春の戦慄

私の感情を逆撫でするような風に煽られ

私は冷静でいられなくなる

〝希望〟等という馬鹿げた慰めと

〝絶望〟等という極めて下品な導きが

蠢く春の旋律に促され

冬眠から醒めかかる

それを私は私の力で抑えることが

不可能であることを充分承知の上で

今年も又悪あがきをするハメになる

慄(ふる)えながら

傷口に塩を塗り込みながら



1996.03.03

春の戦慄

春の戦慄

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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