とびだせzokuダチの森・4

困った新住人達

その日、ルールーはえみるを連れて夕飯の買い物後の帰り道を歩いていた。

「ルールー、買ったチョコ、少しだけ食べるのです!」

「……駄目ですよ、夕ご飯前なんだから、それに虫歯になります……」

「ぶーぶーです!」

「ちがうます、ぶーぶーいうです、わしらです。」

声に振り向くと、立っていたのはどせいさん。

「ああああーっ!……ふ、ふにふに……、なのです~……」

「やわらかい、……はああ~……、何だか幸せ……」

えみるとルールー。家に帰るのも忘れどせいさんにハグ、
鼻ふにふにをしまくる……。

「ねえねえ、ちょっとちょっと!そこの可愛い女の子達!」

「はい……?」

またまた違う声がした。ルールーが振り向くと……、そこに
いたのは金髪、センター分けショートヘアで何となく猫顔。
少年には尻尾が。

「オレ、今度此処に越して来た、ジタンってんだ!住人登録手続き
しなきゃなんで役場を探してんだけど……」

「役場ですか?それでしたら……」

「ルールー!この方から何だか危険なニオイがプンプン
なのですっ!」

ジタンに役場への道案内をしようとしたルールーの前にえみるが
立ち塞がった。

「ちょっとちっこいけど、君も中々可愛いね!どうだい?お二人さん、
オレとお茶でも……」

……Wみしっ……

「あら……」

「おおう!なのですっ!」

ジタンの頭に左右から覆い被さる二つの猫の手ラケットが……。

「どうも失礼致しましたわ、連れが暴走をしてしまいまして……」

「全くもう!本当にジタンたら!可愛い女の子となると!本当に
見境がないのだわ!」

「いだ、いだいよ、……ダガー、エーコ……」

ジタンにW猫の手ラケット攻撃をしたのは二人の女の子。
片方は綺麗な黒髪ショートヘアにまるでお姫様の様な整った
美しい顔立ち。もう片方はえみるより更に小さく、頭にリボンを
付けた青髪の女児。小さい女の子の方は小さな角がおでこから
生えていた。

「ジタン、又手続きが住んだら改めて村の皆さんにご挨拶をして
回りましょう、ほら、行くわよ……、では失礼いたします……」

黒髪の少女はルールー達に丁寧にお辞儀をすると連れの小さな
女の子と共にジタンをズルズル引っ張って連れて行った……。

「はぁぁ~、黒髪のお姉さん、綺麗な人なのです……、何だか
お姫様の様な……」

「ふふ、また、賑やかになりそうですね……」

……そして夕方。村長宅では……。

「ねえ、ジャミル!これ着てこれ!似合うと思うの!」

「やかましいわ!着ねえったら着ねえっての!」

りんごボイン事件から数日。あれからアイシャが面白がる
方向になってしまい、ジャミルに女装コス衣装を着せようと
通販カタログ片手に頑張っていた。

「いいじゃない!これこれ!美少女仮面ポ○ト○ン!愛ある限り
戦いましょう!っていうやつ、ねえ~、着てったらあああーー!
それかこれっ!ゴスロリメイドさんワンピ!」

