zoku勇者 マザー2編・41
地底大陸編・6
地底大陸のグミ族の村を後にした4人は等々ファイア
スプリングの洞窟まで辿り着いた。此処が最後の音の石の場所、
そして旅の終着地点へと繋がる場所でもあった。
「暑いねえ~……、かき氷食べたいなあ~、ごめんね、暑い場所に
来るとすぐこの台詞が出ちゃうんだ、オイラ」
「そりゃあな、彼方此方溶岩だらけだし、名前からしてそうだろうがよ」
「大丈夫よ、ジャミル」
「ん?」
「……皆がついてるからね!」
ジャミルは改めて仲間一人一人の顔を見つめた。等々此処まで来た。
自分をいつも見守ってくれる仲間もちゃんといる、色んな思いが
ジャミルの胸にこみ上げ……
「♪へーたれ、はらぐろ、じゃじゃうまあ~……、どいつも
こいつも変な奴ら~……」
て、こなかった。
「……ちょっとっ!何それっ!」
「スリッパで叩くよ、ジャミルっ!?」
「此処はみんな有難う!じゃないかあ~!」
「わりィな、俺、そんな台詞言う良い子ちゃんじゃねえのよ!
はははっ!」
ジャミルはふざけてぴょんぴょんジャンプしながら洞窟中を
飛び回っている。……他の3人は口を開けたまま呆れた……。
「ジャミルったら、何処かの森のいつも跳ねてるトラさん
みたいなの、ね?アル」
「そうかな、……そうなのかもね……」
「うわわわ!あっちっ!?」
ふざけ過ぎて溶岩の溜まりに足を突っ込んだらしい。
「ほれみろ、あばけてるから……、たくもう……」
アルベルトが更に肩を落とすが、ジャミルはこのままで
いいのだという事も承知していた。これから待ち受ける
事を考え、落ち込むジャミルよりは馬鹿をやっている
ジャミルを見ている方がはるかに安心するのであった。
……だからと言って、いつまでも調子に乗ってふざけて
いられるのも困りモンであったが。
「ねえねえ、オイラもこれ身に着けてみた!どうかな?」
ダウドが王者のマントを装備し、皆に披露する。何故か
此処に来る途中にプレゼントボックスに入っていたダウド用の
最強装備の一つである。
「うん、素敵よ、ダウド!」
「えへへ~、オイラ何か照れちゃうなあ~……」
「……どっちかっつうと、王者のトンマって感じがするなあ……」
「何だよおお!」
「またそうやって構う……、いい加減にしろったら……」
「あーはははは!」
ジャミルは笑いながらまた洞窟の奥へと走って行った……。
「ジャミル、大丈夫かしら……、またいつもの強がりよね、
これって……、本当は不安なのをわざとおどけて無理して
るんだわ……」
「どうだかねえ~、ジャミルの事だもん……」
「アイシャ、それは僕も分かってるよ……、だから出来るだけ
皆でサポートしてあげよう……、ね?」
「うん、そうね……」
……うわ!何だよっ!!
「!ジャミルっ!?」
……ジャミルが走っていった奥から、ジャミルの大声が
聞こえた……。
「急ごう、敵だっ!」
「待ってて、ジャミルっ!」
「あっ、待ってよぉぉ~!」
急いで走って行くアルベルトとアイシャ。慌てて二人の後を
追うダウド……。
「ジャミル、大丈夫っ!?」
「無茶しちゃ駄目だよっ!」
「ふいい~、も、もう……、走っただけで……、エネルギー
消費した……」
アイシャ達が駆けつけると、スライムの様な容姿で炎を
纏った怪物がジャミルにじりじりと迫ろうとしていた……。
熱く燃える敵である。
「皆!……来てくれたのか!わ、わり、またつい調子に
乗り過ぎた……」
「当たり前でしょっ、もうっ!炎には氷、……ダウド、一気に
攻めるわよ!」
「……はああ~い……」
「熱くなれよお前ら!燃えるんだよ、なあなあなあ!
