zoku勇者 マザー2編・42

マジカント編・1

ジャミルは仲間達に見守られ、最後の記憶の場所へと
踏み出す。そして……。
 
「……ダウド……」
 
あの忌まわしい記憶を等々取り戻した……。
 
 
「ギルド万歳……ぐふっ……、ジャミル、痛いよ……、
死にたくないよ……」
 
「……ダウドっ!何でお前がっ!……どうしてだよ、なんで、
……なんでだよっ……!!どうしてお前が……」
 
「……ジャミル、……ごめん、ごめん……よ……」
 
「ダウド、死ぬな!……目を開けろよ、おい……、ダウド……、
ダウドォォォーー!!」
 
 
自分の夢を叶える為に失った大切な物……、それが……、
ジャミルが封印していた元の世界での記憶。……音の石の
場所での最後の記憶であった。
 
音の石が……ファイアスプリングでの音の記録をしみ込ませた。
 
これまで集めて来た全ての音の記録……、その8つの音が
一つになり、エイトメロディーズを奏で始めた。ジャミルは今、
その優しい音色の中に包まれている。
 
 
……こんなに優しいメロディーなのに……、でも、俺の中の
記憶は……
 
 
……全ての記憶を取り戻し、ジャミルは再び仲間達のいる
場所まで戻って来る……。
 
「……」
 
「ジャミル、……思い出したんだね……」
 
「ああ……」
 
ダウドがしゃがみ込んでいるジャミルの側まで近寄り
声を掛けた。ジャミルは生気の無い声でダウドの方を
みずダウドに返事を返した。
 
「大丈夫だよ、……オイラ、別世界ではずっと……、こうして一緒に
ジャミルといられるんだから……、バカやりながらでもね、だから……、
幸せだよ、凄く……」
 
「ダウド、……俺……、う、……」
 
「ジャミル……?」
 
再びジャミルが頭を抑え、呻き出す……。後ろで不安そうな表情で
見守っていたアイシャとアルベルトも慌てて事態に気づき急いで
ジャミルの側まで駆け寄る……。
 
二人が駆けつける前に……、ジャミルの意識が途切れ目の前が
真っ暗になった……。
 
 
「……」
 
漸く目が覚めた。気が付き辺りを見回す。……アイシャがいない。
アルベルトも。そして、ダウドの姿も。……一人になっていた。
 
「俺……、一体どうしたんだろう……、最後のパワースポットで
全部の記憶を取り戻して、それから……、何も覚えてねえや……、
皆……、何処行ったんだよ……」
 
意気消沈し、立ち上がろうとする。すると、ある事に気付いた。
 
「……いっ!?こ、これはっ!?」
 
ジャミルは驚いて自分の身体を触ってみた。……全裸、フル・チーン
……であった。何も衣服を身に着けていない……。しかし、赤い帽子
だけはしっかりと見に着けていた……。
 
「俺、意識がない間に追剥ぎにでも遭ったんか?しかしこれじゃ
やばいぞ!ワイセツ罪だっ!こんな格好でふらふらしてたら
ポリ公に捕まるっ!!せ、せめてこ、この……チーン……の
処だけはっ!!」
 