「もう7月なのに、……ああ、暑苦しい……」

「本当だよお~、ベタベタベタベタベタと……」

この村でも時期は7月。本格的な夏モードに突入しようと
していた。

「こんにちは……」

「あ、お客さん来たみたいだよお~」

「はあーいっ!」

「……いてっ!」

アイシャはジャミルを押しのけ玄関へと向かった。
玄関にいたのは……。

「よ!今度此処の村に越してきたジタンだ!宜しく!あれ?君、
何処かで会った事あったっけ?」

「え、え~と、……会った事有る様な、……初めての様な……、
多分この話では初めて……、よね……、えとえと、私は
アイシャです……」

「まあいいや!君可愛いね!どう?今度オレとデートしない?」

「あ、あのう~……、どうしよう……」

ジタンはアイシャの手を握り目を輝かせている。……アイシャは
少々困惑気味……。

「ありゃりゃ……」

「またおかしなのが来たかな……、やれやれ」

気になったのか玄関でのアイシャと客のやり取りを黙って
聞いていたダウドとアルベルトが立ち上がった。しかし、
二人よりも早くジャミルが率先して動く。

「こらっ!……人ん家来ていきなりナンパかっ!何……」

「お?アンタもどっかで会った事あった?んー、まあいいや、
ねえ~、オレと……」

……みしっ……

「どうも重ね重ねご迷惑お掛けしております、私達、今度
この村に引っ越してまいりました、ジタンとその連れのダガーと
申します、こちらの子はエーコとビビです」

「……いだい、ダガーさんいたいってば!……頭、アタタタ!」

「こんにちは、エーコなの!この子はモーグリのモグよ!」

「クポー!」

「はじめまして、ボ、ボクは……、ビビです……」

ジタン、黒髪の少女ダガーの後から小さな子供が2人顔を出した。
一人は青髪の頭にリボン、額に角の生えた女児、もう一人は
とんがり帽子を被った気弱そうな男の子。女の子は猫の様な動物、
小さなモーグリを連れている。男の子の方は緊張しているのか
さっきから被っている帽子を何度も何度もきゅっきゅっと
いじっている。

「ビビ、おどおどしないのよっ!しゃきっとしなさいよ!男でしょ!
……情けないわねえ……」

「だ、だってえ~……」

尚、ビビはエーコの尻に敷かれている模様。エーコは歳が
小さい割にはしっかり者でかなりのおませさんらしい。

(ミニダウドだな、ま、小さいのにダウドよりは遥かにしっかり
してそうだけどな……)

「何、ジャミル……」

「うわ!」

いつ来たのか、ダウドがジャミルの側にいた。アルベルトも来ている。

「こんにちは、僕はアルベルトです……」

「オイラはダウドだよお……、宜しく」

「で、こっちが一応……、どういう訳か僕には理解不能ですが
今度村長になったらしいジャミルです……、先の話でもこんな
感じでしたけど全く理解不能なんですが……、ええと、一体誰が
村長に選んだのか全く謎なんですけど」

「……おい、腹黒!一応とはなんだ!一応とはっ!ええっ!?
しかも長たらしい台詞一人でブツブツ呟いてんじゃねえよ!」

「……一応なんだからしょうがないだろっ!バカっ!」

「バカだとううう!?ほお~、見えない所で無駄毛の処理を
なさっている方が何をおっしゃいます!それで鏡で自分の顔見て、
……ぽっ♡とかやってんだぜ!いやだねええ!」

「してないいいい!……僕は見たんだよ、君が帽子脱いだ後、
溜息ついて、最近頭が薄くなったかもって……」

「……嘆いてねええええ……!第一俺は剥げてもいねえってのっ!!」

「ねえねえ、アイシャちゃん!デートするなら何処が好みかな!?
この村でのお勧めのデートスポット知ってる!?」

「ジタンっ!……いい加減にしなさいよっ!」

「もうーっ!お仕置きなのだわっ!キイーーッ!!」

ジャミルとアルベルトは喧嘩をおっぱじめ、ダガーとエーコは
アイシャをナンパし始めたジタンに仕置をし……、玄関先で
何故か大騒動になっていた。

「あの、その……、ど、どうしよう……」

「君も大変だねえ、小さいのに……、頑張って……」

「あ、ありがとう……」

残されたダウドとビビは顔を見合わせた。歳は違えど、お互い気が
小さい者同士、……何か惹かれあうのかも知れなかった。


「ねえねえ、見た?この村には海があるのっ!もう7月だし、
そろそろ海開きだよねえ~、気候も暑くなってきたし、頃合いだと
思うの、ねえ、いこいこっ!お買いもの!準備!」

アイシャ、ジャミルの肩を掴んでガクガク揺さぶる。
高速で揺すられたジャミルは変な顔になった。

「そう言えば最近商店街にビューティサロンがオープン
したんだってね、……玉にはオイラもヘアスタイル変えて
イメチェンしてみようかな……」

先程からスマホで遊んでいたダウドがぼそっと呟く。
何気なく聞いていたジャミルは何か想像したのか笑い転げた。

「な、何で笑うのさっ!?失礼だなあーー!」

「いや、精々又、長いツッパリ頭になるのがオチかな……
と、それか機械が爆発してアフロになるオチとかさ、
これ書いてる奴はどういう訳かリーゼントネタが好きだからな……」

