濡ぼ〜い
艶ぼ〜いスピンオフ、変態強めバージョン。シリーズを読み終えたかたで、エロを許容できる大人の為の作品。blogでは非公開。馴染み友達にメールだけで送っている作品です。
同人誌に収録予定ですが改稿前なので内容が変わる可能性があります。
藍屋秋斉編
「どうして欲しいんか言わへんのやったらずっとこのままやで?」
逃げるように腰を浮かせる奏音を腕で押さえつけながら指の腹で脚の付け根のほうにつつつ、と摩っていく。
「ふぅっ、藍、やさ、待っ、」
「わてにどうしてほしい?」
首筋に甘く噛みついて囁く。
「ここは、辛抱たまらんて泣いてるようやけど?」
湿った薄い毛束を指で掻き分けてヌチュヌチュと指を差し込む。
「あっ、ゃぁ、」
「なんや、そんなに意地悪されたいんか、強情な子やなぁ。」
「だっ、て、」
「うん?」
「藍屋さん、みんなに、優しいのに、意地悪言うの、慶喜さんと、俺にだけ、じゃないですか?」
言われてみればそうだ。もうとっくに奏音のことは疑ってないのだけど。つい、なんとなくそのままの態度だ。
「なんか、特別な感じがして、藍屋さんに意地悪くされるの、好き、なんです。」
「ほうか、ならこのまま虐めよか。」
指三本で膣内をねっとりと掻き回しながら親指の腹で突起をコシュコシュと微振動させる。
「ひっ、ぁっ、ぁっ、待っ、て、イッちゃ、ぅ、ぁ、ぁ、あっ!」
甲高い声で鳴きながら、ギュッと俺の肩に爪を食い込ませて、快感に悶えていた奏音が、しばらく経つとふっと意識を失った。あかん、虐め過ぎた。気ぃ失わせたらダメやろ、声が聞けへんし、泣き顔も見れへん。
頬をぱしぱしと叩く。奏音がゆっくりと目を開けて、自分が気を失ってたことに気づいて顔を真っ赤に染めた。
「ごめんなさい、き、気持ち良すぎて、」
「手加減して優しくしよか?」
髪の毛をすきながら訊ねるとニマニマと笑って首を横に振った。
「もっとたくさん虐めてください。」
「それがしてほしいことなん?」
「あー、でも、あの、」
「うん?」
「意地悪なままでもいいから、もう、入れてほしーな。」
「なにを?」
「うぅ、聞くんですか、」
「意地悪なままで、て言うたやないか。」
「だって、この国の隠語までは分かんないですよ。」
「はは、あんさんでも知らんことあんねや? なら触って? どれを入れて欲しい?」
おずおずと奏音が俺の陰部に触れる。着物のうえから摩って撫でで、握ってくる。
「入れてって言わへんの?」
「ん、だって、藍屋さんが、気持ちいいって顔をしてくれたから、もうちょっと、このまま触ってたい。」
「わての気持ちええ顔が見たいんか。」
「藍屋さんだったら、どんな顔でも見たいです。」
「ほんなら、下の名前呼んで?」
「え? あ、あき、えーっ、なんか、」
「うん?」
「これ、顔の表情変わるの俺のほうじゃないですか?」
「ばれましたなぁ。」
「もぅっ、ほんと、意地悪い!」
「意地悪くして、なんて、ねだっといてからに。」
クスクスと笑った。だが、
「秋斉さん、大好きです。」
真っ直ぐな瞳に翻弄されて、余裕を無くして、かき抱いて局部に突っさした。
腕の中で何度でも果てさせたる。奏音、虐めてなんて言う、お前が悪い。
古高俊太郎編
手探りで形を確かめると小陰唇を右手中指と人差し指で開いて最も敏感な突起を剥き出しにした。
それをつまむように左手の人差し指と親指で揉みしだく、最初は丁寧にゆっくりと、少しずつ速くしていく。
「ぁ、ぁ、気持ちいぃっ、」
「そら良かった。」
そう微笑んで言うても、奏音はんはひとつも動揺の気配すら見せへん、恍惚顔の中にも余裕がとれる。