一応……、彼にも恥じらいはあるらしい……。しかしどうにも
ならずジャミルは困ってチンを抑えながらそこら中を走り回る……。
 
「こんなんやだよーーっ!ど、どうにかしてくれーーっ!!
……お?」
 
すると、ジャミルの股に○禁のシールが張られた……。
 
「……余計みっともねーっつんだよっ!ええーいっ、もうええわっ!」
 
ジャミルは○禁シールを引っ剥がし、腕組みするとその場に
どすんと腰を降ろした。
 
「ワイセツ罪でも何でも怖かねえやっ!何処にでも連れてけっ、
畜生!……盆二つ持って踊ったらあ!!」
 
「やっぱり相変わらず、アホだな……」
 
「だ、誰だっ!?」
 
聞こえてきた声に振り向くと……、其処には見覚えのある
人物が立っていたジャミルが一番よく知る人物、……それは……。
 
「俺自身なんだから仕方ねえな、ま……」
 
「お前は……、俺……、なんだな?」
 
「そうさ、お前に今まで声を掛けてたのも俺自身さ、来るなって
散々忠告しといたのによ、等々来ちまったんだな、本当にバカだな、
お前はよ……」
 
青い帽子に青い衣服の青年……、そう、元の世界でのジャミル、
彼自身であった。
 
「此処はマジカント、お前の世界だよ、……だから俺自身の
世界でもある、分るか?」
 
「頭わりィからさっぱり分かんねえよ、おい、ちゃんと説明しろ……」
 
「やっぱりな……、馬鹿だもんな、俺はこの先で待ってっからよ……、
来たきゃ来いよ、好きにしな」
 
「あっ、おい待てよっ!」
 
……青年ジャミルは姿を消す。ジャミルは心を落ち着けてもう一度、
今自分がいる場所を確認してみる。……周りは全て海に囲まれている
地形。彼方此方には巨大なニンジンやらトマトが埋まって地表から
顔を出している。そして、幾つかの建物。
 
「アイシャ、アル、ダウド……、皆を探さないと……」
 
ジャミルは一体何処に続くのか分らない道をとことこ歩き出した。
……あそこプーラプラ全快のまま。しかしもはやそんな事は
どうでもよくなっていた。
 
「此処はマジカント、君の心が創り出した世界だよ、……ジャミル、
自分の心の中をゆっくり探索するといいよ……」
 
「俺の……、心?この世界はやっぱり俺自身が創り上げたってのか?」
 
今度は黒いウサギが現れジャミルに話し掛け、そして消えた。
 
「ジャミル、お前は地球の全てのパワースポットの頂点に
立った、この事がマジカントの世界を生み出す条件だったの
だよ、……このマジカントには、お前の心の中に有る、美しさも
優しさも悲しみも、憎しみも……、その中にはむろん、邪悪な
物や凶暴な物まであるのだ、そしてその中心に、真理に繋がる、
エデンの海が存在する……」
 
「わ、分かんねえ、さっぱり分かんねえ、だけど……」
 
次に現れた老人……、ジャミルへと言葉を注げる。大事な事だけを
ジャミルに伝えるとまたしても消えてしまった。
 
「とにかく、先に進むしか……ねえって事だよな……」
 
ジャミルは更に先に歩いてみる。この先に一体何が待ち受けて
いると言うのか……。
 
「ん?あれは……」
 
「やっほー!ジャミルーっ!」
 
「お兄ちゃーん!」
 
「……ファラ?それに……、トレーシー?」
 
家は無い。しかし何故かソファーの上に座っているファラと
トレーシーの姿が見えた。そして、……ダウ犬も。ダウ犬は
ジャミルの姿を見ると暇そうに欠伸をした……。
 
「オイラはね、何時でもどんな時でも……、ずっとジャミルと一緒
だったんだよ、ずっとずっと、一緒にいられると信じてた……、
あの日までは……、さ……」
 
ダウ犬はそれだけ言うと狸眠りしてしまう。ジャミルは慌てて
ダウ犬を起こそうとするが……。
 
「お腹すいたんじゃないのかい?アンタの好物を作ってやるからさ、
……ちょっと!アンタなんて顔してんだい!辛かったらずっと此処に
いていいんだからさ、ずっと此処にいなよ、……ねえ……」
 
「いや、そういう問題じゃねえんだよ……」
 
ジャミルは困って再び自分の股を見た。……とにかく早く服が
着たいらしい。しかし、目の前のファラはジャミルがすっぽん
ぽんの露出狂であろうと、余り気にも留めていない様子。
 
