、殺しゃしねぇよ!朝飯だ。皆お前を待ってる。」

アレックスは南をじっと見てから
小さく分かったと頷いた。

キッチンには、目玉焼きやパンなど朝ごはんの定番のものが沢山ではないけれど並んでいた。

南とアレックスを含め8人テーブルに着いていた。

彼らは、二人が来るなり大声で頂きますと言いドリルのような勢いで食べ始めた。

朝ごはんが一段落すると、
彼らの自己紹介が始まった。
「私はサラ。18だよ。よろしくね」と白人系の金髪のロングヘアの女の子が言った。
「あー俺はラビで16。」と175くらいの茶髪の白人系少年が。
「ボクは大(タイ)、10だよ。」と日系の少年。
「ウチは、デレク。17だ。こう見えても女だ。間違えんなよ?」と金髪のショートカットでボーイッシュの少女が。
「ん。俺ジャックね。19だ。ん。」と180くらいのアジア系の少年。
「俺クリス。20。」と無愛想な大人。

「これで全部かな?さぁさぁお前も。」
と言いと、すんごい嫌そうな顔で

「アレックス。17。よろしくお願いします。」
と、小さくボソッっという雰囲気で言った。

発覚

「病院行くのか?」と南。
アレックスは黙って頷き、さっさと支度を終え部屋を出ていった。
南は最近アレックスの部屋に入り浸るようになっていて、
用がない時でもアレックスは南と一緒に居るハメになってしまっていたのだ。
最初は彼も何度か話しかけていたのだが、必要最低限にしか喋らないし、喋ったとしても、ボソッっと言う感じだった。
だから、手っ取り早い会話(果たして会話と呼べるか分からないが)はyes.noクエスチョンですることだった。

部屋から南も出て、一緒に病院に向かう途中背後でものすごい爆発が起こった。
この町では、月にいっぺんは起こるような状況だったので、あまり気に求めなかったが、アレックスが野生のような目で爆発した方を見て、いきなり南の腕を掴んでものすごい速さで走り出した。
どんどん煙や砂が舞っている所へ突っ走っていく。
そしてよく見ると、そのには血塗れの大が倒れていた。
南はこんな状況を見たことがなく腰を抜かしてしまった。
大は気を失っているらしく、ぐったりしていた。
そこへ、なんの躊躇もなくアレックスは歩いていき傷口等を調べ始めた。
彼をアレックスの服を裂いて作った包帯でグルグル巻きににして、南に
「安心しろ、コイツは死なない。ここで待ってろ。やったやつあそこに居るから殺ってくる。」
と言い残し、地面を蹴ったかと思ったら、いきなり高く飛び上がり周りのマンション等の壁などを蹴りながら向かい側のビルにたどり着きそこに立っていた男を掴み10階建てくらいの高さからロープも使わずひとっとびで降りた。
アレックスは、完全に人間離れな行動を撮っているわけだ。
そして南は気づいた。
アレックスが人間を傷つけることをなんとも思っていないこと。
以上なほどに発達した身体能力。
彼はアレックスのパーカーの右袖の部分をバット勢いよく引っ張るとA.01と刺青が入っていることに気がついた。
これは、特殊な訓練を受けた人間に必ず彫られる印であることに。

killer

「お前、キラだったのか!?」と南。
「うん。そんでコイツどうする?」とアレックス。
「そんなことはどうでもいいよ!!
お前がキラだったら、誰も黙っちゃいない!
棺桶につれてかれちまう!
大体どうして、こんなとこに.....
お前、もしかしてまだ収用されてない奴なのか...?」
頷くアレックス。
「俺たちだけの秘密にしよう。見つかったら収用されちまう。」
「で、コイツは殺さないのか?」
「殺さない。丁度良く今気絶してるし、警察の気づく場所に放置しようぜ。」
アレックスは、じっと南を見てから無言で犯人を
引きずりながら、警察の所へ向かった。

もう二つの発覚

ドサッ アレックスが犯人を警察のいない間に素早く放り投げ、ダッシュで戻ってきた。
南とアレックスは裏の道を通り家へと帰った。
南はアレックスに風呂に先に入るように命じ、二人はそれぞれの部屋に戻った。
アレックスが風呂シャワーを浴びて出てこようとした時丁度南がトイレに入ろうとして会ってしまった。
「....え?」と南は凍りつき、アレックスもショックな顔でその場にしゃがみこんでしまった。
「アレックス、お前女だったのか?」
彼女は頷く。
「ちょっと出ていって。」とアレックス。
それから30秒後、二人はまた向き合って話始めた。
「お前が見たもの周りには話さないでくれ。
後、もう二つも秘密がバレたからもう最後の秘密も言うよ」
「え?秘密?」
「聴こえない。」
「は!?」
「耳、聞こえないんだ。」
「冗談やめろよ。じゃぁ何で会話が成り立ってるわけ?」
「読唇術。見てれば大体分かる。昔耳が聞こえてたから、喋る事に関しては大変じゃない。ただ、音量で困ってるけど」
「....《あぁ、だから初めて会った時もこっちを異常なほどに見てたのか》」

