インタビューの記録
その時、どのような感情をお持ちになられたのでしょうか?
強い憎しみです
できる事なら殴り倒してやりたかった
それが本当の気持ちです
・ ・
それはとても強い感情ですね
しかし、あなたはそのような行動に出なかった
結果的に、その憎しみに耐えて時間を過ごしたのでしょう
その事についてお聞きしますが・・
何か別な理由でもおありでしたか?
その日のうちに、一通の郵便物が私の元に届きました
それは毎月、私の元へ届けられている、私の個人的な精神的内容に関するもの、分かり易くいえば信仰書のようなものです
私はそれを受け取った時に、心の内に閃くものがありました
この内に私にとって大切な何かが書いてある
それは今の私にとって必要なものなのだという強いインスピレーション的な感触がありました
しかし、私はそれをすぐには開けなかった
じっくりと読む必要があると思ったからです
そうですか
夕方になって、自由な時間が取れて、私は自分の部屋で静かに、その書面を広げました
そして少し読み進んだところで、とある言葉を見つけたのです
その、とある言葉とは何でしょうか?
吉田松陰の言葉で
「 自らの価値観で人を責めない 」
という言葉でした
・ ・
そうですか・・
その時、私が今味わっている憎しみの原因は正にこのようなものであるという、確かな了解を得たのです
それで憎しみは消えたのですか?
いいえ
憎しみは無くなりません
しかし、他者の憎しみを引き起こすような、そうした事はしてはならないという知見を得ました
なるほど
そういう事例は現代的にはパワーハラスメント
略してパワハラという言葉に凝縮されています
その吉田松陰の言葉を分かり易く仰ってください
「 客観を忘れ、自らの思うところに従い、他者の非を責めれば、憎しみを招く
人の短所をいたずらに責めてはいけない 」
そうですか・・
私が後から思ったのは
私に憎しみが生じるような事態と、それに対する、なぜそうなったのかという答えの両方が与えられたのではないかという事でした
憎しみは無くならない、けれども、なぜそうなったのかという答えが与えられた
この事がとても大切な事のように感じられたのです
吉田松陰の、 自らの価値観で人の非を責めない 、という言葉が憎しみを抱いた私に与えられた
それは、感情のままに人の非を責めてはいけない、とも解釈できるのです
狭量な行動に処するに狭量をもってすれば争いを招く・・という事にもなるのでしょう
まあ・・偶然はないですよね
憎しみの原因はこうですよという答えが、憎しみを持ったばかりの私に届けられた事は有意義だった
そして、それらの事には別な意味合いさえあるのではないかという憶測さえ生じた訳です
勝手な主観であり、拡大解釈だと一蹴される可能性もありますが・・
それは何ですか?
言えませんね
・ ・
あの・・
「 私だけの事実 」という言葉がありまして
お気を悪くなさらないでいただきたいのですが
そのような事実に対する曲解は一種の偏執であるという見方もあります
それがどうかしましたか?
いいえ
ご参考までに申し上げています
・ ・
最後にお聞きしますが
書面をお受け取りになられた時に、なぜ必要な事がそこに書かれていると思ったのですか?
・ ・
相手を殴りたいほどの強い憎しみの中にいた私に一通の書面が届いたのです
この内に何かがある
ただそう思っただけです
直観は言葉よりも先に私にヒントを与えてくれたのです
・ ・
そうですか
・ ・
インタビューの記録