「ジャミルお兄ちゃん、マジカントのずっと奥に、エデンの海に
繋がる場所が有るのよ、他の人には近寄れない場所なのよ!ねえ、
私に何か出来る事はあるかな!?」
 
ジャミルは、ファラ、トレーシー、そして、ダウ犬の顔をみると
静かに微笑む。
 
「有難うな、でも、俺はいつまでも此処にいる訳にいかねえんだ、
俺は此処を出るよ、自分の……、本当の場所に帰る為に……、だから
もう行くよ……」
 
「そうなんだね、ジャミル……」
 
「お兄ちゃん……、行っちゃうの……」
 
「ジャミルううう……」
 
「さよなら、また……、会おうな……」
 
……ジャミルがそう告げると、ファラ達も姿が消えた。ジャミルは
後ろを振り返らず、マジカントの地を再び歩き出した……。

ジャミルは更に歩いて行く。そして……、数々の懐かしい記憶と
出会う事になる。
 
「よう、ジャミ公!」
 
「……トンチキのおっさん!無事だったのかっ!あ!」
 
トンチキに近寄よろうとしてジャミルは足を止め……、そして
慌てて○禁を隠した……。やはり見られるのは恥ずかしいんである。
しかし、トンチキはお構いなしでジャミルに自分から近づいてくる……。
 
「わわわわわ!」
 
「今だから言うけどな、お前は嫌がるかもしんねえけど、
……お前は若い時のおれと似てるんだ、よーくな、……夢を
追い掛けていたあの頃のおれによ、……ジャミ公、若い内は
やりたい事沢山やっておけよ、おれの分までな……、あばよ!」
 
トンチキは相変わらず最後までファンキーなニカニカ笑いを
浮かべたまま、遠くに走って行った。ジャミルも慌てて後を
追い掛けるのだが……。追い付かず……。そしてトンチキもやはり
ジャミルの前から姿を消したのであった。
 
「待てよおっさーーん!ハア、ハア……、お、俺をおいて……」
 
走って息が苦しくて……、ジャミルはそれ以上言葉が続かなかった……。
 
「……何だよ、みんなして……、バーカ……」
 
ジャミルはそう呟いて俯いた。……ふと、また誰かが近寄って来た。
顔をあげると、其処にいたのは……。
 
「なあ~、めぐんでくれよお~、ちょっとでいいからさあ~」
 
「げっ!」
 
元の世界の自分の町にしょっちゅう出没する、浮浪児である。
追っ払っても追っ払っても只管金を請求してくるタチの悪い
クソガキ。周りの景色もマジカントではなく、自分が元いた
世界の町の風景だった。
 
「バカヤロ!俺のこの格好見りゃ分かんだろうが!……は、早く
向こう行けってんだよっ!」
 
「うるせー!バカヤローはこっちだっ!死ねっ!!」
 
浮浪児は相変わらず凄い勢いで走って行った……。地平を飛び越え……、
海を越えて。
 
「もう、何が何だか分かんねえよ、けど、これは全て俺の中の
記憶で創った世界なんだよな……、最初にいたファラ達は
オネットのファラ……、と、いう事は……」
 
「ジャミルーっ!今日の収穫どうだったーっ!?」
 
「……やっぱり……」
 
ジャミルの元の世界のファラも姿を現した。キラキラと目を
輝かせている。元の世界ではジャミルは貧しいファラの家に
金持ちから頂戴し盗んだ金などを届けていた。ファラの顔を
見ると、どうやら宝石などのお零れを期待しているらしい。
 
「あのな、俺、一文無しなんだよ……、この格好見りゃ分るだろ……」
 
「何さ、けちっ!……もういいよ、ダウドにお願いするからっ!」
 
「あ、おいっ、コラ待てファラーーっ!」
 
こっちの世界のファラも走って行き、何処かへ消えてしまう。
……またもジャミルは独りになった。
 
「どうせ俺をおいていくのなら……、最初から出てくんなよ……」
 
「……ケツの青い小僧が……」
 
「うわ!アフマドっ!?お前までっ!!」
 
……次に現れたのはアフマド。己の目的の為ならどんな非道も
平気で犯し故郷の町を絶大な力で支配していた最高権力者……。
しかし、こいつの悪事が切っ掛けとなりジャミルは故郷を旅立つ
事になったのであった。
 