「もっと、たくさんしてください。」
ニマリと笑って誘うように腰を振る。腰を浮かして逃げるような素振りを見せたら言葉責めでもしたろかと思うたのになぁ、なんや悔しい。
「奏音はん。」
「はい?」
「わての顔に跨って? 舌で御奉仕しますよって。」
「えー、嫌ですよ。」
「恥ずかしいん?」
「顔跨いだら古高さんのスケベな顔が見れないでしょう。」
「……」
奏音はんが中指の腹で、わての喉から顎をつつつと辿る。挑むような目で笑う。
「俺なんかの何処がいいのか知らないですけど。この、俺を手に入れたくてたまらないって顔してる古高さんを見下ろすのが気分いいんですよ。」
「ほんまに、余裕やなぁ、」
「あはは。」
「どうやったら翻弄されてくれるんやろか。」
「そんなに優勢に立ちたいですか? でも俺、好きな男には跨って攻めるほうが好きなんですけど。ダメ? 好きなだけじゃダメ?」
「う。」
奏音はんの顔が近づいてくる。目を細めて唇や鼻の頭や瞼をついばんでいく。
「好き、だいすき。」
囁きと吐息が耳にかかった。
「ふふ、さっきより大きくなった。固ーい。」
クスクスと悪戯っぽく笑いながら強めに性器を握られて声が出た。
「あっ、」
「可愛い声ですね。」
いくつも離れた歳下のおなごにここまで翻弄されるなんて。
「体、預けてや、奏音はん。」
「痛くないですか?」
「さっきも言いましたやろ? あんさんの可愛い声が聴けるんやったらもっかい全部折れたってええ。」
わての胸板の上に寝るような形になった奏音はんの頭頂部に唇を這わせながら、ひだの内側をカリカリカリと爪で速くこすっていく。
奏音はんには心底惚れとる。どんだけ意地悪されてもかまへん。
けど翻弄されっぱなしは癪や。
と思うたのは束の間やった。
「く、は、」
「古高さん可愛い。」
「奏音はん、それ、やめ、」
「なんで? だってここ弄りながらだとすっごい硬いですよ?」
「なんや、変な気分なります、」
「変になってください。あーその顔いいな、すっごいエロくていい。」
腰をくねらせて跳ねながら奏音はんに言葉で、指で、舌先で攻めたてられる。
あかん。
さっき全部折れてもええ言うたばかりやけど、はよ骨繋がらんかったらずっとこのままや。
全快したら力ずくで組みしいて泣かしたる。喜びそうやけど。
一橋慶喜編
白くて細い腕が首の後ろに回されて耳を甘噛みされる。小ぶりだけど上を向いた形の良い乳房が胸板に当たって石鹸の泡で滑ってくすぐっていく。
「古高さん、全身骨折してるんですよ? なんかされるわけないでしょう。」
クスクスと奏音が耳許で囁く。多分、俺は口実が欲しかっただけだ、この腕を引き止める為の。
「あいつならやりかねない。」
笑って、奏音の瞳を覗き込む。上唇を噛んで歯で少し引っ張る。離しては柔らかく押し付けて、また離す。奏音の瞳が少しずつ据わって酔ったようになっていく。
「気持ちいい。」
「気持ちいいの?」
「うん。けー、き、さん、ぁ、とろけそ。」
隆起した突起にねだるように腰をすり寄せてくる。応えるように背中に回してた手を降ろし、両尻を掴んで太股の隙間にねじこんで擦りつけた。
「ぁ、これ、好き。」
「他は? なにが好き? なにがしたい? 奏音くん。」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
今朝泣かせたから。とは言いたくなかった。あんな風に思い悩んでいたのに、ずっと顔に出さず俺の為に働いてくれた。
危険なこともたくさんさせた、潜入捜査まで。女の子だったなんて知らずに。けどそれを口に出したら奏音は怒るだろう。
