ドア

 ドアが少し開いていた。それについて特に何も思わなかった。ああ、ドアが開いている。あとで閉めておこう、とそのくらいに。
 何か入ってきたんかな、と息子は言った。この間、居間のテレビで一緒にオカルト特番を見てから、神経過敏になっているらしい。
 そうかもね、と言ってみた。息子がいやがるのが面白かった。そしてとうとう閉めてきてくれと頼まれた。半開きのまま放置しておくと、ドアが気になって他のことに手が付かないという。
 彼はいとも簡単に出来事に意味を持たせる。簡単なことではない。少なくとも私にはどうこうできない。向こうからやってくるものでもない。ひょっとしたら生涯ないかもしれない。
 半開きの扉に首を突っ込んでみた。暗い廊下が広がっていた。冷たい風が頬を打った。

ドア

ドア

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-24

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