「……小僧、お前の所為で儂の全て……、何もかもが台無しだ……」
 
「何だよ!結局は又愛人生活に走ったんじゃねーかよ!」
 
「……」
 
アフマドも消え、景色は再びマジカントへと戻りジャミルは又、
とぼとぼと一人、歩き出した……。
 
「よお、ジャミル!」
 
「ポーキー……?」
 
ファラ達と同じく、家の外壁はない物の……、ソファーに座って
寛いでいるブタが一匹。いや、ポーキーである。体重オーバーの
彼が座っている椅子は相変わらず悲痛な音を立てている。
 
「今度は何する気だよ……」
 
ジャミルはポーキーに口調を荒げてみるが、何だかいつもの強気な
言葉が出てこない。この心の世界に送られてからどうにも調子が
悪いらしい……。
 
「お前、いいなあ……、おれ、実はお前が羨ましかったんだよ、
ずっとさ」
 
「!?」
 
いつもの悪態をつくポーキーとは裏腹に彼がぼそっと発した言葉。
ジャミルは信じられず、思わず身構えるが。
 
「……まあ、そういう事さ、仲良くやろうぜ!」
 
「ふざけんなよ!今更っ、誰がオメーなんかとっ!……お、おい!」
 
ポーキーのいう今一事が信じられず、ジャミルは思わず声を荒げるが
しかし、ポーキーさえもふっと消えてしまう。
 
「何なんだろう、この感情……、独りになったのがこんなに……、
俺、恐いのか?置き去りにされるのが……、けど、昔はずっと
独りでいたんだ、あいつと会うまでは……、さ」
 
幼い頃から両親の愛を知らず、たった一人で彼は生きてきた。誰も
信じられなかった。独りでいる事、それが当たり前だと思っていた。
そんな彼に光を与えてくれた大切な友人。人は誰かと一緒にいなければ
生きてはいけない。そう教えてくれた。……姿の見えない友人の姿を
彼はいつの間にか探し求めている事に気づく。
 
「ダウ……、ん?」
 
突如地中から何かがボコボコと飛び出して来てジャミルの足を掴んだ。
ゾンビとゲップーであった……。
 
「ぐええ~へへへ……」
 
「ゲ、ゲップー!それにゾンビっ!何でっ、……うっ!くっせえええーー!」
 
「安心しろ、おれはもうお前と戦う気はねえ、疲れちまった……、
お前にやられてからおれのプライドはズタズタだ、……ちぇっ」
 
「お前には散々痛めつけられたな、もう死んでるって言うのによ……」
 
「あ……、ま、待っ……」
 
ゲップーもゾンビも……ジャミルに悪態をつくと消えてしまう。
……自分達を散々苦しめた敵でさえも、自分の目の前から消えて
しまう事にジャミルは怯えはじめていた。
 
「俺、……もう、歩けないかもしんねえ……、ダウド、アル、
……アイシャ……、でも、こんな……ポコチン全快の全裸のまま
死ぬのも嫌だ……、悔しい……」
 
ふと、また前を見ると、道の向こうにぽつりと灯りの付いた
一軒家が立っていた。座り込んでいたジャミルはフラフラ
立ち上がるとその一軒家まで歩いて行った。……救いを
求めるかの様に。漸く一軒家まで辿り着くと、急いでドアを
開けた。自分の世界なら、もしかしたら、誰か、大切な誰かが
待っていてくれるかも知れないと。
 
