人類史
広い部屋で目を覚ます。
そこには泣き声が広がっていた。
部屋の中は何もなく、壁際に複数の人が並んで立っている。
彼らは幼子から老人までいる。
よく見ると全て僕だった。
赤子の僕は泣いているのではない。
彼は問うているのだ。
「なぜ産まれた」「なぜ産まれた」と繰り返し。
10の僕が純真無垢な輝いた目を開け、答える。
「楽しいから」
20の僕が熱を帯びた力強い目で答える。
「自らの使命を全うするため」
30の僕が下を向き愛しむ伏し目で答える。
「護るべき尊いもののため」
40の僕が遠くを見守る目で答える。
「あの背中を見送るため」
50の僕がきょろきょろと目を回し答える。
「やるべきことを探すため」
60の僕が熱が冷めた目で答える。
「恩返しのため」
70の僕が暗くしぼんだ目で答える
「未来のため」
80の僕が何も映らない悲しい目で答える。
「去っていった者たちのため」
90の僕が疲れた薄目で答える。
「歩んだ道を振り返るため」
100の僕が目を閉じて答える。
「なぜなんだろう」
私はその問いに答えず、部屋を去った。
人類史
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