我ら工場ファクトリーズ 第一話
おはようございます。新作第一話のお届けです!工場都市で謎の物品を造り続ける主人公。お楽しみに!
第一話
「我ら工場ファクトリーズ」
(第一話)
堀川士朗
登場人物
八騎連(はちき・れん)。
この物語の主人公。埼玉第四工場の工員。副主任。
梅坪和也(うめつぼ・かずや)。
八騎の同僚。
嵐感汁郎(あらしかん・じゅうろう)。
八騎の同僚。
一条毛谷州(いちじょうげ・たにす)。
八騎らの上司。工場の監督官。
吉岡治(よしおか・おさむ)。
工場長。普通の人。
丸子菱安(まるこ・びしゃす)
大佐。埼玉第四工場直属の軍隊の指揮官。軍人には珍しく人当たりが優しい。
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ダイ日本人民共和国。
ここは、埼玉第四工場。
中央地区に主だった巨大な工場群が配置されている。
その他、東地区、西地区、北地区、南地区に分かれている。
八十平方キロメートルの広大な敷地の四方を囲む塀の厚さは五メートルで、高さは百メートルある。
その空にはドーム状に電磁バリアが張られ、空気と光だけを通し、ネズミ一匹スズメ一羽、中に入る事も出る事も叶わない。
東地区には工員寮があり、工場の工員たちは全員そこで寝泊まりしている。
四畳半の部屋に三人一組。
部屋には三段ベッドが存在感ありありで置かれてスペースを取っている。
自由に使える空間は二畳くらいだ。
朝早く。
点在する東地区の寮。
ここでは埼玉第四工場の工員およそ五千人が生活している。
その寮の一室で、同室の八騎連と梅坪和也と嵐感汁郎が会話している。
「言うけど」
「うん」
「ここは週一ペースで本能寺の変のイベント発生するような感じだから、いくつ命があったって足りないよな」
「でも俺たちは生きてる。これまでも、これからもだ」
「北海道の工場に当たれば良かったなあ。あそこは昼メシに蟹汁が出るし、作業も楽だって噂だぜ」
「蟹も毎日だと飽きると思う。あまり多くは求めない方が良いよ。現状維持だって立派な事だ」
嵐感がアゴをさすりながら言う。
「でもなあー。ここは娯楽が少ない」
「それは言えるね」
「神奈川第一工場も良いよな。オシャレで」
「神奈川第一は先月やられたって言うぜ」
「そうか」
「うん」
「オシャレに気を取られていて負けたか。逆説的にだせえやつらだ」
「あー!ここにもアイドルが慰問に来れば良いのになーー!」
隣の部屋から壁を叩く音が聴こえる。日常茶飯事の事で、少し梅坪の声がうるさかったようだ。
寮の壁は薄い。
「また半年も経てば来るよ」
「前に来た子、可愛かったよね」
「うん」
「恋したよ。無駄な事を」
梅坪がそう言って少し照れた。
「夢だな」
「そろそろ仕事行こうぜ」
三人は電車の四つ又線に乗る。
これで西地区や南地区、北地区へも行く事が出来る。
埼玉第四工場唯一の映画館が車窓の外に見える。
クエン酸足らんて言うの監督の映画、『犬ビル』がまたまた上映されていたが、八騎は観ないつもりだ。もう十回以上も観ているからだ。
映画館では新作がかかる事はまれである。
朝ご飯。
工場に近い、朝からやっているレストラン、『PSYゼリア』で食事する三人。
この店はコックたちが超能力を使って調理するため、塩を使ってなくても塩味がしたりして美味しい。
三人とも『気紛れマスターの更に気紛れドリア』を注文した。
美味しい。
「最近病気の調子どうだ?嵐感」
「あの頃は俺、頭おかしかったからね。でも今は月イチの注射と日々の投薬でまともになった。もう怖くないよ」
「俺もクスリは飲んでる。何か効いてる感じはする」
工場に到着し、服を着替えて庭へ出る。
吉岡治工場長が朝礼の挨拶をしている。
工場ファクトリーズ社歌。
毎朝の朝礼の時に全員で歌うのだ。
♪行くぞ~
我ら工場ファクトリーズ
負けるな
負けるな~
ダイ日本人民共和国~
敵は汚穢(おわい)の~
邪なる進化帝国~
民族浄化を旨とする~
負けるな
負けるな~
ダイ日本人民共和国~
母なるマザーの危機をば
救わんがためにぞ~
今日も作るぞ
明日も作るぞ~
未来を共に創る~
我ら工場ファクトリーズ
夢見て走れ~
吉岡治工場長は満足げだ。
ラジオ体操と朝礼も終わり、作業開始のベルが鳴る。
吉岡の横にいる監督官、一条毛谷州が手を鳴らし、さあお前ら働け働けと急かしている。
舌打ちする八騎連。
「言われなくても働くよ。谷州」
続く
我ら工場ファクトリーズ 第一話
ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。