「だ、誰か……、頼む……、頼むから……、あ!」
 
「ようこそ、待っていました、私の勇気!」
 
「え……?」
 
一軒家の中には、鳥の様な容姿の鳥人間がいた。ジャミルが訳が
分からず首を傾げると、鳥人間はジャミルに握手を求めた。
 
「私はあなたの勇気です、名前は……そうですね、フライングマンと
でも呼んでください、さあ、行きましょう!」
 
「えええ!?ど、何処へ!?」
 
「エデンの海へ向かうのでしょう、此処から先は凶悪な怪物も
出現する筈です、あなたに力をお貸し致します!私はあなたの
勇気ですから!」
 
「は、まあ……、力貸して貰えんのなら有難いけど……、頼むよ……」
 
最初はびっくりして戸惑っていたジャミルだが、フライングマンが
差し出した手を漸く握り返した。多少、まだ顔が赤かったが。
 
「ふむ、先程よりも笑顔が戻りましたね、此処に来た時は、
あなた死にそうな顔をしてました、良かった、私の勇気!」
 
「あのさ、その言い方、何かこっぱずかしいから……、
普通に呼んでくれよ、ジャミルでいいよ……へへ……」
 
やはり照れ臭いのか、頬をポリポリ掻きながら……、
フライングマンの方を見ずジャミルが返事を返した。
 
「分りました!では、私の勇気のジャミル!出発しましょう!」
 
「ちょ、……何か余計恥ずかしくなったし……、まあいいか……」
 
私の勇気の意味はジャミルにはまだ良く分かっていなかったらしいが、
このフライングマンとの出会いにより、ジャミルの調子はいつの間にか
徐々に戻りつつあったのだったが……。

「!こ、これは……」
 
フライングマンの家から外に出たジャミルは衝撃的な物を見つけた。
さっきは錯乱していて気が付かなかったのであろうが、家の近くに
ある十字架の墓標。……勇敢なブンブーン、此処に眠ると表記してある……。
 
「どうしてなんだ……」
 
「どうかしましたか?私の勇気」
 
「い、いや……、その……、行こう……」
 
フライングマンに上手く説明する事が出来ず、ジャミルはフライング
マンの家とブンブーンの墓標を後にし、再び歩き出す。此処から先は
道が細く、うっかり気を抜くと海に落ちそうであった。
 
「あのさ、ちょっと聞いていい?」
 
「はい、私の勇気のジャミル」
 
「コホン……」
 
ジャミルは少し困って咳払いするとフライングマンに訪ねた。
 
「その、私の勇気って……、何?」
 
「私の勇気は私の勇気、あなたは私の勇気なんです、それだけですよ、
私、フライングマンはジャミル、あなたをいつも誇りに思っています」
 
「はあ、そうなのか……、うーん、もういいや……」
 
ジャミルはこれ以上尋ねても混乱するだけだと思い、何も聞かない
ことにした。この言葉の意味は否応無しに漸くジャミルは後に
理解する事になる……。
 
「……はうわ!?」
 
突如、道を歩いていたジャミルの足元から……、何かが出現しジャミルの
足首を掴んだ。ジャミルは海に引きずり込まれそうになるが……。
 
「危ない!私の勇気!たあーーっ!」
 
フライングマンがジャミルの足首を掴んでいた手首にびしっと
チョップし、謎の手首は再び海へ沈んで行った。
 
「はええ~、助かったよ、……フライングマン、ありがとな……」
 
「いえ、この先何が起こるか分かりません、気を付けて下さい……、
出来るだけ……、私が守っていられるうちに……」
 
「ん?」
 
「何でもありません、さあ先に進みましょう」
 
「ああ、それにしても……」
(本格的に敵が出たらこのまんまでバトルすんのかあ~、モロ原始
バトルだなあ~、情けねえ……もしもアイシャがこの場にいたら……、
どうなってたんだろ……)
 
「私の勇気、元気ですね!良かった」
 
「そうだなあ、此処も元気……、うっわ!やべ、立ってる立ってる!
スケベな事考えてたわけでもねえのにっ、何でだよっ!ええーいっ、
静まれっ!」
 
顔を赤くして股を抑えながらながらとてとて歩いていくジャミルの
姿をフライングマンは微笑ましい目で見つめていた。
 
「この世界……、何か所々、風景の色が変ってんだなあ、さっき
気づいたけど」
 
「それはあなたの心の色を表しているのでしょう、あなたの心が
不安な時は不安な色になる、……おや、また変わりましたね……、
黄色ですか……」
 
「……しょ、小便……」
 
ジャミルは慌ててフライングマンから少し離れ、立ちションをしりに
すっ飛んで行った。
 
「成程……」
 
やがてジャミルが戻って来た。生まれ変わった様なすっきりした表情で。
 
「はあー、気持ち良かったなあ~……」
 
「それは良かっ……、すっきりした処、申し訳ありませんが、
身構えて下さい、そろそろ来ますよ……」
 
「え、ええええ!敵かっ!!」
 
フライングマンの言った通り、前方に敵が現れ行く手を阻む。
シルクハットを被り、身体がダイスになっている浮気なダイス、
そして、積み木の様な容姿の安心ボム。……フライングマンに
言われた通りジャミルも身構える。すると、先程まで無防備
だったジャミルの右手に高級バットが宿った。
 