「……いつも、ずっと俺の為に行動してくれるから。たまには俺が奏音くんに何かしてあげたいな。」
「なに言ってんですか。これ以上してもらったら、俺の恩義が増えるばっかりですよ。」
さっきまで甘く囁くような声だったのに、いつもの少年の話し方に戻る。
「いまだって、ほんとは申し訳ないくらいです。俺なんて、ぜんぜん、慶喜さんに釣り合わないのに。欲しいなんて思って、抱いてもらおうとして。」
「俺は奏音くんのこと大事だと思ってるよ。」
「部下として大事にされてるのは知ってます。でも、俺は。尊敬だけじゃなくて、好きなんです。全部欲しい。おこがましいって解ってるのに。」
「全部あげるよ?」
「そんなこと言うと何するか判ってないでしょう?」
「だから何したっていいってば。奏音くんの望みなら聞くから。なんでも言ってよ。」
「後悔しますよ?」
「絶対しない!」
半ば意地になって言うと、奏音は俯いて迷ったあと、
「じゃあ、湯舟に入って壁に背中つけて立ってください。」
そう言って立ち上がった。促されるままチャポチャポと湯をかきわけて壁に背を預ける。奏音はゆっくりと近付いてきてチャプンと湯船に浸かると勃起した俺の陰茎に頬擦りした。
「え?」
市政に降りて遊び人の振りをする為に、春画も見たし、色文化も覚えたけど。遊女や町娘と寝たことは無い。これってもしかして雁首?
実際にされたことはない。奏音は軽く亀頭を吸ったあと、大きく口をあけて舌を伸ばし俺を見上げながら陰茎の裏筋をゆっくりと舐めあげた。
「ぁっ、」
う。変な声が出ちゃう。なにこの気持ちよさ。奏音は両手で俺の太股を強く掴む。俺が腰を引かせて仰け反ったのを逃がさないかのように。
じゅぽぽと音をさせて陰茎全部を口に咥えこまれると上顎のざりざりとした部分に亀頭と雁首を擦りつけられた。
舌先が根元から先の方へと弱く、強くくすぐっていく。唇をすぼめながら生暖かい舌がぐるぐると絡めとるように陰茎の周りを回転している。
ギューと吸われるような感覚と押し出されるような圧迫感が交互に襲ってくる。
「あっ、はっ、かな、た、待って、待っ、て、」
チュパチュパと音を立て、奏音はやめてくれない。思わず頭を鷲掴みしてしまった。
すると口内で舌を掻き回したり口の中で締め付ける動きから頭を振って上下の動きに変わる。まるで膣内に入れて腰を振っている時のようだ、脳天に快感が突き抜けて気を失いそうになった。
果てそうになった瞬間、奏音が咥えた陰茎を離して俺を見上げた。
「だから、後悔するって言ったでしょう。」
「……し、してないよ!」
奏音がニマリと笑う。嫌な予感がする。これは揶揄う気満々な時だ。思惑通り照れてなんかあげない。
「じゃあ、壁のほう向いて、こっちにお尻向けてください。」
「え? な、なにするの?」
「何してもいいんじゃなかったでしたっけ?」
「う。」
言質を取られてるから仕方がない。言われた通り壁を向いて奏音に背を向けた。
「脚開いて、こっちにお尻を突き出してください。」
なにされるんだろう。恐る恐る脚を開く。パシャシャとお湯が跳ねる音が響いた。尻を掴まれた感触の後に尻穴に生温い何かが入ってきた。
……背中に奏音が抱きついて謝っている。
「ごめんなさい。やり過ぎました?」
恥ずかしくて奏音に向き合うことが出来ない。されたことは怒ってないけど、あんなに声が出てしまうなんて情けない。
「けー、き、さん。」
甘えた声で奏音が俺の乳首をくすぐった。
「あとでいくらでも謝りますから。あの、俺、入れて欲しくてたまらないんですけど。まだ我慢しなきゃダメ?」
