ドア
ドアが少し開いていた。それについて特に何も思わなかった。ああ、ドアが開いている。あとで閉めておこう、とそのくらいに。
何か入ってきたんかな、と息子は言った。この間、居間のテレビで一緒にオカルト特番を見てから、神経過敏になっているらしい。
そうかもね、と言ってみた。息子がいやがるのが面白かった。そしてとうとう閉めてきてくれと頼まれた。半開きのまま放置しておくと、ドアが気になって他のことに手が付かないという。
彼はいとも簡単に出来事に意味を持たせる。簡単なことではない。少なくとも私にはどうこうできない。向こうからやってくるものでもない。ひょっとしたら生涯ないかもしれない。
半開きの扉に首を突っ込んでみた。暗い廊下が広がっていた。冷たい風が頬を打った。
ドア