「……ふ~ん、じゃあその内ジャミルも又床屋ネタにされるね、
絶対……、ふん」

「……い、行かねえぞ、……絶対、美容院にはよ……、
近寄らねえぞ……」

「いいからっ!……早くお買いもの行くのっ!」

「あたたたた!腕ひっぱるなってんだよっ!ジャジャ馬っ!」

アイシャがジャミルを引っ張って連れて行った先は
ハリネズミの姉妹が経営する商店街にあるエイブル
シスターズ洋裁店。ふと、店の上を見上げたら……。

「うわ!マジで2階に何か出来てる……」

「ダウドが言ってた通りね、ビューティサロンだわ……、後、
隣に靴屋さんもオープンしてる!何だか商店街もどんどん
賑やかになるみたい!」

「きょ、今日はこっちに用があんだろ?早く行こうや……」

「うん、だけど……、きゃ!?もうっ!せっかちなんだから!」

今度はジャミルが慌ててアイシャを引っ張った。二人は洋裁店へと。

「こんにちはー!」

「ども……」

「あら、いらっしゃい!村長さんとアイシャさんやね、
お洋服見に来てくれはりはったんですか、どうぞどうぞ、
遠慮せんとゆっくり見ていってね!」

「はあーいっ!あっ、えーと、あさみさんでしたよね?
こんにちはー!私、やっと最近お名前覚えたんですよー!
ふふっ!」

「……」

きぬよは優しく迎えてくれたがつっけんどんのハリネズミ
あさみは相変わらずアイシャを無視。それでもアイシャは
負けずに明るく振舞っている。

「あの、少しお聞きしていいですか?探している物があるの……」

「はい、どぞどぞ!」

「村長さん……」

きぬよとアイシャが会話している間に……、あさみがミシンの
手を止め、漸く口を開きジャミルにだけ小声で話し掛けて来た……。

「あ?」

「アンタのお連れさん、何であんなにうるさいんです?こっちは
ムシしとりますのに……」

「まあな、なつっこいつーか、人が好きなんだよ、すぐ誰とでも
友達になりたがるのさ、お節介な面もあるし……、まあ、それが
原因でかなり困った事に何回もなってんだけど……」

「そうですか、……ウチは理解出来ません、まあ、理解
したくもないですが」

あさみはそれきり黙りこくると再びミシンを動かし始めた。

「……え、ええー!そうなんですか!?」

「はい、そうらしいんですよ、ウチは海行きませんので詳しい事は
分りませんけど……」

「にゅうう~……」

きぬよと会話していたアイシャが急に変な声を上げたのでジャミルは
気になってアイシャの側へ。

「おい、どうかしたんか?」

「うん、……あのね、この村って……、海に入る時はね、
マリンスーツって言うの絶対着用なんですって……、だから
此処でも水着を取り扱っていないの……、しかもマリンスーツ
自体この村では手に入らないらしいし……」

「はあ?なんだそりゃ、味もそっけもねえなあ~、
訳分かんねえっての!んじゃいっその事、下着で海に
入っちまうか……」

「ん~……、でも、何かペナルティでもありそう……、
恐い……」

「ま、露出の規制なのかな……、案外厳しいんだな、それなら
それで仕方ねえな」

「そうね……」

二人はエイブルシスターズを後にする。アイシャは何となく
不満顔だった。

「ん?」

「おーいっ!ジャミ公ーー!」

土煙を上げてジタンがこちらに走って来た。今は
ダガーはいない。

「大変だっ!……あ、アイシャ、今日も可愛いなあー!」

「ふふ、いつも元気だね、ジタン!」

「元気元気!あそこも元気!こんなにピンピン!ご用が
ございましたらいつでも受付……」

「おい、話があるんだろ、……用があるなら早く話せよ……」

何となくアイシャを後ろに下がらせる様な形をとり、ジャミルが
ジト目でジタンを見る……。

「ああ、そうだった!何が大変て、おい!この村っておかしいんだぜ!
海があるのはいいけど、……マリンスーツ着用じゃないと海に
入っちゃいけねんだとさ!……おかしいだろっ!な、な、な、
ジャミ公っ!そう思わねえかっ!?」

ジャミル、今度は同意を求めるジタンに肩を掴まれ、又も
ガクガク揺さぶられた。ジャミルは又変な顔になった。

「夏といえば、……海!海水浴、そう!夏の醍醐味だよ!
なのにっ……!あああーーっ!この話じゃ可愛いガールズ達の
水着姿が拝めねえとかーーっ!地獄杉だあーーっ!!はなちゃん、
さあやちゃん、ほまれちゃん、……ルールーちゃあーーんっ!
えみるーーっ!!」

