オーケストラのリハーサル
オーケストラのリハーサルで、自分の楽想を煮詰めて理想の響きを追求していく。
指揮者は緻密で精密にオケへ要求する。
楽器の音量、奏法、ニュアンスを克明に指示し、己の出して欲しい響きを微妙なさじ加減で調整する。
音量を抑えてデリケートなニュアンスを要求し、その後徐々に音量を上げてクレッシェンドしていく。
この雰囲気を表現する微妙な静けさ。
楽譜に書かれていない間の行間に醸し出す微妙な雰囲気。
楽譜には表現できない微細な音の波長に、意識を明瞭にクリアにしてやる。
腕の振り方には微妙でニュアンス豊かな楽想に溢れてきます。
楽想が豊かに自由自在に伸び伸び演奏できる。
目的は指揮者の出したい音響のイメージに寄り添う事なのです。
指揮者のタクトからも読み取れる滑らかで溢れる楽想のイメージ。
指揮者の表情からも濃厚に醸し出される自由自在な楽想。慈しみ出させる情緒の余韻を、奏者の手に伝える。
指揮者の声で奏者に指示を出しながら大きくタクトを振る。
複雑な楽器のニュアンスが表出され慈しみ出る濃厚な響き。
この手先と溢れる表情から音楽が滲み出る絶妙な浸透力。
指揮者のオケに対する熱意に感化されてエネルギーが伝搬していく。
絶妙な響きに対する切なる想いが、ヴァイオリンの左手のヴィブラートに心の滲みで浸らせていく。
想いが乗り移り弓にこする弦の響き。
何とも魂の震えるヴィブラートに、指揮者の指示が乗り移る。
この震える指示に、指揮者は人生の凝縮した想いを表現するのです。
流れ出すセンチメンタルな渋さに官能的な響きが溢れ出す。
指揮者の指示出しでオーケストラの楽員は心を汲み取り、楽想に完全なニュアンスを表し奏でるセレナーデ。
指揮者は第一ヴァイオリンに向けてもっと熱い想いで強調してと声を荒げる。
官能性の塊の迸りが第一ヴァイオリンに命を与えられたリリシズムの清らかな響き。
全ての溢れる想いをぶつける究極のカタルシス。
全ての怒り妬みを愛をぶつけてしたらしめる。
ああ、指揮者はこの情念を第一ヴァイオリンに伝えたかったのです。
この深い情念をあなたに伝えたかったのです。
リリシズムの音の表情をしたこの図太くしなやかな力強さ、そうこれが私がずっと追い求めてきた音の所在なのです。
さあ、始めよう。
人生が全ての喜怒哀楽で味わい深く表現されている。
この神妙で筋が通ったエネルギーの伝搬力。
力の煮えたぎる熱い想いで指揮者の握りしめる手の強さが、オケの奏者の極限のフォルティッシモで表現され頂点へと向けて炸裂して突撃していく。
さあ、本番だ。これから究極の音楽が始まるのです。
オーケストラのリハーサル