「あ、ごめん、」
恥ずかし過ぎて忘れてた。俺ばっかりしてもらって奏音を満足させてなかった。慌てて振り返ると奏音がくすぐったそうに、けど幸せそうに笑って口付けてくる。
つぷっと指を入れるとぬめって奥まで一気に入る。
「そんなに欲しかった?」
そう言って頭を撫でると。
「ずっと、何ヶ月も前から、欲しかったです。」
待たせ過ぎてごめん。女の子だって気付かなくてごめん。
これから先は度を越すほど愛してあげる。
土方歳三編
しがみついてくるお前の腰をかかえて髪に顔を埋めると柔らかな陽なたの匂いが鼻腔をかすった。
海風が頬にあたり、身体の熱が上がっているせいか冷たい空気が心地いい。
下腹部が火照って暴れだしそうだ、お前が欲しくて。
けれどそれを口にするのは気が引けた。あの夜、お前を泣かせて傷つけて、再会したのは戦場だ。敵かもしれないと疑っていた相手が仲間になって、信頼関係は築けているし、お前は俺に惚れているのだと言うけれど。
俺にはお前を欲しがる資格は無いような気がした。「夜這いに来てください」との誘いを断りはしなかったものの迷う。
同胞連中に捕まって行きたくても行けなかった、という事にしてしまおうか、と考えていたのだが。
ふと、奏音の顔色が芳しくないことに気付いた。
「おい? 具合でも悪いのか?」
「え?」
顔を上げて聞き返す奏音の顔色はやはり良くない。
「疲れてるんじゃないのか?」
奏音の目が泳ぐ。おかしい。こいつはいつだって、人の目を真っ直ぐにみる奴なのに。
奏音は誤魔化すように笑った。
「いえ、疲れてるとか、じゃなくて。」
こんな時に思ってしまうんだ。俺にはお前を欲しがる資格はないと。知らないんだ、お前のことを。総司の方がよほどお前と話しているだろう、近藤さんも、他の隊士だって、俺よりはずっとお前と話している。
俺は意地を張ってお前と出来るだけ口をきかないようにしていた。話したいとは思っていたのにな。
「離れたくないな、と思っちゃって。」
「あん?」
「俺たち、あんまり話せなかったじゃないですか。今だって抱きしめてもらえてるなんて嘘みたいで。いま離れたら、土方さん、俺の部屋に来てくれないような、気がして。このまま、離したく、ない、んです。」
切ない表情で言われたその言葉に煽られて。俺は愚かなことに、それを言葉通りに受け取った。
違う意味で、どんな気持ちで、お前が“離れたくない”と口にしたのかを後から知って俺は後悔する。
太股下に腕を入れて奏音を抱きかかえる。そのまま船室のひとつ、奏音の部屋に向かった。
「土方さん?」
「夜になっても来ないんじゃないかって怖さを消してやる。」
船室に入り、つっかえ棒で誰も入って来れないようにしてから、もう一度奏音の腰を抱えて目線を合わせた。
「朝まで一緒に居てやろう。」
奏音が涙目になって唇を這わせてきた。片手で腰を抱えて、手のひらで後頭部を支えて深く舌を吸う。
「すまん、加減できねぇ。」
少年だと思っていたのが信じられないくらい柔らかい肌に戸惑った。優しく扱いたいのに抑えが効かない。
「いい、です。乱暴なほうが、好き。」
「そういうのが好みなのか。」
「そういう風なのが好みなんじゃなくて、土方さんらしい仕草が好きです。土方さんが好きだから。」
「阿呆、あんまり煽るんじゃねぇよ。」
右太股を持ち上げて、奏音の脚を肩に乗せる。腰を片手で支えながら着物の袂を引きおろして、あらわになった乳房にむしゃぶりつく。
「んっ!」
「痛いか?」
「そっちは、いいんですけど、あ、足つりそ。土方さん、ベッド、えっと、布団じゃだめ?」
