我ら工場ファクトリーズ 第五話

おはようございます。第五話のお届けです。北地区の軍事施設にパンダスーツを納品する八騎たち。お楽しみに。

第五話


 「我ら工場ファクトリーズ」
         (第五話)

         堀川士朗


北地区。
塀の内側の、更に二重の塀(高さは百メートル)が建つ奥には、埼玉第四工場の軍事施設がある。
今日はそこに通電試験も行い、完成したパンダ頭部二百体を届けに行く納品の日である。
十トントラックにパンダ頭部を満載し、運転する八騎連。大型免許は小学校四年生の時に取得している。
助手席には梅坪和也が乗っている。
物品受け渡しのサポーターとしてだ。

もう一台の十トントラックには嵐感汁郎と吉岡治工場長が乗り、パンダスーツを二百着運んでいる。
中央工場地帯から北地区軍事施設まで、安全運転で三十分ほどで到着した。
軍の係官は、責任者でもある丸子菱安(まるこ・びしゃす)大佐だった。
気の知れた、軍には珍しく穏やかな軍人。
丸子菱安大佐は、

「ご苦労様です。倉庫には私たちが人海戦術でナンバで運ぶので、後は諸君らは珈琲でも飲んで待っていて下さい」

と吉岡工場長に声をかけた。
丸子大佐はとても優しい軍人だが、どうしても軍の連中は彼ら工場作業員を自分たちよりも下に見ている風潮があった。
銃後の存在だから下に見ているのだ。
それは百八十ヵ所ある、ダイ日本人民共和国のどこの工場でも同じなようだ。


受け渡しが終わり、工場へと戻る途中。
トラックを止めて空を見る四人。
一機のドローンが人間を吊るして、空を行く。
工場で働いてない、サボっている工員は高機動多用途牽引ドローン『激落ちクン』により肩を掴まれて塀の外側に投擲されるのだ。
その時だけは天井部分の電磁バリアも一部分解除される。

「嗚呼またか。かわいそうになあ」

と二号車のトラックの助手席で、吉岡工場長がポツリと呟いた。
塀の外側は命の保証はない危険地帯。
地雷も山ほど敷設されている。
役立たずとなった、命。
恐らく一日とて、その命は持つまい。


またトラックは動き出す。


           続く

我ら工場ファクトリーズ 第五話

ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

我ら工場ファクトリーズ 第五話

北地区の軍事施設にパンダスーツを納品する八騎たち。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2026-08-29

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