もっと熱くなれよおおおおおお!!燃えてますかああああ!?」
「喋ったし、しかもうるせーなあ……」
……熱く燃える敵は何処かで聞いた様な暑苦しい台詞を
淡々と喋った。本当に暑苦しい敵である。そして暑苦しい
気合いで気を一気に高めると、炎の海を全員にぶつけてきた。
四人はPKファイアーΩと同等の大ダメージを喰らった。
「畜生……、あつっ!大丈夫か、皆!すぐにライフアップ
掛けるからな!」
すぐにジャミルが全員にライフアップΩを掛ける。4人の
ドラムダメージは瞬く間に回復し、ドラムが回復全快数字へと
回り出す。
「お返しよっ!PKフリーズΩっ!」
「オイラもっ、PKフリーズΩっ!」
アイシャとダウドのダブルPKフリーズΩが瞬く間に熱く燃える敵の
身体を凍らせる。その隙にアルベルトはペンシルロケット5を噴射。
氷になった熱く燃える敵は粉々に砕けた。
「やったわっ!」
「やったああーー!」
「……ふう、何か俺、……あんまりする事なかった?」
汗を拭きながらジャミルが呟く。最近、彼はバトルで何だか
影が異様に薄くなっている様な気がし始めていた。何となく。
「ジャミルはこの後のボス戦に備えてなるべくPPと体力を
温存しておかなきゃ!君が攻撃の軸なんだからね!頑張ってよ!」
「ん、分ってんだけど……」
アルベルトに言われ、ジャミルがぼそりと呟いた。
「最近打撃攻撃方面でもでミスる事も多くなってきた様な
気がする……、やっぱ疲れてんのかな……、俺」
「……お前ら熱くなれよオオおおーーー!!」
「!!!う、うわ、、またっ!」
ジャミルの側の地中から又も熱く燃える敵が何体もボコボコ
飛び出してくる。ジャミルは慌てて最高のバットを構え直した。
「この野郎!うるせえんだよっ!」
ジャミルは地中から飛び出してきた熱く燃える敵の頭部をバットで
ボカスカ殴る。しかし、殴っても殴っても熱く燃える敵は地面から
すぐに何体も飛び出してくる。
「……ちっ!」
「ジャミル、無茶しちゃ駄目っ!」
アイシャが再びPKフリーズΩで熱く燃える敵を凍らせた。
アルベルトがスーパーバズーカを放ち熱く燃える敵軍団を
一網打尽にした。
「ふう、……俺ホント、マジで駄目だわ……、お前らがいて
くんなかったらもう……、ホントどうなってたか……、皆、
ありがとな……」
「ジャミル、一体どうしたの、また……、君らしくないよ……」
「そ、そうだよお!さっき……、そんな台詞言う良い子ちゃん
じゃねえって……」
「俺らしい……、俺らしいって一体何なんだろ……、……うっ!」
「ジャミルっ!」
ジャミル、又頭を抑えてしゃがみ込む。……頭痛が出た様だった……。
「大丈夫だよ、アイシャ……、いや、大丈夫じゃねえんだけど、
もう一人で抱え込む様な真似はしねえからさ、わり、すんげー
頭いてえの、マジ最高潮だ……」
「わわわわっ!アルっ、ジャミルを少し休ませないとおーー!」
「分った、何処か休めような場所で少し休んで行こう……」
……4人は幸い、側にあった横穴の中に入り、其処で少し休憩
していく事にした。
「ふう~……」
「大丈夫かい?ほら、濡れタオルだよ……」
「わりィなあ、アル、用意がいいな……」
ジャミルは自分の顔に受け取った濡れタオルを当てて暫し涼む。
それを見ていたアイシャは……、ジャミル、ちょっとおじさん臭い……、
とも思った。
「ああん、オイラもアイスキャンディー食べたいよお~……、ぐす……」
「ダウド、僕達でこの先の通路の偵察をして来よう……」
「え?二人だけで?……分ったよお……」
「!んじゃ、もう俺も動くわ……」
「ジャミルは駄目だよ!アイシャ、ジャミルを見張ってて、
無理するからね、少しでも休んでもらわないと、さ、ダウド、
行こう……」
「ん~、しょうがないなあ……」
気を遣ったんだか何だか、ジャミルとアイシャを横穴に残し、
アルベルトとダウドはこの先の通路の偵察へと出かけて行った。
「何だよ、あいつら……」
「アルの言う通りよ、休める時はしっかり休んでおかなくちゃ!