「武器だっ!よし、これで戦いやすくなるぜ!」
 
「私の勇気、あまり無理をしては駄目です、あなたはエデンの海へ
向かわなければならないのですから、……此処は私に任せて下さい!」
 
「大丈夫だって!……お、おいっ!」
 
しかし、ジャミルが返事を返す前にフライングマンが先に敵に
突っ込む。ジャミルも慌てて加勢しようとするが、安心ボムが
仲間を呼び、ジャミルの後ろにも召喚された安心ボムが立ち
はだかった。
 
「なろお、仲間なんか呼びやがって……!なめてんじゃねえ!」
 
「……危ないっ!!」
 
ジャミルの後ろにいた安心ボムがジャミルに向け、スーパーボムを
投げつけようとする。咄嗟にフライングマンが飛び出し、ジャミルを
庇う。……その隙に前方の浮気なダイス、安心ボムがフライングマンに
向けて一斉攻撃し、……フライングマンは前方、後方、……両方の敵から
ダメージを受けた……。
 
「だ、大丈夫かっ!?」
 
「これぐらい平気です、……私はあなたの勇気なのです、
これぐらい……、何ともありません……」
 
フライングマンはそう言うが……、かなり苦しそうであった……。
 
「畜生っ!……一気にケリつけたらあ!PKキアイっ!Ωっ!!」
 
ジャミルは怒り沸騰でまずは仲間を召喚する安心ボムに狙いを定め、
PKキアイΩをありったけの力を込めぶつけた。どうにか安心ボムは
消滅し、残りは浮気なダイスのみだけになった。
 
「……此処は私がっ!」
 
「駄目だっつーのっ!……はああーーっ!!」
 
尚も無理をしようとするフライングマンをジャミルが制し、浮気な
ダイス目掛け思い切りジャンプするとスマッシュを繰り出し、見事に
止めを刺した。
 
「やはり凄いです、私の勇気……」
 
静かに言葉を発するフライングマン。……しかし、ジャミルは
そんなフライングマンをジト目で見る。
 
「あんなあ、……お前、私の勇気とか言ってる割にはすげー無茶
すんなあ……、人に無理スンナとか言っときながら……、そんなの
勇気でも何でもねえぞ、そう言うのは唯の無鉄砲……」
 
「だからあなたは私の勇気なのですよ、無鉄砲な処があなた、
そのままなのです」
 
「う、……と、とにかく……、あまり無茶しないでくれよ……」
 
……そうはっきり言われてしまうとジャミルは何も言えなく
なってしまった。
 
「さあ、回復するぞ、ライフアップ掛けるからさ……、ほら……」
 
「いえ、大丈夫です……」
 
「!!!」
 
フライングマンは何故かジャミルからの回復を拒否した。
……当然の事ながらジャミルは激怒する……。
 
「あのな、何が大丈夫なんだっ!回復しなきゃ死んじまう
だろうがよっ!!」
 
ジャミルは自分を心配して怒っている。その事をフライングマンは
充分分かっていた。彼は優し過ぎるからこそ。……しかし……。
 
「分かっています、……しかし、私はあなたをエデンの海まで
送り届けるのが目的、あまり余分な力を使ってほしくは
ないのです……、この先にも更に厄介な敵が待ち構え、私達の
邪魔をしてくるでしょう……」
 
しかし、そう言った処でジャミルが聞く筈が無かった。
ジャミルは更に激怒し、手が付けられなくなる……。
フライングマンはどうしても真実を告げられず、どうすれば
いいのか考え、苦しむのであった。

zoku勇者 マザー2編・42

zoku勇者 マザー2編・42

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-02

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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