「夜ならいいんだが。この部屋の真下、食堂だろう?」
「あ、そっか。」
食堂には大勢の人間が居る。トランプトーナメント決勝がもうすぐ始まるだろう。床に入って腰を振ったら下に響く。別に聞かせるのは構わんが、何事かと上がってこられて邪魔されるのはかなわん。
奏音を抱えたまま歩いて部屋の壁に奏音を押し付け脚を両方肩に乗せた。
「これなら足は痛くないか?」
「ん、でもちょっと、怖い、落ちそうで」
「なら、こうしよう。」
「え? うそ、え、」
奏音の袴の紐をほどいて脱がせると、洋装ズボンの牡丹を外して膨張した一物を取り出して、ぬるりと差し込んだ。
「安定しただろ?」
「こ、これで安定させるって!」
「じゅうぶんだろうが?」
「た、確かに固くて安定してますけど、でも、」
「なんだ?」
「入れる前に、たくさん触って欲しかったな。」
「その心配は不要だ。俺は女が勘弁してくれと気を失うまで振り続けても果てないほど長いんだ、困ったことに。」
「そう、なんですか? ぁ、ん、あっ!」
壁に押し付けて、ゆさゆさと奏音が跳ねるように腰を強く振る。
乳首を指でコリコリと弄りながら首筋に舌を這わせた。
「このまま振りながら、たっぷり触るぞ? 気を失うなよ。」
「無理、かも!あ、ゃ、気持ちぃ、ぃ、いい、そのまま、下、も、弄って、くだ、さ、ぃ、 」
請われた通りに腰を突き上げながら割れ目からぷっくりと飛び出した突起をつまんで軽く引っ張った。
「んぅっ!」
透明なとろみのある液体が溢れ出して陰嚢を伝って太股に流れ落ちる。ポタポタと音をたて床に落ちて染みをつくった。
「泣き虫だな。」
指ではじいて虐めると、奏音が俺の背中に爪をたててよがった。
「こんな泣かされかたなら、いつでも歓迎です。」
クスクスと嬉しそうに耳元に囁かれた。
「あ、おっきくなった、えへへ、嬉しい。」
それを可愛いと思ったけど口に出して言えない。
「土方さん。」
「なんだ?」
「お願いしても、いい?」
何でも聞いてやる、と素直に言えるようなら、こんな顔にはならなかっただろう。眉間に皺を寄せながら答える。
「いちいち聞かなくていいから言え。」
「両手で、お尻つかんで、掻き回して、揉んでほしいです。」
「尻をもまれるのが好みか。」
「はい。それは好みなんですけど、でも。」
「うん?」
「土方さんのおっきくてゴツゴツした手が好き。ホントは押し倒されて両方の胸鷲掴みにされながら突き上げられたいんですけど。それじゃ床下の響きがすごくなっちゃいますよね。」
「岩礁にぶつかったと思われるだろうな。」
「あはは、船ごと揺らす気だ。」
笑い出す奏音の唇を塞いで、望み通りに両方の尻を強く揉みしだきながら、膣内を掻き回した。
「んんーっ、ん、ん、」
塞いだ口から声が漏れる。参ったな。
俺には男色の趣味は無かったから。志すものが同じ、信頼のできる“同胞”を抱いた経験は無い。
こんなに“いい”とは思って無かった。ちょっと気合いを入れないと、「なかなか果てない」がとんだ出まかせになりそうだ。
奏音の望みを利用して、俺は出来るだけ、ゆっくりと腰を振ることにした。
翔太くん×龍馬さん(BL注意)
古高さんが慶喜さんの隣で懸命に笑いを堪えてて大変そうだ。高杉さんは指をさして爆笑していた。「あのさ。明治時代になって身分はみんな同じになったけど徳川慶喜をあの扱いでいいの?」と僕が訊ねると同じく腹を抱えて笑っていた奏音くんが「いいんだ。あれは藍屋さんの愛情表現なんだから」と息を切らして苦しそうに答える。笑いすぎだよ。