……ね?」
「分ってる……」
そう言ったジャミルの表情は曇っていた。最後の場所が近い
所為か……、やはりジャミルも情緒不安であった。アイシャは
そんなジャミルを見つめ……。
「ね、ジャミル……」
「ん~?」
「何処にも、行かないでね……、絶対、ね?」
「はあー?何だよ、いきなり……、何処も行く場所ねえだろ……、
あ、テレポで飛んで一人で勝手にどっか行くなって事か?」
「そうじゃないの、……ただ……、何でもないわ……」
「……変な奴だなあ~……」
アイシャはそう言ったきり押し黙る。そしてそっとジャミルの
手に触れた……。何だかジャミルが遠くに行ってしまいそうな……、
そんな予感がアイシャの心の中に込み上げていた。
「ね、ジャミル、約束して、何処にも行かないって……」
「どうしたんだよ……、お前今日何か変だぞ……」
「普段のジャミルほどじゃないわっ!ねえったら!ねえっ!」
ジャミルは……、自分の顔をじっと見つめ、顔をアップで
近づけてくるアイシャに少々困惑する……。
「お願い……」
普通なら此処で分ったよと言うのだが、ジャミルの性格上、
どうしても真面目に返事を返すことが出来ず……。
「……途中で便所行くかも知んねえ……」
「私は真面目に話してるのようっ!こらーーっ!何処にも
行かないって約束しなさあーいっ!!」
「うわ!あたたたた!やめろっつーんだよっ!何なんだよお前わっ!!」
アイシャ、切れて等々ジャミルに飛び掛かってどーんと押し倒すと、
そのまま上に馬乗りになり、少々やばい体制になってしまっている……。
「ジャミル、少しは休め……、君達、何してんの……」
戻って来たアルベルトとダウドが……現場を見て騒然とする……。
「あ、お帰りなさい!あ、あのね、これはね……」
「……うわああーーっ!ジャミルがそんな奴だとは思わなかった
よぉぉー!親友だと思ってたのにィィィーー!!」
「バカダウドっ!何勘違いしてんだっ、アイシャもっ!いい加減で
降りろーっ!」
「ぶううー!……わ、分ったわよう、よいしょ……」
アイシャは自分を見つめるアルベルトとダウドの視線に気づいて漸く
我に返り、慌ててジャミルの上から降りた。
(全く、ちょっとの間にこれだよ……)
「それでね、僕らもぐるっとこの辺の周囲を探索してみたんだけど……」
「お、おう……」
「結構溶岩で道が塞がれてて通れない場所が多かったよお、
ロープで上に登って行く箇所も何か所か、……あ~う~……」
「こういう横穴から他に続いている場所みたいなのもいくつか……、
とにかく溶岩で通れない場所はそれらを利用して先に進むしかないね、
さ、行こう、ジャミルももう平気かな?」
「ああ、行くかな……、あ、ああっ!?」
急にジャミルがすっ転んだ。何もない場所で……。尚、かなり
慌てている模様。
「ジャミル、落ち着いて……」
アルベルトが注意する。これから最後の記憶の場所の
パワースポットに向かう為、緊張しているのか、
……それとも。
「単なるすけべ~、だよお」
「うるさいっ!バカダウド!……さ、さささささ…、さっきの事は
も、もももも、もう忘れろっての!あーもうーー!!」
「あ!待ちなさいよ、ジャミルっ!絶対に一人で行ったら
駄目なんだからねっ!」
先に走り出したジャミルの後を凄いスピードでアイシャが
追い掛けて行く。やれやれと言う様に顔を見合わせて
アルベルトとダウドも後を追った。
……先程アルベルトが言った通り、この洞窟では溶岩が溜まって
彼方此方の通路を塞いでいる。主に崖に攣る下がっているロープを
利用し上に登りながら移動していく方法が主らしい。
「よし、ふぁいとおー!いっぱあーつ!……最近このCM見ねえな、
よいしょ……」
やはり一番最初はジャミルが先導する。その後を他のメンバーも
登って行く。……が。
「え?えええええ!!」
「きゃあーー!」
先に登っていた筈のジャミルが……、上からモロに落ちて来て
下に墜落した……。アイシャ達はクライミングをいったん止め、
慌てて下に飛び降りる。
「いってええ~、……畜生、足滑らせちまった、あたた……」
「ちょ、こういう時滑って必ず落ちるのはオイラの特権だよお!
何やってんの!」
「ダウド、それ威張って言う事じゃないだろ……」
「……」
アイシャは何も言わず折れていないかジャミルの足の状態を
確認する。
「だ、大丈夫だって、ライフアップもあるし……」
「バカあ……」
「……ぎょ、ぎょぎょぎょ!」
アイシャが突然目に涙を浮かべ始めた……。
「だからっ、お前泣くなっての!マジでどうしたんだよ、おーい!」
アイシャの様子に慌ててアルベルトとダウドも側に駆け寄った。
「私にも分かんないの、何か急に涙出てきたの……、
ふぇっく、ぐす、ふええ~、……ジャミルのバカーーっ!」
……ばしっ!びしっ!ばしっ!
