誘惑

湿度の高い眼差しで

私を透して私の奥に寝かし就けていた

私でさえ触れることの許されぬ

残忍な氷に包まれた炎を見抜いて

皮肉な頬笑みを見せて

私は私を支えてきた玩具達が

その一瞬にして皆壊れても

後悔しない

これまでの私は本物にみせかけていた私

これからの私は只単なる私というだけの

私に成れるから



1996.06.05

誘惑

誘惑

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted