欲望

残り陽と月の灯(あかり)が欺き合い

その隙を狙って星が増す時刻(とき)

私にかけられていた催眠術が眼を醒ます

貴方を奪いたい

貴方を奪う

貴方の運命から

輪郭が視えなくなる前に

貴方を私の内(なか)に引き込んで

完全に近い闇が二人の過去を呑み込む頃

私は何故か涙を流しながら

もう 貴方の存在(こと)を

   忘れている



1996.05.24

欲望

欲望

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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