新しく作られた大きな寺院みたいな所で誰かの葬儀が行われようとしている。

私は故人の近しい身内で、何故か和服を着て参列している。

葬儀といっても寺院の周りはお祭りのような騒ぎで、たくさんの人々に溢れている。

葬儀が始まり、親族や友人等故人に近い人から順に参列している。

葬儀が粛粛と進む中、お焼香が私の番に回ってきた。

私の後ろには妹達がいた。

焼香を済ませた直後、私を見る人々の目はさっきまでとは一変していた。

初めに妹二人に追いかけられたのを皮切りに、人々は私を追いかけた。

私は逃げた。逃げて逃げて逃げた。

しかしどこへ行けばよいのか分からず、さまよっているうちに隠れられるような場所を見つけた。

そこには真っ白い雪が積もっていた。

人々が私を追う声が聞こえる。

ふと気づくと、私の隣には誰かがいた。

彼は男性だったと思う。

いつの間にか隣にいて私を匿ってくれていた。

私達が隠れているすぐ傍には巨大な穴があった。

雪でなだらかな坂になってはいたが、底がよく見えない。

ここを落ちていけば見つからないだろうとは思ったが、底が見えない恐怖はあった。

目が覚めるまで私はずっと、ここを落ちていこうかいくまいか悩んでいた。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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