過去

「ところで、何でお前の仲間と一緒じゃないの?」と、南。
「あいつらと一緒に居たら、弟が死んでた。」
「そーいえば、弟の名前何て言うんだよ。まだ教えてくれないのか?」
「いくら南でも教えられない。」
「お前の弟について知ってるのは7才くらい、病弱、アレックスになついてる、あと、アレックスに全然似てない。」
「....は!?お、お前何を....!?」
「ほら、やっぱり本当の弟じゃないんだろ?」
「お、お前.....一体何なんだよ!!
弟は知らないだけだ!でも種違いなだけだよ!」
バシッ!
「いってぇ!殴る事無いだろ.....って!おい!アレックス!大丈夫か!?顔色が....」
とその直後にアレックスは倒れた。
「医者を呼ばないと....」
ガシッ、アレックスが南の襟首をつかんで
「呼ぶな!薬害中毒なだけなんだ!」
「薬害中毒?キラは薬害中毒者だったのか?」
「そうだ!薬で身体の何処かを犠牲にして、力を得るんだ。それには、ADF5324が必要で、定期的に飲まなきゃいけないんだ!でも、もう2か月ほどなくて我慢してたんだけど、流石にもう限界だ。」

your medicine, your power,

「アレックス? 起きた? 薬はまだ手に入ってないけど、気休め程度の薬は手に入れたから今それを打ったよ
一応医者に見せようかと思ったけど、キラだと話変わってくるし、お前の部屋の方が安心だろ?」
「.....ありがと」
「で、薬とかどこに行けば手に入る?」
「分からない。いつも雇い主が任務達成したやつに給料みたいに渡すシステムだったから。」
「そうか.........。それはかなり困るな。どのくらい体もつんだ?」
「完全に動けなるまでせいぜい一か月だな。」

ガタ!

ドアが開き、そこから険悪ムードのデレクが入ってきた。

「お前ら、もっと慎重に話なよ。他の奴らにばれたらどうすんだボケ!」

アレックスは何が何だか分からない様子だった。
多分早口過ぎたんだろう。

そして南が
「お、お前聞いてたのか!?」と聞き返した。

「お前らウチをなめてんのか?ぁあ?」
「え、なめてません」
「............」
「南お前と暮らしてもう10年近く経つけど、まだウチの本当の職業に気づいてないんだな。ホントあきれたよ。」
「あ、あきれるってなんだよ!お前がどうしたってんだよ!」
「人殺し」

一瞬にしていやーな雰囲気に一変した。

「は?そんなわけ...」と南が.....。
「あたり!良い感してるねーうん!凄い!なんでわかった?」
「...匂い。最初にあった時から血の匂いがした。あと火薬の匂いもした。いつも念入りに仕事の後洗ってるんだな。でも俺には分かるよ。」
「へー。アレックスすげーなあ...って本当なのか!?」
「本当だよ。ドンぴしゃだ!」
「そんで、薬が流れてる場所も分かってるんだろ?ADF5324の匂いがかすかにする。キラではないから、場所知ってるんだろ?」
とアレックス。
「ああ。知ってる。それにお前の正体も。秘密にしてほしければ、ウチの条件飲んでくんないかな?ジョンストンファミリーを全滅してくれ。まだ中規模な組織だ。全部で2000人くらいだけど、難しいか?」

......アレックスはニヤってちょっと笑ってからまたベットにもぐった。

「交渉成立みたい。」と南。

交渉

「アレックス!頼んだぞ。」肩を叩きながらデレクが言って、家を出た。
「お前体大丈夫か?もし駄目だったら、切り上げてこいよ?」と南。
アレックスは頷いて家から出ていった。
深夜3時だったので、あまり人に会うこともなかった。
ジョンストンファミリーの縄張り近くまで行くと、当然のように見張り番が居た。
大体20人前後だろう。
アレックスは、刀を抜いて音をたてずに近づいた。
周りが木々で囲まれていたから、かなり動きやすい。
最初に狙うのはもちろん一番近い5人からだ。
このジョンストンファミリーの屋敷は正方形の形をしている塀に囲まれている。
そして、すべての面に一つずつ門がある。
おそらく1つの門につき5人の見張り番が居るのだろう。
そして、最初に狙われるはめになった5人は1分も立たないうちに殺られた。
そして、その事に誰も気がつかない。アレックスが全く音をたてなかったから。
殺されたやつらも気がつく前に殺された。
彼女はこれをあと、三回繰り返し門の周りの人間全て殺した。
中に入ると屋敷の周りに100人以上の、見張りが居た。
100を越えると流石に見付かる。
だから、声をあげる前に殺す。
斬りかかる前や、銃を打つ前の体勢を見れば大体次の行動が分かる。
こうして中心に向かって人間を殺っていくと、最終的にリーダーに出くわす。
少してこずりはしたが、殺した。気付くと朝の5時になっていた。
アレックスはもう南が打ってくれた薬がきれそうだったので、帰るのに苦労はしたが、デレクとの交渉の半分は成立した。
あとはデレクで薬を渡してくれるかだ。

new medicine

アレックスが家のすぐ近くで倒れているのを南が見つけて部屋に運んだ三時間後ぐらいにデレクも戻ってきた。 
彼女は段ボール箱いっぱいに薬を入れてきて持ってきていた。
アレックスがそのあと起きたのは2日後だった。
アレックスに薬を渡すと彼女は物凄い驚いた顔をした。 
「デレクどうやってこの一番入手困難な薬てに入れたんだよ!?」
「え、それすごいヤツなのか?」
「あぁあ。これ、普通のヤツより持続性が長いくて、強力なんだ。」 
「へぇー.......すげぇな!」
「まぁ、ありがたくもらっとくよ。」
「じゃっ。お大事に。」

アレックスは薬を飲んだあと、いつも通り病院に居る弟の所に通い始めた。


 

MUDDY LIFE

MUDDY LIFE

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08


  1. 出会う
  2. 仲間
  3. 住民
  4. 発覚
  5. killer
  6. もう二つの発覚
  7. 過去
  8. your medicine, your power,
  9. 交渉
  10. new medicine