春色エプロン チャプター9 ~ひとときの休息~
【 今までのお話 】
吉田くるみ(36歳)は、会社を辞めてから、夏のバイトとして、老人の世話をすることに・・。当の葉子おばあちゃん(84歳)は認知症で、夜の徘徊などもあり、大変な老人だった。
親戚の吉田あかね(22歳)は、くるみの恋のライバルとなり、町田恭介(36歳)をデートに誘う。一方、くるみは、葉子おばあちゃんの言動に悩まされ、孤独感におちいる。そんな時、介護の相談センターから、救いの
連絡が・・。 ワラにもすがる思いで、頼るくるみだったのだ。
【 本編 】
吉田くるみ(36歳)は、思わず、天(もし、神様という存在があるのなら・・)に感謝したい気持ちになったのだ。
葉子おばあちゃんの認知がひどくって、バイト先の先輩に自分で相談した時は、、
「自分の仕事なんだから、自分で考えろ・・!」
「なんのために、高い時給で働いているんだよ・・?!」
(くるみには、こう聞こえたのだ・・笑)
ときに、、仕事の男性の先輩って、突き放してくることがあって、くるみは前の会社でも悩んだことがあった。
で、でも、、、裏で、私のために相談センダーに頼んでくれていたなんて。
ちょっと怖かった先輩の声が、思い出されて、、、ありがとうって小声でつぶやいていたのだ。
~ その日の夜に ~
結局、電話だけでは話が通じないだろう、と相手のはからいで、オンラインでパソコンを通しての、相談になった。
「え、ええ、、まあ、そういうおばあちゃんは、たくさん、居ますけどねえ・・。」
吉田くるみは、、葉子おばあちゃんの言動で悩み、一人で布団にくるまり、泣いたこともあったのだ・・・
やはり、高額な報酬につられて、ついつい引き受けた夏のバイトだけあって、甘い仕事では無かったのだった。
オンライン上で、相談になってくれた年配の女性は、、ニコニコして、まるでくるみの姉みたいに相談にのってくれた。
その女性によると、
・あまり、刺激を与えない
・危なかったら、物理的距離をとること
・老人には、共感の姿勢をもつ
などなど、、くるみが知らないことを、丁寧に教えてくれたのだった。
最後に、、相談せんタ-のお姉さんは、葉子さんの彼氏について言及してきたのだった。
「あ、あ、そのおじいさんを、もっと葉子おばあちゃんと会わせてあげてね」
「ああ・・?順吉さんですか・・??」
「ええ。、きっと、頼れる男性がいなくって、精神的に不安なんでしょうね。。」
結局、翌朝に、細川順吉(78歳)に連絡することにした・・。
これからの、葉子おばあちゃんの回復にとって、、順吉さんが、、キーパーソンになってくれたらな。と、
くるみは願うばかりであった・・。
夜に眠るときの、、、くるみは、クリーム色のパジャマを身に付けている。
就寝前に、ジャスミンテイーを飲んで、、、そっと布団に入るくるみだった。
翌朝、、センターのアドバイス通りに、順吉おじいさんに連絡して、その旨を伝えてみる。
午前の、10時過ぎに・・ 赤い自動車にのって、細川順吉はやって来てくれたのだ。
「ほおい、、くるみちゃん、これみやげだよ」
「町で売っている、牛乳とビスケットね」
くるみは、、久しぶりに順吉おじさんの笑顔を見て本当にうれしく、味方がやってきたかと思えたのだ。
ーー だが、、、現実は違っていたのだーー
葉子おばあちゃんが、まだ寝ているので、、リビングで、くるみが昨日のセンターのことを、順吉じいさんに
話してみると・・。
急に順吉じいさんは、機嫌が悪くなったようで・・くるみに怒鳴りつけてきたのだった。
「ええ? 相談センターだって?そんなところに、話したら噂が広まるじゃないか・・??」
「くるみちゃんが、来てからっていうもの、葉子さんも体調が悪くなってしまったよ!」
「もう、アンタが、この家をぐじゃぐじゃにしてしまったんっじゃないかー。」
どうしたのだろう・・
順吉じいさんは、日頃のストレスでも溜まっているのか、めずらしく大声を出して、、キレているようだ。
『はあ、。。せっかく、応援してもらうはずだったのに。。 なんで、わたしが、文句を言われる筋合いになるのかしら??』
いままで、晴れていたくるみの心は、一気に、土砂降りの雨模様になってしまった・・、
それから、順吉じいさんの説教なのか文句なのか、そういうものは延々30分も続いていた・・。
くるみは、、いい加減に聞き流していて、、順吉じいさんの、のどぼとけをぼんやりと眺めていたのだった。
~ その夜~
くるみは、、町を離れて、、会社があった実家がある土地に来ていた。
おしゃれなレストランで、、窓の外には、まだ夜遊びしている若者の姿が映っている。
クルミの前には、、
極上のひれステーキと、ワイン、そして、、ふかふかのフランスパンが置いてある。
「くるみちゃん、久しぶりだね。」
そう言って、くるみに極上の笑顔を向けてくれるのは、辞めてしまった会社の、同僚である・・小暮壮太(こぐれ そうた)である。
確か、、年齢は、2歳上の38歳くらいだろう。
くるみは、、特定の彼氏は居なかったが、さっぱりした性格で、、ライブが好きなので、食事するくらいのボーイフレンドの存在は、あった。
「ううん、、小暮さん、この前一緒に行ったライブ、楽しかったね。」
「確か、、夏のバイト中は、、誰にも会わないって言ってたよねーー?」
小暮壮太(こぐれ そうた)は、目のまえで、ハンバーグを食べながら、くるみに問いかけてくる。
そうだ、、たしかに、葉子おばあちゃんのバイト中は、遊んだりするのをやめておくつもりだった。
ーーけれど、、さすがに順吉さんに説教されたり、好きな町田恭介と、ちぐはぐで・・。
くるみだって、「男性の癒し」が欲しかったのである。
ええ、でも、壮太さんは特別よ、どんな時だって会いたくなるわ」
くるみは、ちょっと甘えてみて、、ワインでごまかした。
食事の後、、くるみは、壮太の耳元でささやいてみたのだ。
「ねえ、まだ時間があるんだけど、、 どこか行きましょうか・・??」
今日の、、くるみは、、 葉子おばあちゃんの家に、戻りたくなかったのだーーー
春色エプロン チャプター9 ~ひとときの休息~