「おい、もう手ぇつけとんのかい、……抜け目ねえな……」

「当たり前だっ!何せ世界中のレディ達とお友達になるのが
オレの夢だからな!」

ジャミルはジタンに今度絶対ウズメを紹介してやろうと思った。

「……」

「……あっ!勿論、レディっ!アイシャっ、君のもだよっ!オレはもう……、
ショックで、ショックでもう……、残念で仕方ねえ、くう~!」

「……バーカ……」

「やだ、ジタンたら……、でも、マリンスーツも何処で手に入るか
知らないし、当分海水浴はお預けかしら……」

又もアイシャが溜息をついた。確かに夏のお楽しみをつまらん
規制で縛られては糞も子もない。

「そこで村長っ!アンタの出番だっ!」

「は?俺か……?」

ジタンがジャミルに指を付き付ける。又碌でもない事を
考え付いた様子。「条例でさ、規制を緩くして水着着用でも
海に入れる様にして貰える様に変えるんだよっ!しずえちゃんに
頼んで……」

……みしっ……

「ジタン、いなくなったと思ったら……、もう……、村長さんは
暇じゃないのよ、ごめんなさいね、ジャミル、アイシャ……、
ジタンが変な事言ってしまって、それでは……」

ジタン、ダガーに猫の手ラケットで頭を掴まれたままそのまま
連れて行かれた……。

「マリンスーツじゃないと駄目なら私、それでも構わないけど、
折角海があるんだもん、……でも何処に行けばあるのかなあ~……」

「……ま、7月もスタートしたばっかだし、焦らず行こうや」

「うん……」

とは言うものの、夏は短い。もたもたしてたらあっという間に過ぎる。
……二人はパラダイスを過ごす事が出来るのか。

※本ゲームでは一年中海に入れますがこの話では南の島に行けるのは夏のみ、
村の海に入れるのも普通に夏のみ……、という設定にしております。

「ただいま……」

「ほまれお帰りなさい、どうしたの?何だかつまらなそうな
顔してるわね……」

「商店街行って来たんだよね?あ、そろそろはぐたんのおむつも
補充しに行かないと!無くなっちゃう!」

「あーい!」

「はあ、何かマジ暑くなってきたし、何なのこの気候……、
最悪……、何か飲み物ある?」

「あ、それでしたらコーラがありますよ」

「丁度冷え冷え!飲みごろなのです!キンキンコーラ皆で飲むのです!」

「はいはい、えみるったら、ふふ……」

ルールーは冷蔵庫から冷えたコーラを出すと氷の入った
5人分のコップに注いだ。皆はテーブルに着くと入れて
貰ったコーラに口をつけた。ちなみに、はぐたんはぬるめの
ミルク。

「っかああ~!うめーっス!この一杯がああ~!」

「ちゃまんねーしゅうう……きゃあー!」

「はな、酔っ払いのおじさんみたいよ、はぐたんが言葉の後
継いでるじゃないの、もうー!」

「……お、おっさんみたいなはぐたんも、きゃわたん……」

ほまれ、さっとスマホをはぐたんに向けた……。

「ゴルアーーッ!お前ら何はぐたんに植え付けとねん!
……特にそこのはなーーっ!

言葉には注意せえーー!反省せんかーーっ!!」

「わ、私っ!?」

はぐたんのお世話係のハムスター、ハリハム・ハリー。
育てのママ達のいい処も悪い処も含め、はぐたんは全て吸収し
覚え、成長するので、ハリーは若干……、不安な時も有る様で
気が気ではない状態。

「おりぇわにぇ、だりぇにちょうひょーしちぇもおんないや
おんないやおもて……」

一体誰の真似か。はぐたん、テーブルをばしばし叩き
一生懸命熱演中。

「はなーーっ!ええ加減にせえよーーっ!!」

「だからっ!私じゃないってええ~……、テレビだよ
うううう!」

「……一生懸命物真似する……はぐたん、超きゃわたん……、
ああ~……」

「少し、ネタが古いのです」

「……私には理解不能です……」

「はぐたん、すぐに何でも覚えちゃうわね、天才なのも
困り過ぎるかも……」

「はあ、それにしても……、キーキーキーキー、
余計暑苦しい、ハリー……」

ほまれはコーラをもう一杯自分で注ぐと横目で
ハリーの方を見た。

「何やとー!?オレはサルちゃうでーー!!」

「ほまれ、何かあったのですか……?」

「う~ん、別にあったって程じゃないけど……」

ルールーが聞くとほまれはテーブルに突っ伏し、グラスに
映る自分の顔を見つめた。

……約4時間前。

ほまれはフラフラ一人で気ままに商店街をぶらぶら散歩していた。
特に用事がある訳でも別に買いたい物がある訳でもなかったが。
……ふと目に留まった洋裁店、エイブルシスターズ。その二階に
新しい店がオープンしていた。