社交パーティの練習のあと、せっかく皆で江戸に集まったのだからと料亭を貸し切って宴を開いている。明日からはそれぞれ京都に戻る藍屋さんやデパートガールたち、ドイツに視察に向かう高杉さんや伊藤博文さん、国防の為に北海道開拓に向かう土方さんや沖田さんなどバラバラになってしまうから。
「藍屋のおもてなしどす。楽しんでいっておくれやす」という藍屋さんの一言から始まった寸劇では藍屋さんが金髪のかつらをつけて慶喜さんを演じていた。奏音くんの役は花里ちゃんがしている。とっても楽しそうだけど京都訛りが抜けてないよ、花里ちゃん。帝に披露するため歌舞伎の練習をしていた藍屋さんに「わてらもやりたい」と言われて藍屋さんが書いたという脚本は、これでもかというほど慶喜さんを揶揄う為に作られた物語だった。奏音くん役の花里ちゃんがいかに慶喜さんを尊敬しているかをこんこんと語ったり、藍屋さんの代わりに藍屋さんの役をしている菖蒲さんが藍屋さんがどれほど慶喜さんを大事に思っているかを切々と語ったりする。馬鹿にしたりけなしたりしているわけでは無いので、慶喜さんは止めることも出来ずに真っ赤になって俯いていた。
「ふ、は、はははっ! 藍屋殿はなんであんなに声真似が巧いんだっ、そっくりだな! はははっ!」
苦しそうに笑う高杉さんに奏音くんが寄りかかって笑って
「兄弟ですからね。もともと顔も声も似てますし。でもホント演技巧いな、藍屋さん、アハハ!」
と、太ももをバンバンと叩いていた。貴方達もそっくりです。きっと将来は似たもの夫婦って言われるよ。
藍屋百貨店の余興のあとは僕と奏音くんで女装をしてきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲を振り付きで踊った。奏音くんの名前をなんでパミュパミュにしたのかのネタばらしも兼ねたのだ。沖田さんが「土方さんはねーパミュパミュって言えないんですよー、ププッ」と笑って土方さんに思いっきり後頭部を叩かれていた。
「結城はん綺麗やなぁ」と溜息をつく古高さんに「さすがエロ狸。男も食うか」と高杉さんが絡んでいた。「奏音より色気あるんじゃないか?」と土方さんが笑って嫌味を言うと「でしょう? 翔太の女装ってレベル高いんですよ」と奏音くんが自慢気に笑った。いや、そこは女の子として拗ねたり怒ったりしようよ。
眠くなるまで飲んで騒いで、全員さすがに疲れた夜中になると、近くに抑えていた宿屋に移動して部屋へと歩いた。酔い潰れて宿屋の人達に担がれてる人が殆どだった。
僕と相部屋の龍馬さんが布団の上にゴロンと寝転がって頬杖をついて僕を眺めた。
「しっかしほんに綺麗じゃのう。天女様のようじゃ」
「ふふ、羽が付いてるからですか?」
藍屋さんが慶喜さんを揶揄う為に輸入品の羽毛からしつらえた特注品だ。花里ちゃんが慶喜さん役の藍屋さんに「天からの使いなんじゃないの?」と言われている時に背中に付けていたものを「結城はんのほうが似合いそうやわぁ。腹立つなぁ。男やのになんでそないに綺麗やねん!」と据わった目でバシバシと背中を叩いてきて、無理矢理つけていった。
「宴は楽しかったかえ? ショコたん」
「はい。すごく」
「ほうか。良かったのう。おまんは武道は一生懸命やるが楽しそうにはしないからの。喧嘩は好きじゃないんじゃろうから仕方なかろと思ってたんじゃが。将棋ものう、わしらでは相手にならんじゃろ、強うて。ショコたんは何をするんが楽しいんかのうと思っとったんじゃ。芸者遊びは楽しそうにはせんし酒盛りは嫌いかと思っとった」
「バスケットが出来たら最高なんですけどね」