「こらっ、泣きながら俺の足叩くなっ!お前、心配してんのか
怒りたいのかどっちなんだっ!」
「分んないよーっ!両方よーーっ!……ふえええーん!」
アイシャは尚も泣き喚きながらジャミルの右足を引っ叩き続ける。
「アル、これは少しアイシャも休ませた方が……」
「う、うーん……」
「……約束してったらあー!ジャミル絶対何処にも行かないって、
それだけでいいのっ!」
「アイシャ……」
何が何だかジャミルには分らなかったが、とにかく今は泣き出した
アイシャを慰める事、それが第一だと思い、遂に観念し言葉を発した。
「分ったよ、約束する、俺、何処にも行かないよ、な?」
「ジャミル……、うん!あはっ!」
泣いていたアイシャに急に笑顔が戻った。側でオロオロ見ていた
ダウドとアルベルトの二人も取りあえずほっと一安心。
(ほんっと、単純なヤツ……、ま、まあ、其処が……、可愛いん
……だけど……)
しかし、たったそれだけの出来事がジャミルに落ち着きを
取り戻させ、バトルでもいつも通り奮戦する様になり、
アイシャもジャミルを支える。
「行くわよっ、ジャミルっ!」
「よしっ、行くぜっ!」
「PKフリーズΩっ!」
「スマーーッシュッ!よしっ、ヒットっ!!」
「おお、熱くなってんじゃねえか!いいぞいいぞおおおお!!」
……熱く燃える敵はジャミルに殴られたにも係らず興奮しながら
砕け散った。
アイシャとジャミルの連携攻撃が暑苦しい敵集団を次々と叩き
のめしていく。さっきまで情緒不安定でドジ連発だったジャミルは
見事に復活し快調っぷりを見せつける。
「……はええ~、どうなってんのあの二人……」
「まあ良かったんだよ、ダウド、これでもうジャミルは本当に
大丈夫さ、いつものジャミルだよ、もう何があっても最後まで
乗り越えられるよ……」
「う、う~ん、やっぱ要するに単純バカなんだよねえ~、ジャミルは……」
「何だダウドっ!」
「なんでもないよお~……、う、わわわわわ!?」
「ダウドっ、気を付けてっ!」
アルベルトが叫ぶ。今度はPK男、PK男・各上の集団が
現れた。いずれも炎のPSIを使いこなす厄介な敵である。
「オラオラ!お前らも熱くなれよおおおおお!!トゥルルルル!」
「こいつも喋るんだけど!あーもうっ、暑い場所で本当に
暑苦しいよお!」
「ダウド、こっちの敵は僕らで戦おう!頑張れるかい?」
「はあーいーっ!頑張りまーすっ!」
PK男集団はアルベルトとダウドに任せ、ジャミルとアイシャは
引き続き熱く燃える敵と対峙する。
「そろそろ私もPPが無くなって来たかも……、どうしよう……」
「PPの回復アイテムはあるから、まずは取りあえずこのバトルを
何とか終わらせちまおう!よし、後は俺がやるから、アイシャは
下がってろ!」
「うんっ!」
ジャミルの言葉に素直に従いジャミルの後ろにアイシャが隠れる。
アイシャのその表情は少し照れているのか顔が赤い。
「はああああっ!……これで決めてやるっ!PKキアイΩっ!!」
ジャミルが全身全力でありったけの力を込め、キアイΩを熱く燃える
敵へとぶつけた。
「おおおおーー!君もマジで熱いねえーーー!!こんな熱いの
幸せえええーー!!」
「ハア、ハア……」
漸く、全て熱く燃える敵を一掃したらしく、……疲れたジャミルは
その場にしゃがみ込んだ。
「ジャミル、大丈夫!?」
ジャミルは後ろを向いてアイシャに笑顔を見せると親指をぴっと立てた。
「あははっ!やったね!」
「おーい、こっちも何とか終わったよおおーー!」
「大丈夫かーい!?」
「アル、ダウド!ああ、平気だ!」
「元気よーっ!」
それぞれバトルを終わらせ、4人が無事合流する。後はこのまま
この洞窟のゴール地点へと突き進むだけである。この先に何が
待ち構えていようとも。
……よく来たな、此処は8番目のお前の場所だ……、しかし今は
私の場所だ、奪い返してみるがいい……、奪い返せる物なら……
「等々来ちまったんだな、此処まで……」
「ジャミル……、大丈夫、大丈夫よ……」
「分ってる、アイシャ」
4人は最後の記憶の場所のパワースポットまで辿り着いた。
目の前のオブジェ、最後の記憶の番人……であった。
この世界では元の世界で彼らにそれぞれ待ち受ける
悲劇の記憶だけは当人しか覚えていない様になっていた。
しかし、ジャミルはその記憶を忘れ、幼いころから常に
ジャミルと一緒にいたダウドは記憶がほぼジャミルと共通して
