図形の静かな怪異
『図形の静かな怪異』
ハードディスクからゴキブリが出てきたのは、午前四時だった。
ゴキブリは入れ歯に集まり、複雑でもない図形のビフテキを一枚ずつ運び始めた。私はOMEN BY HPの筐体を開けた。内部には、腐った肉のほかに、誰が決めたわけでもない皇室制度への肯定が何層にもわたって仕込まれていた。
「いらっしゃいませ、土星へ」
店員はそう言った。
私は小樽へチャールズ・マンソンのフニャチンを運ぶよう命令されていた。初台駅では先輩が髭を剃れと怒鳴り、馬車道計画は水の泡になった。ウィトゲンシュタインの論理哲学論考は、プログラマーが書いたヘタレなマニュアルとして、濡れた新聞紙の上に置かれていた。
その新聞紙の中央に、小さな図形があった。
図形は静かだった。
カナブンが一匹、その図形の前で金に困っていた。
図形の静かな怪異