「まりを使うすぽーつ? じゃったか?」
「はい。でもこの時代の材質だとあのボールは作れないと思いますし、あんまり未来の文化を何でもかんでも持ち込むのは良くないと奏音くんと相談してますから。世紀の大発見を僕たちが勝手に潰したらダメだと思うんです」
「ほうか。なら今度は芸者遊びに付いてこんかえ? 酒盛りは平気なんじゃろ?」
「あー……いえ、それは行かないでおこうかと」
「なんが嫌な理由でもあるんかえ?」
どうしようかな。言ってしまおうかな。恋が実ることは無くても知っておいて欲しいかもしれない。それに龍馬さんなら軽蔑したりしないってもう判ってるし。
「その……僕は女の人にはそういう興味が無いんです」
「なんとっ!?」
龍馬さんが起き上がって大きな目をさらに丸くして口をぽかんと開けた。困った顔でほほを人差し指で掻きながら途切れ途切れに質問してくる。
「ほ、ほんなら、あれかの。歌舞伎役者の若手と楽しめる芝居小屋があるんじゃが行くかえ?」
「あー、いえ、僕は若い子や細い男の子には興味が無くて……」
「ほ、ほうか、ならお相撲さんとか体格のええのが好みなんじゃな?」
「いえ、そこまでじゃなく。がっしりとしてて肩幅が広くて胸の筋肉が硬そうな……ちょうど龍馬さんくらいの体格が」
「わっ、わしくらいのっ!?」
龍馬さんの声が上擦った。そりゃそうだよね。龍馬さんは女の人が好きなんだから。僕のことを同志として大切にはしてくれていても、それとこれとはわけが違うよ。受け入れられるわけがない。でも嘘は付きたくなかった。
「というか、本当は龍馬さんが好きなんです」
「……」
「最初に出会った頃からずっと好きでした」
龍馬さんの目が泳ぐ。まだ後ずさったりしない分、僕に一生懸命気を使ってくれてるのは判った。
「すみません。嫌ですよね。知りたくなかったでしょう? こんなこと。けど……あの、だから、芸者遊びは苦手です。龍馬さんが女の人にくっついてるのを見なきゃならないから。楽しくないんです。すみません」
「すまん!」
「いえ、龍馬さんが謝ることじゃないですよ」
「ほうじゃないが。わしはいっつもじゃ。いっつも気付かん。今度のことだってそうじゃ。消えるかもしれんとショコたんが悩んどったのにわしはちぃっとも気付かんで、日本がひとつになるう言うて喜んではしゃいで、おまんの辛さを見れてなかった。のうショコたん。頼みがあるが。わしは鈍い。鈍ちんじゃ。だから言うてくれんかの? 辛いときは辛い、楽しくないときは楽しくない、行きたくないものは行きたくないと。言うて欲しいぜよ」
「龍馬さん……」
「おまんには世話かけっぱなしの助けられっぱなしじゃ。なのにおまんが楽しくないことをしとったなんぞ不覚じゃ。頼む。したいことは言うて欲しいぜよ。いま、ショコたんはわしに何をしてほしいが? わしにできることなら何でもするぜよ」
「……ダメですよ、そんなこと言ったら」
「ええから言わんかえ」
「抱きしめたいです」
「だっ!? お、おう、お安い御用じゃ! どーんと来たらええが!」
龍馬さんは拳で胸を叩いて笑う。胡座をかいている龍馬さんの太ももに跨って背中に手を回した。背中から腰にかけて指先でツツツとくすぐりながら龍馬さんの癖のある髪束を口に含んで匂いを嗅ぐと日向のいい香りがした。
「しょ、ショコたん? わ、わしはこうガシッとの、強く抱きしめてくると思っとったんでの、その、」
「気持ち悪いですか? 嫌ならすぐに言ってください。止めますから」
背中に回した手を外して離れてそう言うと、龍馬さんが僕の肩を両手で掴んだ。
「おまんのことを気持ち悪いなんぞ思うわけないが」