いる為、すべて覚えている。
「大丈夫だ……、もしも俺が元の世界で忘れたい程の
苦しい記憶でその封印を願ったのなら……、俺はもう逃げねえ、
全て受け止めるよ、お前に勝って全て取り戻す!」
ジャミルがそう言うと光のオブジェが姿を変えた。犬の様な容姿の
カーボンドックである。……カーボンドッグは様子見なのか低い
うなり声をあげている……。
「行くぞっ!」
「……はわわああああ~、ジャミルがああ~、何だか真面目だよお~……」
ジャミルの掛け声でアイシャとアルベルトも揃って駆け出す。
やや出遅れてその後に続くダウド。しかしすぐに滑ってこけ、
クックロビン音頭状態になった。
「……カーボンじゃなくてよう、ホットドッグなら良かったのに、
まずは軽く小手調べ、ひょいっと!」
ジャミル、バットもPSIも使わず足でカーボンドッグを
蹴とばしてみる。カーボンドックはそのまま倒れた。……が、
すぐに起き上がリジャミルを睨むと再び唸り声をあげた。
「はああー!つっぱりつっぱりー!」
「ダウド、何してるんだい、張り手のモーションなんか……」
「だってえ、拳の正拳突き飽きたからさあ~、何となくね……、
はあ、王者の剣欲しかったよお~……、入手確率256分の一
だってさ、無理に決まってんじゃん、ぶつぶつ……」
※作者が大昔に友人に貸し、手元に帰って来たソフトのデータを
見た所、何と暇人な友人の方が入手した様です……。
「んじゃ、4人で張り手やるか……」
「……私はやらないわよっ!」
「真面目にやろうよ、たく……、僕もやらないよ……」
アルベルトが溜息をついた。どんな時でも、例えどんな相手でも
ユーモアを忘れないのがこの4バカであった。流石にラストで
待ち受けるであろうラスボス戦はこの先どうなるか分かりませんが。
「うわ!ああああっ!?」
それまで唸り声をあげているだけであったカーボンドッグが遂に
動きだし、ジャミルへ飛び掛かると肩へと噛み付く。ジャミルの
肩からは鮮血が飛びジャミルは思わず叫び声を上げる。
「く、畜生……、ててて……、そういや最初の方でも俺、トンチキの
おっさんにこうやって噛み付かれたっけ、何か懐かしいなあ……」
激痛の中でジャミルはトンチキの事を思い出していた。そう言えば今、
彼は何処でどうしているのだろうと。無論、すでに亡くなっている事を
ジャミル達は今も知らないのであったが。
「ジャミル、大丈夫かい!?ダウド、ライフアップをジャミルに!」
「うん、はわわわ!」
「……よくもっ!私も打撃攻撃よっ!当たってーーっ!!」
アイシャ、天使のフライパンアタック攻撃、見事にスマッシュになり
カーボンドッグに大ダメージを与えた。
「これが現時点での最後の一本だ……、ペンシルロケット5……!」
「ぴ、……PKフリーズΩっ!」
アルベルトとダウドも持てる力のすべてを出しきり全力で目の前の
敵と向き合う。4人は更に連携しどんどんカーボンドッグを追い
詰めていく。
「後もう少し……なのかなあ~?大分ダメージを与えたと思うんだけど……」
「何だか様子がおかしいわ……」
「……ああ、こいつっ!」
ジャミルが叫んだ。追い詰めたと思いきや突如カーボンドッグの
身体が光だし姿が変った。防御系主体のダイヤモンドドッグへと
姿を変形させた。
「えと、チェックチェック……、これは……、攻撃反射シールドが
掛ってる、もうPSIメインに攻撃を切り替えた方がいいね!」
メガネを光らせアルベルトが他のメンバーに忠告する。
「俺とアルは少し様子見だな、アイシャ、ダウド、頼む!」
「任せてっ、行くわよっダウドっ!」
「ふぁああ~い、……PP持つかなあ~、無事に終わってええ~
……、え?」
「……」
ダイヤモンドドッグが視線を外さず先程からずっとダウドの
方を見ている。そして、今度はダウドの方目掛け突進し
思い切り頭部に噛み付く。
「え……、いったあああっーーー!!……~!!!」
「……ダウドっ!!」
「ダイヤ化されちゃったわっ!」
「大丈夫だ、今はヒーリングγがある、すぐにこいつでっ!」
しかしダイヤモンドドッグはそうはさせまいとジャミルに
向かって突進しPSIの妨害をする。ジャミルは跳ね飛ばされ
ダメージを負った。ダイヤモンドドッグはそのまま負傷した
ジャミルの方へと向かい再び走った。
「ジャミルっ!!」
「アル、ジャミルが狙われてる!フォローをお願い!