「……ビューティサロンか、珍しいじゃん、へえ~……、私も……、
はなじゃないけど玉にはイメチェンしてイケてる大人のお姉さんて
ヤツ、目指してみよっかな……」

誘われるようにしてほまれは店へと続く階段を
駆け上がって行った。

「こんにちは……」

「いらっしゃーい!ビューティーサロン・スピーディへようこそ!」

店員さんはプードルのお姉さんカットリーヌ。……店内には
後一人客がいたが、帽子を被っている上に……、何故か頭に
唐草模様のほっかむりを付けていた。

(なんなの?この人、……超変……、もしかして
空き巣帰り……?)

ほまれはほっかむりの人物を不審に思いつつも、
その人物の隣の待合椅子に腰かけた。

「はい、これ、ヘアカタログリストよ、ご参考に……」

「あ、どうも……、……?」

ほまれは店員からヘアカタログのお品書きを渡されるが……。

(何これ、あんまりいいのないじゃん、……今の自分の髪型の
方が遥かにマシなんだけど……)

「ちなみにイメチェンは私の質問に答えてね、質問の答えを
聞いて私がふんふん、……これだ!と思うイメージの
ヘアスタイルに致しますので」

(うわ、しかも自分で選べないとか、最悪だし……、じゃあ
もしも、坊主って頭に浮かんだら坊主にされるって事……?)