「……僕、ここを舐めたいなっていつも思ってたんですよ? それでも?」
龍馬さんの大きな喉仏を人差し指でなぞる。コクリと龍馬さんが生唾を飲んで喉が上下した。
「な、舐めっ、なっ?」
真っ赤になってオタオタしてる。可愛い。吸いつきたくてどうしようもない。首に抱きついて喉仏から鎖骨に向かって舌を這わせる。厚い胸板に頬擦りして唇を押し付けた。
「しょ、ショコた、ちょお待っちょっ、おおっ!?」
腕を引いて龍馬さんを押し倒す。そのまま唇を奪って舌先で龍馬さんの舌をくすぐった。
「んっ、んんん!」
抗議の声に聞こえてハッとなり、慌てて上体を離す。
「龍馬さん。お願いします。突き飛ばして嫌だと言って逃げてくれませんか? 好きなんです。ずっと欲しくて、欲しくてたまらなくて。だから抵抗してくれないと、僕、自分で自分を止められません」
「ほ、ほげなこと言うてもの。嫌じゃないものをどうやって抵抗せえっちゅうんじゃ、ショコたん」
「……嫌じゃないんですか?」
「なんぼおまんが大事でも、嫌じゃったら突き飛ばして逃げるが。かっ、髪はサラサラっと肌をくすぐって気持ちええわ、腕も手もスベスベしとって女子(おなご)のようじゃし、ええ匂いもするしの。ショコたんは気を悪くするかもしらんが、その、綺麗なおなごに覆い被さられちょるような気にしかならんのじゃ」
真っ赤になってたどたどしく龍馬さんが伝えてくる言葉で僕は嬉しくて顔がニヤつくのを抑えられない。龍馬さんの下腹部に手を伸ばして股間に手をあてがうとはちきれそうに固くなっていた。それをキュッと握ってみる。
「ふおっ!?」
握っても萎まない。むしろ尚更硬く大きくなった。着物の襟元をはだけさせ鎖骨や乳首の周囲を髪の毛先でくすぐっていく。
「か、髪の毛はダメじゃ、それでくすぐるのはダメじゃ」
「嫌なんですか?」
「い、嫌じゃないからダメじゃというのに!」
「じゃあ髪の毛はやめます」
そう言って乳首をコリコリと歯先で甘噛みして唇を窄めて吸い上げては舌の根を押し付けてベロンと強く舐めあげた。
「ぐぉぉ!」
龍馬さんが仰け反って腰を浮かせる。袴の紐をほどいて陰茎を柔らかくさすった。
「かっ! うあ! ちょっ、待っちょって、た、頼むから、そんなスベスベした手で触ったらダメじゃ、だ、ダメじゃと、おぉぉっ!?」
乳首を舐めながら、強く弱く、緩急を付けて陰茎をしばらく擦ると、白濁液が飛び散って、龍馬さんが果てる。龍馬さんは顔を両手で隠して息を乱していた。
「あの……ゴメンなさい。龍馬さん怒ってます?」
すっかり我に返った僕は龍馬さんから離れたところで正座して龍馬さんの機嫌を伺った。
「……」
「嫌いになりましたか? 僕のこと」
恐る恐る聞いてみた。だけど
「……おまんのことはずっと好きじゃ。何があってもじゃ。けんど」
「はい」
「ちょお、今だけは、そっとしておいてほしいぜよ」
「……すみません、わかりました」
上手く行きそう? なのかな?
よくは判らないけれど。まぁ消えないようになったのだし、この初代内閣総理大臣の秘書は僕なのだから。
四六時中、片時も離れずに傍にいれる、堂々と。だからじっくり落とそうか。龍馬さん。もうとっくに知ってるかもしれないですけど。
僕は頑固だし、しつこいし、一度こうと決めたらてこでも動きませんからね。
覚悟しておいてくださいね? そう心の中でつぶやくと。
「ぐっ」
龍馬さんが唾を喉につまらせてあげた声は降参の合図に聞こえなくもなくて、僕は笑った。
濡ぼ〜い
書き上げたら、馴染みにメール⇒あとでこちらにUPで追加していきます。