私がうらカンポーの方でダウドは回復するわ!」
「分ったっ!」
護身用にと何枚かアイシャもうらカンポーをジャミルから何枚か
貰って預かっていた。
「ダウド待ってて、今戻してあげるからね!」
(早く元にもどしてえええ~!顔がこんなになっちゃって
恥ずかしいよおおーー!)
「畜生、舐めてんじゃねえぞ……、こうなったら多少のダメージは
喰らうの覚悟で……」
「ジャミル待ってて!今、中和マシンでっ!」
アルベルトが急いでシールドを解除する。しかし、ダイヤモンド
ドッグはすぐにシールドを張り直してしまう。
「ああ、そんな……」
「いくら解除しても無駄って事か、やっぱり多少のダメージは
覚悟で攻撃するしかねえな!」
「駄目だよ、ジャミルっ!アイシャがダウドを元に戻したらすぐに
すぐにこっちに来てくれる、だからそれまで落ち着こう!」
「わ、分った……」
アルベルトの言葉にジャミルが素直に従う。もう無茶はしないと
アイシャと約束したから。ジャミルがこちらもシールドβを自身と
アルベルト、両方に張った。ダイヤモンドドッグも一旦攻撃を止め
お互いににらめっこ状態となった。
「ジャミルーっ、アルーっ、お待たせーっ!」
「……ひいい~、ひいい~、ひいー!」
「お、復活したなっ!」
アイシャがダウドを連れ、此方に走ってくる。
後ろのダウドはいつも通りもう爺さん状態。……が。
「もうっ!よくもやったなああーーっ!!オイラ怒ったよおーー!!
PKスターストームαっ!!砕け散れダイヤモンドっ!!」
普段はPPを出し惜しみしてあまり使いたがらないダウドが自分から
率先してPKスターストームを使った。ダイヤにされてよっぽど頭に
血が上っていたらしい。ダウドが自分から使ってくれたのは魔境に
駆けつけてくれた時と、これで2回目である。
「ジャミル、僕がもう一度中和マシンを使う、その隙に!」
「ああ、チャンスは一度きりだ!」
ダイヤモンドドッグが大ダメージを喰らい面食らっている隙に
アルベルトがもう一度中和マシンを使い掛っているシールドを
解除する。
「今だよっ、ジャミルっ!」
「オフェンスアップα!」
アイシャもサポートPSIでジャミルの攻撃力を上げサポートする。
「サンキューアイシャ!せーのっ、……喰らえええーーーっ!!」
……止めの一撃が遂に最後のパワースポットのボスを打ち砕く……。
等々ジャミルは……全場所を守る記憶の番人を全て倒したのであった。
「や、やっ……、やった……、はは、はは、……でも、これで……」
「大丈夫よ、ジャミル、皆ついてるんだから、ね?」
「うん、オイラも此処にいるよお……」
「進もう、一緒に……」
「アイシャ、ヘタレ、アル……、ああ、そうだな……」
「ちょ、真ん中の呼び方何っ!」
「ヘタレはヘタレだよ、行こう……、困り顔のヘタレ……」
「真面目な顔してっ、……ま、まあ仕方ないね、我慢するよお……」
……ジャミルと仲間達は一歩一歩、最後の記憶の場所まで進んで行く……。
zoku勇者 マザー2編・41