「ちなみにカット料金は3000ベルになりまーす!」

「ちょ!あ、あの……、私、今回はパスで……、何かお財布
忘れて来ちゃったみたいで……」

「あらー?おやめになるんですか?残念ですね、又
いつでもどうぞ!」

「は、はは、どうも……」

ほまれは駆け足でスピーディから逃走した。……隣に
座っていた謎のほっかむりの人物は気になったが。

「……と、言う訳、なんかさあ~、美容室いるだけで
疲れちゃったの、せめてパーマかけるだけとかでも
有ればいいのに……ヘアチェンジは期待出来なそうだし……」

「ぎょっ!店員さんに全てお任せなんて!……わ、私の大切な
ツインテールをうっかりもがれたら大変、危険なのですっ!」

えみるは慌てて両手で自分のツインテールを押えて庇う。

「まあ、其処まではしないと思うけどね、……もっと今風の
可愛い髪型のレパ増やしてって感じ……」

「ん~、まあ、イメチェンしなくても今の私達はまだまだ
イケてるって感じだよねっ!」

「きゃーい!いけてりゅー!」

はながびしっとカコツケポーズを取るとはぐたんも真似をした。

「まあそう言う事にしとく……」

そして。ほまれがサロンで見たほっかむりの人物とは。

「……」

「あ、ジャミル、お帰りー、どうだった?髪型ちゃんと
直して貰えた?」

「……」

「ちょ、何で無視すんのさあー!」

「ダウドっ、駄目だよっ、あの顔は……、今はやたらと
突かない方がいい!」

アルベルトがダウドを引っ張る。ダウドは漸く分った様子。

「あ、あの、ジャミル……」

奥の部屋からアイシャが出てきた。かなり困っている。

「もうオメエとは絶対口聞かねえかんな……」

「やっ、や~ん!」

ほまれが美容院を訪れる更に数時間前。この家ではちょっとした
揉め事が起きそうだった。

「ねえ、ジャミル、少し前髪伸びたんじゃない?切って
あげようか?」

「ああん?気の所為だよ……、暑苦しいんだからやたらと
ベタベタすんなよ……」

「……ぶー!」

アイシャは膨れる。どうしてもジャミルの伸びた前髪が
気になる様であり……。

「少しだけっ、ねえスタイリングさんさせてーーっ!カッコよく
してあげるーーっ!」

「やめれっ……、って、危ねえな!もうハサミ手に持ってるし!」

「切らせてええーーっ!」

「よせーーっ!!」

「……成程、アイシャはこれが原因か……、ま、すぐに
飽きるよね……」

リビングにいたアルベルトは落ちていた本、
『目指せあなたもカリスマビューティスタイリスト』……、
を拾い上げた。

……じょりっ……

そして悲劇は此処から始まる。アイシャはジャミルの
片方の前髪だけ……思い切り切り落としたのである。


「アーーーーーーー!……」

……

「あなたの目指しているイメージを教えてくれる?」

「な、何でもいい、とにかくこのみっともねえ髪型を
どうにかしてくれ……」

こうなると拒否していた美容院も足を運ばざるを得なく
なってしまったのだった。

「分ったわ、では全て私にお任せしてね、行きますよ!」

そして。

「……どう?あなたの目指してるイメージに近づいたかしら?」


「……アーーーーーーーーーーーーー!!」


ジャミ公、ショックで顔が梅○か○おになる。残りの片方の前髪も
思い切り切られた上、後ろ髪も丁寧にお揃いで短く刈り上げて
揃えてくれ、カッパヘア……、あるいはシャンプーハット装着
状態ヘアスタイルになった。

「まいどあり、3000ベルいただきまーす!」

そして、その後ほまれが美容院を訪れ、もしもの時の為にと、
持参していたほっかむりを被り……、固まったまま動かなく
なっていた魂の抜けたジャミ公を目撃したのである。

「もう死んでやるっしゅ……、糞糞糞!」

「ま、まあ、元気だしなよお、髪の毛なんかすぐに
元に戻るよおー!」

「そうだよ、……プ、それに中々その髪型も似合ってる……、
よ……、近代的で……、オ、オホン!う、……プウーーっ!」

腹黒アルベルト、ジャミルの方を見る度、我慢出来ず等々
吹き出す……。

「うるせー!他人事だと思ってっ!もう金輪際俺は外出ねえぞっ!
村長もやめたっ!アル、もうオメーが村長やれっ!ダウドでも
いいぞっ!」

「あうわ~……」

「またすぐそう言う事を言う……、外に出ないとか、オーバー過ぎ
なんだよ、ジャミルは……」

「アイヤー!ごめんくださーい!村長さんいるーー!?」

「……」

金輪際外に出ないと言った直後、ジャミルはリビングの窓から
外へと逃走した。

「も、もう!数か月山籠もりだっ!ちきしょおおおーー!」

「あ、村長さん、こんばんわー!」

「はーぎゅー!」

「うわーー!!」

お約束。丁度涼しくなったのではぐたんを連れ散歩に
来ていたはなと遭遇。ジャミルは慌てて地面に尻もちを
ついた。

「……ってえ~……」

「だ、大丈夫ですかっ!?」

はなが心配し、此方も慌ててジャミルの側に
屈み込む。

「うわうわうわ!こっちくんなーっ!」

「はぎゅ?……ないなーいっ!」

はぐたんがジャミルが被っているほっかむりと帽子を掴み、
……頭から取ってしまった。

「あーれええーーー!!……おやめになってええーー!?」

「は、はぐたんっ!?」

「きゃーい、ちゃみ、いいこ、いいこ……」

はぐたんがジャミルの頭を撫でた途端……、ジャミルは
カッパヘアではなくなり、いつもの前髪真ん中分け
スタイルに戻った……。

「……あれ?」

「何が、どうなってるのおおお……?」

「きゃっ、きゃっ!」

「俺、また髪が伸びてらあ、何が何だか分かんねえけど、
はは、ははは……」

「あっ、はぐたん駄目だよっ、それは村長さんに返さないと!」

「やっ!」

はぐたんはどうやらほっかむりが気に入ってしまったらしく、
そのまま自分で被ってしまった。

「はは、いいよいいよ、そのままはぐたんにやるよ、んじゃあな!」

「あっ、村長さんっ!……行っちゃったよ、いいのかなあ……」

「のーっ!」

はぐたんはもうほっかむりを自分の物と主張して口を尖らせる。
ジャミルもいなくなってしまい、仕方がないのではなははぐたんを
連れ、自宅に戻る事にした。

……

「で、急にヘアスタイル元に戻った訳?ま、原因は不明なんだ?
とにかく良かったね……」

「おう、とにかく良かった~、ううう~……」

ジャミルの髪が元に戻った原因は特に突っ込もうとはせず
取りあえず騒動が収まりそうだったのでよしとするアルベルト。

「……」

「……アイシャ、ウロウロしてないで、こっちにおいで……、
もう大丈夫だから……」

先程から、ドアの隙間からじっと……、アイシャが様子を
覗っている……。気の毒なのでアルベルトはアイシャに
リビングに来る様に勧めた。

「えへへ~、お邪魔しまーす!えへっ!」

「……」

「えへへ、えへ!……えへ?」

アイシャはジャミルの隣のソファーにちょこんと腰掛けた。
ジャミルの顔をちらちら見ながら。

「えへへで誤魔化すなっ!」

「……キャー!いたああーいっ!もう~っ、ジャミルのバカーーっ!!」

ジャミル、高速デコピン10回。アイシャにお見舞いしておいた。
今回はどうにかこれで済みそうである。が、ダウドとアルベルトは
目の前でじゃれているお騒がせバカップルを見つつ、毎度の大きな
溜息をついた。一方のこちらはアニマルガールズ宅。こちらの方は
はぐたんがジャミルから取ってしまったほっかむりを気に入って
放そうとせず、皆困って大騒ぎだった……。

「はぐたーん、そっちよりこっちの方が可愛いわよ~?ほーら、
お花さんの付いた麦わら帽子さんよーー!」

「……や!」

「……はぐたああ~ん、う~、ど、どうしよう~」

「はぐたん、私とお揃いのおリボンさんなのです、可愛いですよー!
さあ、着けてあげま……」

「いや!」

「……オーマイガーーット!!なのですーーっ!!」

さあやのおススメもえみるのも……無視。はぐたんは
不貞腐れて横をつん向いている。

「人間の赤ちゃんは反抗期が有ります、それは確実に
成長している証拠ですよ、ね?はぐたん……」

「……ほっかむりはぐたん、きゃわたん……」

「おまえらあああーー!!んな呑気に構えとる場合と
ちゃうやろがーーっ!!おーいはなーーっ!こうなったのも
お前の所為やーーっ!何とかせえーーっ!!」

「まーた私っ!?……だ、だだだだだっ、だってええ~!」

大元は被っていたジャミ公が悪いんですが……。

「はりー、うるちゃい……、はーぎゅううう!」

「……のわーっ!?」

ハリー、はぐたんに頭部にハゲカツラを召喚され
被らされた……。

「きゃはははは!!ハリー、お、おかじいいいーーっ!!
……あ、あはははは!」

「笑うなあああーーっ!ああーーっ!……取れへんわあーっ!」

「似合ってんじゃん……」

「センスありますね、はぐたん……」

「可愛いわよ!」

「ハゲハム・ハリー、いいネーミングなのです!」

「何がやねんっ!……はよ何とかせえーーっ!お前らアアアーーっ!!」

はぐたんの力ですから、はぐたんが曲げたヘソを元に戻さないと
どうにもなりませえーん……、と言う様に5人はお手上げポーズを
揃ってとった。

「みんな、おしょろい、はーぎゅううう!」

「……あれ?……って、何これええええ!?めちょっくううううーーー!?」

はぐたんは5人にもほっかむりをプレゼントし、頭に被らせた……。
……皆これで揃ってお揃いになった。

「は、はな先輩だけお顔に丸いお髭が生えてるのですーーっ!」

「……めぢょっぐううーーー!?」

「はな、完全にアンタ泥棒だよ、でも、割と似合ってるね、
イケてるよ……」

「……ほまれ慰めになってなあーーいいっ!!」

「何だか私も……、また新しい自分を発見出来そうです……、
ポッ……」

「はっ!……ルールーがっ!違う世界に行ってしまうっ!
戻って……っ、くるのですっ……!」

えみる、ルールーの頬を掴んで引っ張る。……ルールーは
ぽやんとしている……。

「きゃわたん、はぐたんとお揃い……悪くないかも……」

「あーい!」

ほまれははぐたんと自分にスマホを向け写メ2ショット
撮影しようとした。其処にさあやがさっと割り込んできた。

「……さあや、アンタよくも邪魔したね……、折角のっ……」

「ほまれだけずるいですわっ!ねー、はぐたんっ!」

「♪はーぎゅ!」

不思議っ子はぐたん。ママ達と一緒に色んな事を経験しこれからも
更なる成長を遂げる……筈

とびだせzokuダチの森・4

とびだせzokuダチの森・4

SFC版ロマサガ1 とび森 プリキュア軍団 色々クロスオーバー 下ネタ のほほん ギャグ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-16

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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